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エピローグ
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「おはよう、レティ」
眠りから覚めたレティーシャにセオフィラスが声をかけてきた。彼のシルエットを見るに、どうも彼はガウンを羽織っているようだ。
今は何時かしら……?
外はすっかり明るくなっている。部屋に差し込む陽射しがまぶしくて、レティーシャは目を細めた。
「お、おはよう……ございます、セオさま」
自分がずいぶんと眠っていたらしいことに気づくと、申し訳なくて毛布を顔に引き寄せた。
しかも、なんか恥ずかしいですし……
こんな明るい部屋の中で、いまだ裸でいることが照れくさい。セオフィラスが身体を清めておくと宣言していたとおり、肌はさっぱりとしていて清潔になっているようだった。
「顔を隠さないで、レティ。もっとよく見たい」
「寝顔をずっとご覧になっていたのでしょう? よいではありませんか」
「覆ってしまったら、目覚めのキスができないのです」
セオフィラスに寂しげな声色で促されてしまうと断れない。
レティーシャがちょこっと頭を出せば、それに合わせるように毛布を引き剥がされた。
「なっ!」
突然のことに、声は出せたもののレティーシャの身体は硬直してしまう。
柔らかな肢体が陽射しにさらされる。白い肌がよりいっそう白く透けるように見えた。
「とてもきれいな肌ですね。白磁に似ている」
セオフィラスの手がレティーシャの細い腰を撫でて胸元に伸びる。
「表面はとてもなめらかで、いつまでも触れていたいと思えます。柔らかくて温かく、心地がいい」
寒さでツンと立った赤い頂きを指の腹で撫でて刺激されると、ヘソの下あたりがキュンと切なく疼いた。
「せ、セオさま……?」
まじまじと見られるのは恥ずかしいし、触れられるとくすぐったい。
どうしよう……
それでも動くことができないのは、見られるのも触られるのも気持ちがよかったからだ。もっとそうしてほしいと感じているのに、そう伝えることははしたない気がして控える。
だから、彼がどうしたいのかを訊ねるために名を呼んだ。
「レティ。俺はもっとあなたを知りたい。全身でもっと感じたい。レティはいかがですか?」
その問いも胸の先を爪で軽く引っ掻きながらなので、レティーシャの唇からは甘い吐息がこぼれ始めていた。
「セオ、さまは……ずるいです……っ!」
拒絶したと思われたくなくて、ムズムズする感覚を外に逃すこともできずに耐えてきた。
もう限界……
足の付け根が潤い始めていることをレティーシャは素直に認め、胸を撫でるセオフィラスの手を掴む。
「気持ちがよすぎて……ああ、セオさま、お願い……」
「可愛いレティ」
待ちきれないとばかりにセオフィラスはレティーシャの上に覆いかぶさる。小さな嬌声が上がる唇にセオフィラスが自身の唇を重ねると、次は食むように唇を塞ぐ。舌を絡める濃厚な口づけに移行するまでに時間はかからなかった。
「はぁ……うんっ……んぁっ!」
とろけるようなキスと胸の刺激に反応して、レティーシャは歓喜で身体をビクビクと震わせた。
「すぐにあなたの中を満たして差し上げます。掻き集めるなんてことが必要ないくらい、俺は溜め込んでいるのですよ? 受け取ってくれますよね、レティ?」
ああ、そうなのね。
こぼしても構わないくらいたくさんあるなら安心だと思うと、自然と足が開いた。閉じていなければ夜にもらったものを全て流してしまいそうで、懸命に力を入れていたのだ。
「ぜ……全部は難しいかもしれませんが……私はほしいです」
「レティ……」
すぐにセオフィラスの昂ぶりがガウンの下から取り出される。蜜口にあてがわれると、レティーシャは招くように腰を持ち上げた。
「待って、レティ」
ぬるっと先端が入ったことに驚いたのはセオフィラスの方だった。
「あ、あの、蓋をしないと出て行ってしまうから……」
ドクドクと蜜が溢れている感覚がある。蜜とともに昨夜の分が流れ落ちてしまう。その前にどうにかしたくて、レティーシャが思いついたのはこの方法だった。
「……ああ、そうですね。ですが、刺激が」
「お、奥までどうぞ……?」
セオフィラスが苦悩する表情を見せて、前髪を掻き上げ額に手を置く。目を閉じ何かを思案する顔をレティーシャが見つめていると、急に腰を突き上げられた。
「あっ!」
ぐっと奥まで挿し込まれて、その拍子にぎゅっと彼の昂ぶりを締め付けた。
「痛みで嫌がっていたらと考えていたのですが……あなたがその気なら、遠慮することはなさそうですね」
「痛いのは……その、痛いですけど、私もセオさまを感じたいので……付き合わせてください」
「ああ、もう……っ! レティは黙っててください」
そうはっきりと告げると、セオフィラスはキスをくれる。
「こんなに可愛い台詞を聞かされることになるとは思わなかった。後悔しても知りませんよ、レティ」
可愛い台詞?
