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現在、訳アリ結婚中
3.私たちのお仕事
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* * * * *
正直なところ、私はこの任務が大嫌いだ。
「……ふぅん。毛嫌いせずに、あなたも試してみればいいじゃない。鉱物人形が男性型をしているのって、つまりはそういうことでしょう?」
ニタッと笑んで女精霊使いは調査に訪れた私たちの前ではっきりと言い切った。
――またこれか……
正直、ウンザリである。
精霊使いに女性が多いのは、使役する鉱物人形たちが美麗な男性の姿を持っているからと言われてはいる。だが、彼らは性交渉を目的として作られたわけではないということは何度でも言いたい。
精霊使いの仕事は鉱物人形を使役し、瘴気によって変化した魔物を駆逐することである――と私はさっきも懇切丁寧に説明した。ライセンス取得時にも復唱させられる重要な使命だ。
私が呆れて何も返せずにいると、パートナーである鉱物人形・ルビがわざとらしく咳払いをした。
女はねっとりとした視線を私の相棒に向け、妖艶に笑む。
「そうそう。ルビもすごくヨかったわよ。そっちの同位体のあなたも私を抱いてみない? 知りたいのよ、他所の鉱物人形がどんな具合、か――」
「言いたいことはそれだけか?」
ルビは殺気に満ちた目で女精霊使いを睨んだ。
「今をもって、貴様のライセンスは剥奪されることが決まった。鉱物人形たちも解体される。ご苦労だったな」
「え、待って。急に、そんな――」
宣告を受けて女精霊使いの態度が急変した。狼狽えた彼女は私に助けを求める視線を向けてきたが、私は無視して手続きに入る。宙空に報告用の画面を表示して、必要な情報を入力していく。
私が相手をしなかったからだろう、女精霊使いはルビに縋りつく。彼のことだからすぐに跳ね除けると思ったのに、珍しくそのままにしていた。
「あなたを愚弄したことは謝るわ。でも、私のライセンスを取り上げないで! みんな大切な仲間なの。ちゃんと任務をこなしていたでしょう!」
彼女は自分の成果を宙空に表示させて、ルビに見せた。
「ほら、評定も優をくれたじゃない。不正だってしていないわ。見てくれたでしょう? それなのにどうしてよ。鉱物人形と愛を交わすくらい、誰だってしてるじゃない!」
自分は例外ではないはずだと喚き騒ぐ女精霊使いを、ルビは冷たく見下ろした。
「愛、か。そうだな。愛くらい交わすだろう。だから、協会も鉱物人形との婚姻制度なんてものを作ったのだろうからな」
「だったら」
「貴様は複数の鉱物人形と何度も交わった。その結果が今の姿だ。これ以上は看過できん」
右目が燃え上がるように赤く発光する。これは彼が怒っている証拠だ。ルビが携えている剣を引き抜こうとするので、私は慌てて女精霊使いに向けて術を発動させた。
「ぎゃあああッ!」
女精霊使いは絶叫しながら痙攣し、その場で倒れた。
私は女精霊使いが動かないことを確認して、次の手配に移る。私が仕事に励んでいるのを横目に、ルビは片付けを始めた。
正直なところ、私はこの任務が大嫌いだ。
「……ふぅん。毛嫌いせずに、あなたも試してみればいいじゃない。鉱物人形が男性型をしているのって、つまりはそういうことでしょう?」
ニタッと笑んで女精霊使いは調査に訪れた私たちの前ではっきりと言い切った。
――またこれか……
正直、ウンザリである。
精霊使いに女性が多いのは、使役する鉱物人形たちが美麗な男性の姿を持っているからと言われてはいる。だが、彼らは性交渉を目的として作られたわけではないということは何度でも言いたい。
精霊使いの仕事は鉱物人形を使役し、瘴気によって変化した魔物を駆逐することである――と私はさっきも懇切丁寧に説明した。ライセンス取得時にも復唱させられる重要な使命だ。
私が呆れて何も返せずにいると、パートナーである鉱物人形・ルビがわざとらしく咳払いをした。
女はねっとりとした視線を私の相棒に向け、妖艶に笑む。
「そうそう。ルビもすごくヨかったわよ。そっちの同位体のあなたも私を抱いてみない? 知りたいのよ、他所の鉱物人形がどんな具合、か――」
「言いたいことはそれだけか?」
ルビは殺気に満ちた目で女精霊使いを睨んだ。
「今をもって、貴様のライセンスは剥奪されることが決まった。鉱物人形たちも解体される。ご苦労だったな」
「え、待って。急に、そんな――」
宣告を受けて女精霊使いの態度が急変した。狼狽えた彼女は私に助けを求める視線を向けてきたが、私は無視して手続きに入る。宙空に報告用の画面を表示して、必要な情報を入力していく。
私が相手をしなかったからだろう、女精霊使いはルビに縋りつく。彼のことだからすぐに跳ね除けると思ったのに、珍しくそのままにしていた。
「あなたを愚弄したことは謝るわ。でも、私のライセンスを取り上げないで! みんな大切な仲間なの。ちゃんと任務をこなしていたでしょう!」
彼女は自分の成果を宙空に表示させて、ルビに見せた。
「ほら、評定も優をくれたじゃない。不正だってしていないわ。見てくれたでしょう? それなのにどうしてよ。鉱物人形と愛を交わすくらい、誰だってしてるじゃない!」
自分は例外ではないはずだと喚き騒ぐ女精霊使いを、ルビは冷たく見下ろした。
「愛、か。そうだな。愛くらい交わすだろう。だから、協会も鉱物人形との婚姻制度なんてものを作ったのだろうからな」
「だったら」
「貴様は複数の鉱物人形と何度も交わった。その結果が今の姿だ。これ以上は看過できん」
右目が燃え上がるように赤く発光する。これは彼が怒っている証拠だ。ルビが携えている剣を引き抜こうとするので、私は慌てて女精霊使いに向けて術を発動させた。
「ぎゃあああッ!」
女精霊使いは絶叫しながら痙攣し、その場で倒れた。
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