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私の隠し事、彼の秘め事

27.私に隠していること、ありますよね?

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 私は微笑む。

「ええ、不思議と。それに、初めてじゃない気がするんですよね」

 私はルビの顔に手を伸ばす。目元にかかる前髪を避けて、じっと彼の目を見つめた。
 やっぱり綺麗な色だな。

「そりゃあ初めてではないからな」
「それ、どういうことなのか、説明していただきたいんですけど」
「なら、思い出させてやるよ。また記憶が跳ぶかもしれないが、俺が責任を取るから」
「んんっ?」

 私の手をそっと退かして、ルビは私に口づけをした。唇を喰まれて、私は招くように少しだけ唇を緩めた。彼の舌が入り込む。

「……ぁっ、やっ」

 激しく動き回る舌に驚いて逃げようとしたところを、腰を引き寄せられて喉の奥に舌が差し込まれる。息苦しさを感じていたのも束の間、全身がびくりと動いて力が入らなくなった。じんと痺れたようになっている。

 ――何をされたの?

 術ではないことはわかる。触れられただけだ。身体が熱い。

「ルビさん……」
「先に風呂かと思ったが、悪いな」

 ひょいと軽く私を横抱きにし、寝室に運ばれる。ベッドの中央にほいっと置かれたかと思えば、私の上にルビがまたがった。

「あ、あの」
「嫌なら全力で抵抗していい。君に壊されるなら本望だ」

 唇を唇で塞がれる。言葉は全て飲み込まれた。
 舌を絡めたまま、服が丁寧に脱がされていく。抵抗はしなかったが、協力をしているつもりもないのに裸にされていくのが不思議だ。
 そもそも、ここに帰ってくるまで着たままだった戦闘服は、現場での運用の都合上着脱しやすいデザインなので、作りさえ把握していれば容易く脱がせるのだけども。

「……ルビ」
「ん?」

 私を脱がし終えると、彼も脱ぎ始める。彼の服も簡単に脱げるようになっているので、私の上にいたままですぐに全裸になれた。
 久しぶりに彼の全身を見たような気がする。上半身くらいなら、同じ部屋で着替えることも多いから見慣れているのだけども。
 下腹部のほうに自然と目がいって、私はふと気づいた。

「大丈夫ですか?」
「なにが?」
「無理に私を抱こうとしている気がして」
「……そんなことはないが」

 なぜ言い淀んだのだろう。
 それで私は少し冷静になった。
 一応私は成人した女性であるし、自分の身体を慰めるために身につけた知識はある。ちなみに異性にも同性にも性的欲求を抱かない傾向にある私であるが、行為に興味がなかったわけではない。魔力の補給を目的として、行為についての最低限の知識はあるのだ。
 どういうわけか周囲からは私には性知識がないと誤解されていた気がするが。
 私はじっとルビの顔を見た。

「ひょっとして、なんですけど」
「なんだ?」
「ルビさん、私に隠していること、ありますよね? だから、結婚した後も私を抱けなかった――違いますか?」

 ルビの目が泳いだ。
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