なんのことを言っているのだろうと自分の言動を振り返る余裕は、レティーシャにはもうなかった。
激しい口づけと抽挿で、思考がセオフィラスの与える快感に染まってしまったからだ。
セオさま……好き……
全身で彼を受け止める――その悦びに心も身体も満たされ、レティーシャは幸せを噛みしめる。彼との子どもがほしい以上に、自分が愛され求められていることが嬉しい。この行為が妻としての役割の一つだと思うと、より胸が高鳴った。
私、セオさまのためにも頑張りますね。
その時間は、日が暮れるまで続いたのだった。
*****
ぐっすりと眠るレティーシャの頭を撫でると、彼女はくすぐったそうに身体をよじりながらも幸せそうに微笑んだ。
「……セオさま、好き……」
寝言にどきりとさせられる。眠っていても可愛い。
こんなに夢中にさせられるとは……
セオフィラスは自分の想定と異なることに困惑し、ため息をついた。
元気ならそれでいいのですが。
隣でスヤスヤと眠るレティーシャは満足げだ。とはいえ、きっと疲れはあるだろう。
レティーシャはセオフィラスの要求に全て応えてくれた。そんな姿は健気でいじらしく、セオフィラスの劣情を煽るのに充分すぎた。
「全く……少しは加減しないとな」
ランドルフに「セオ兄は体力があるんだから、抱き潰さないように加減しろよー。執着するタイプなのはわかってるけど、初夜くらいは優しくな?」などと言われていたのを思い出す。一度レティーシャに眠るように促したのは、自分の癖も承知しているからだった。
「レティ。講義はまだまだ続きますから、覚悟してくださいね」
夫としてセオフィラスに慣れる講義が始まったばかりであるということを、眠るレティーシャはまだ知らない。
《完》
眠りから覚めたレティーシャにセオフィラスが声をかけてきた。彼のシルエットを見るに、どうも彼はガウンを羽織っているようだ。
今は何時かしら……?
外はすっかり明るくなっている。部屋に差し込む陽射しがまぶしくて、レティーシャは目を細めた。
「お、おはよう……ございます、セオさま」
自分がずいぶんと眠っていたらしいことに気づくと、申し訳なくて毛布を顔に引き寄せた。
しかも、なんか恥ずかしいですし……
こんな明るい部屋の中で、いまだ裸でいることが照れくさい。セオフィラスが身体を清めておくと宣言していたとおり、肌はさっぱりとしていて清潔になっているようだった。
「顔を隠さないで、レティ。もっとよく見たい」
「寝顔をずっとご覧になっていたのでしょう? よいではありませんか」
「覆ってしまったら、目覚めのキスができないのです」
セオフィラスに寂しげな声色で促されてしまうと断れない。
レティーシャがちょこっと頭を出せば、それに合わせるように毛布を引き剥がされた。
「なっ!」
突然のことに、声は出せたもののレティーシャの身体は硬直してしまう。
柔らかな肢体が陽射しにさらされる。白い肌がよりいっそう白く透けるように見えた。
「とてもきれいな肌ですね。白磁に似ている」
セオフィラスの手がレティーシャの細い腰を撫でて胸元に伸びる。
「表面はとてもなめらかで、いつまでも触れていたいと思えます。柔らかくて温かく、心地がいい」
寒さでツンと立った赤い頂きを指の腹で撫でて刺激されると、ヘソの下あたりがキュンと切なく疼いた。
「せ、セオさま……?」
まじまじと見られるのは恥ずかしいし、触れられるとくすぐったい。
どうしよう……
それでも動くことができないのは、見られるのも触られるのも気持ちがよかったからだ。もっとそうしてほしいと感じているのに、そう伝えることははしたない気がして控える。
だから、彼がどうしたいのかを訊ねるために名を呼んだ。
「レティ。俺はもっとあなたを知りたい。全身でもっと感じたい。レティはいかがですか?」
その問いも胸の先を爪で軽く引っ掻きながらなので、レティーシャの唇からは甘い吐息がこぼれ始めていた。
「セオ、さまは……ずるいです……っ!」
拒絶したと思われたくなくて、ムズムズする感覚を外に逃すこともできずに耐えてきた。
もう限界……
足の付け根が潤い始めていることをレティーシャは素直に認め、胸を撫でるセオフィラスの手を掴む。
