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私と彼の日常生活
18.なんのためにオレが――
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「君に言っておくが、オレは修復で彼女から供給を受けたことはないぞ。オレが供給したことならあるが」
「む……」
「妬くなよ。昔の話だし。君はオレより刺激的なこと、してるんだろ?」
「私たち、清い関係のままですけど」
オパールがからかってくる。私たちの事情をある程度知っていながらこういう話をふっかけてくるあたり、実は見た目よりも損傷が激しいのかもしれない。
――使う魔鉱石を増やしておこう。
「……いやいや、夫婦なんだろう? もう気にすることないじゃないか。なんのためにオレが――」
「その話はするな」
「……ん?」
――なんのために?
オパールの言葉をルビが遮った。語気が荒い。
止められたオパールは目を瞬かせる。新雪のように真っ白な睫毛がバサバサと動いた。
「――なあ、ルビ。君はどうして隠すんだ? 結婚するまでは黙っておいたほうが互いのためだったろうけれど、もう違うだろ。互いにいつ死ぬかわからないんだから、話しておいたほうがいい」
「いいんだよ。この身体が砕け散るそのときまで、俺はそうするって誓ってるんだ」
「押せば抱けるぞ?」
「しねえよ」
ルビがむすっと不機嫌そうな顔をした。
私はオパールが落とした左腕を拾い上げる。肘から先が外れたようだ。表面の輝きが失せている。ただ外れただけではなさそうなのは、この強力な瘴気に晒されている影響もあるのだろう。
「えっと……その話、抱かれるのは私ですか?」
「そうなるね」
「私、たぶん、抱く側ですよ?」
腕を出せと指示してオパールに残っている腕をマントから出してもらう。拾った腕をそこにくっつけて魔鉱石とともにテーピングをする。
慣れているくらいになめらかに処置を施していくが、この部署の戦闘でここまでの怪我を見たことがないことに気づく。どこで私はこの処置をしたのだろう。
「それは、そうだろうな」
私の発言に、ルビが神妙な様子で頷いた。
「……ルビさん?」
「いや、深い意味はない」
――それ、深い意味あるやつ……
そうは思っても探りを入れていられる余裕はない。私は術を発動させた。
「む……」
「妬くなよ。昔の話だし。君はオレより刺激的なこと、してるんだろ?」
「私たち、清い関係のままですけど」
オパールがからかってくる。私たちの事情をある程度知っていながらこういう話をふっかけてくるあたり、実は見た目よりも損傷が激しいのかもしれない。
――使う魔鉱石を増やしておこう。
「……いやいや、夫婦なんだろう? もう気にすることないじゃないか。なんのためにオレが――」
「その話はするな」
「……ん?」
――なんのために?
オパールの言葉をルビが遮った。語気が荒い。
止められたオパールは目を瞬かせる。新雪のように真っ白な睫毛がバサバサと動いた。
「――なあ、ルビ。君はどうして隠すんだ? 結婚するまでは黙っておいたほうが互いのためだったろうけれど、もう違うだろ。互いにいつ死ぬかわからないんだから、話しておいたほうがいい」
「いいんだよ。この身体が砕け散るそのときまで、俺はそうするって誓ってるんだ」
「押せば抱けるぞ?」
「しねえよ」
ルビがむすっと不機嫌そうな顔をした。
私はオパールが落とした左腕を拾い上げる。肘から先が外れたようだ。表面の輝きが失せている。ただ外れただけではなさそうなのは、この強力な瘴気に晒されている影響もあるのだろう。
「えっと……その話、抱かれるのは私ですか?」
「そうなるね」
「私、たぶん、抱く側ですよ?」
腕を出せと指示してオパールに残っている腕をマントから出してもらう。拾った腕をそこにくっつけて魔鉱石とともにテーピングをする。
慣れているくらいになめらかに処置を施していくが、この部署の戦闘でここまでの怪我を見たことがないことに気づく。どこで私はこの処置をしたのだろう。
「それは、そうだろうな」
私の発言に、ルビが神妙な様子で頷いた。
「……ルビさん?」
「いや、深い意味はない」
――それ、深い意味あるやつ……
そうは思っても探りを入れていられる余裕はない。私は術を発動させた。
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