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現在、訳アリ結婚中

2.あなたの隣で目覚めて思うこと

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 * * * * *


 そこで目が覚めた。
 身体がむずむずする。

「夢、だよねえ……」

 私は身体を起こして、ため息をついた。

「――どうした?」

 隣で寝ていた《伴侶》のルビが声をかけてきた。約束しているとおりに彼はこの広いベッドの半分より私側には来ていない。相変わらず寝相がいいな。

「いつものやつ、ですよ」
「戦場の夢か」

 私は彼を見て頷く。

「あんなズタボロになるような戦闘、記憶にないんですけどね。でも感覚が生々しいから変に反応しちゃう」
「どこか痛むのか?」
「それはないんですけど、血が騒ぐんですよね」

 血が騒ぐ、という表現でいいのかよくわからない。ただ、自分が興奮しているのは確かだと思う。

「じゃあ、俺と模擬戦でもするか。たまには発散したほうがいいんだろう?」

 ルビが身体を起こして大きく伸びをした。そのあとで身体をポキポキと鳴らす。
 薄い肌着から彼の肉体が覗く。
 二十代の青年といった姿で、戦闘に長けているがスピード型であるから筋肉はあまり目立たない。男性にしては小柄なほうだ。私よりは少しだけ背が高い。そんな体格なので、戦闘服を着込んでいると華奢に映る。脱ぐとまあ、男なんだけど。
 ルビはほかの鉱物人形と同様に美形で、クールな印象の顔立ちである。赤い髪赤い瞳で熱そうなのに、表情は冷ややかなのだ。そういうギャップがいいらしい。私にはわからない。

「付き合ってくれるんですか?」
「最近の任務はぬるくて感覚が鈍るからな。君が相手なら俺は嬉しい」
「……まあ、連携も見直しておきたいですし、しますか」

 今日の仕事のスケジュールを思い出す。調査のために協会を出るのは午後からだったはずなので、家を早く出れば時間は取れそうだ。

「なら、朝食の準備だな。俺が支度をしておくから、水浴びをしてきていいぞ」
「ああ、うん。ありがとう」

 変な汗を掻いていて水浴びをするか悩んでいたことに気づいていたようだ。ルビはベッドをおりてキッチンに行ってしまう。

「……あれは、彼だったなのかな。それとも、ただの夢なのかな」

 下着が汚れている。その理由が私にはわからなかった。

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