「気持ちがよすぎて……ああ、セオさま、お願い……」
「可愛いレティ」
待ちきれないとばかりにセオフィラスはレティーシャの上に覆いかぶさる。小さな嬌声が上がる唇にセオフィラスが自身の唇を重ねると、次は食むように唇を塞ぐ。舌を絡める濃厚な口づけに移行するまでに時間はかからなかった。
「はぁ……うんっ……んぁっ!」
とろけるようなキスと胸の刺激に反応して、レティーシャは歓喜で身体をビクビクと震わせた。
「すぐにあなたの中を満たして差し上げます。掻き集めるなんてことが必要ないくらい、俺は溜め込んでいるのですよ? 受け取ってくれますよね、レティ?」
ああ、そうなのね。
こぼしても構わないくらいたくさんあるなら安心だと思うと、自然と足が開いた。閉じていなければ夜にもらったものを全て流してしまいそうで、懸命に力を入れていたのだ。
「ぜ……全部は難しいかもしれませんが……私はほしいです」
「レティ……」
すぐにセオフィラスの昂ぶりがガウンの下から取り出される。蜜口にあてがわれると、レティーシャは招くように腰を持ち上げた。
「待って、レティ」
ぬるっと先端が入ったことに驚いたのはセオフィラスの方だった。
「あ、あの、蓋をしないと出て行ってしまうから……」
ドクドクと蜜が溢れている感覚がある。蜜とともに昨夜の分が流れ落ちてしまう。その前にどうにかしたくて、レティーシャが思いついたのはこの方法だった。
「……ああ、そうですね。ですが、刺激が」
「お、奥までどうぞ……?」
セオフィラスが苦悩する表情を見せて、前髪を掻き上げ額に手を置く。目を閉じ何かを思案する顔をレティーシャが見つめていると、急に腰を突き上げられた。
「あっ!」
ぐっと奥まで挿し込まれて、その拍子にぎゅっと彼の昂ぶりを締め付けた。
「痛みで嫌がっていたらと考えていたのですが……あなたがその気なら、遠慮することはなさそうですね」
「痛いのは……その、痛いですけど、私もセオさまを感じたいので……付き合わせてください」
「ああ、もう……っ! レティは黙っててください」
そうはっきりと告げると、セオフィラスはキスをくれる。
「こんなに可愛い台詞を聞かされることになるとは思わなかった。後悔しても知りませんよ、レティ」
可愛い台詞?
なんのことを言っているのだろうと自分の言動を振り返る余裕は、レティーシャにはもうなかった。
激しい口づけと抽挿で、思考がセオフィラスの与える快感に染まってしまったからだ。
セオさま……好き……
全身で彼を受け止める――その悦びに心も身体も満たされ、レティーシャは幸せを噛みしめる。彼との子どもがほしい以上に、自分が愛され求められていることが嬉しい。この行為が妻としての役割の一つだと思うと、より胸が高鳴った。
私、セオさまのためにも頑張りますね。
その時間は、日が暮れるまで続いたのだった。
*****
ぐっすりと眠るレティーシャの頭を撫でると、彼女はくすぐったそうに身体をよじりながらも幸せそうに微笑んだ。
「……セオさま、好き……」
寝言にどきりとさせられる。眠っていても可愛い。
こんなに夢中にさせられるとは……
セオフィラスは自分の想定と異なることに困惑し、ため息をついた。
元気ならそれでいいのですが。
隣でスヤスヤと眠るレティーシャは満足げだ。とはいえ、きっと疲れはあるだろう。
レティーシャはセオフィラスの要求に全て応えてくれた。そんな姿は健気でいじらしく、セオフィラスの劣情を煽るのに充分すぎた。
「全く……少しは加減しないとな」
ランドルフに「セオ兄は体力があるんだから、抱き潰さないように加減しろよー。執着するタイプなのはわかってるけど、初夜くらいは優しくな?」などと言われていたのを思い出す。一度レティーシャに眠るように促したのは、自分の癖も承知しているからだった。
「レティ。講義はまだまだ続きますから、覚悟してくださいね」
夫としてセオフィラスに慣れる講義が始まったばかりであるということを、眠るレティーシャはまだ知らない。
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