81 / 97
神さま(?)拾いました【本編完結】
24.身体は大丈夫かい?
しおりを挟む
「……そろそろ目を開けてもいいかい?」
「起きていたんですか」
私が返事をすると、彼はゆっくりと瞼をあげる。私と目が合うと、ぱちぱちと目を瞬かせてふにゃりと笑った。
「穴があくんじゃないかと思ったよ」
「そんなに見つめてないですよ」
幸せそうに笑ってくれると安心する。私も微笑んで返した。
「身体は大丈夫かい?」
「少し気怠いですけど、元気ですよ」
「それならいいけど。一昨日の夜は激しくしちゃったからねえ。これでも加減したつもりなんだ」
「充分に優しくしてもらえました」
いろいろ思い出してしまって恥ずかしくなる。モジモジすると彼は私の頭を優しく撫でた。
「物足りない?」
「まさか」
「もっと欲しいって考えているような気がしたから」
彼の発言に、私は首を横に振る。
「わ、私はですね、あなたの回復に必要なことをしただけで、他意はないの!」
「そう? 気持ちよくなりたいなら努めるよ」
彼の手が私の肌を滑る。ゾクゾクとしてしまって、うまく逃げられない。
「ふふ。素直だ」
「その顔、ダメ」
「こうやって迫ると君が興奮するってことは学んだよ」
「ひぇ」
可愛くない悲鳴が出た。降参である。
あえて見ないように目をぎゅっと瞑ると、彼は明るく笑った。
「あはは。君の負担になるといけないから、続きはまたあとでにしようね。おかげさまで僕は元気だよ」
「そ、それはたいへん結構なことでございますねえ」
「ん? 続きはしないって拒否されると思ったんだけど、その返しは前向きに検討してるって捉えて良い?」
先に起き上がった彼は私を見下ろしてにこっと笑った。
「続きは未定です。ですけど、私をからかう気力が湧く程度に回復したんだと思ったら、安心してしまって」
捲れた毛布を胸元まで引き寄せて、私は返事をする。
「僕の心配なんてしなくていいのに。意外と寂しがりやさんなんだね」
「本性は寂しがりやではないと思いますよ」
ふうと大きく息を吐き出して、私は言葉を続ける。
「でも、状況を思い出してください。長年付き合ってきた恋人と別れて傷心だってのに、命の危機を免れた直後なんですよ。人肌が恋しくなってもおかしくないって、そう分析したのはあなたじゃないですか」
「そうだけどさ、こうして肌を合わせて用済みになったら追い出そうとすると思ったんだよねえ」
しみじみと告げられるとなんか引っかかる。私は首を傾げた。
「……追い出されたくなったんです?」
私が指摘すると、彼は目をまんまるくして意外そうな顔をした。
「ああ、なるほどなるほど。僕は君から離れる口実を探しているのかあ」
「えっと……無理にお引き留めすることはできないと思っているので、その、ちゃんとお別れの挨拶をしてくださるならご自由にどうぞ。無言の無断で出て行かれると、また暴走すると思うので、できればやめていただきたいんですが」
そうだった。
彼は私が拾って連れ帰ってきてしまった自称神様である。彼が私への興味関心を失ったり、契約が満了すれば縁は切れる。それでこのお付き合いは解消だ。
私の言葉に、彼はうーんと小さく唸った。しばし悩んだ後に、私の頭を優しく撫でる。
「まだ出て行く予定はないよ。消えてしまうようなこともない。だから安心して」
「そうですか」
安心してと言われると不安になるものだが、嘘はついていないのだろう。
私が頷くと彼は口角を上げる。にやり。
「それに、体を差し出す必要もないよ。君を満足させることはやぶさかではないけどね」
「手っ取り早い方法なのかなと思いまして」
さまざまな方法はあるのだろうと考えられるが、残念ながら私には知識と技術がない。私から力を得るためにまぐわいをしたのだと彼から説明されたのでそうしたわけで。
「生気の摂取には僕に夢中になってもらえればいい。手段としてまぐわうのは、君からの注目を簡単に集められるから都合がいいんだよねえ。術として意識を集中できるようになれれば、まぐわう必要もないんだけど」
「おおう……」
術か。覚えておいたほうが、外出時に何かあったときに備えられるよね。
真面目に検討していると、彼は色気を感じさせる笑みを浮かべた。舌先で自身の唇を湿らせる。
「とはいえ、僕は君とまぐわうのは好きだよ。君の乱れた可愛い姿をたくさん見られるから、役得だよねえ」
「な、何思い出し笑いしてるんですかっ、変態ですよ!」
彼の発言に釣られてこっちも熱くなってしまう。
「ん? 具体的に言って欲しいなら、あれとかこれとか詳細を教えるけど?」
「そ、そういう羞恥プレイを求めたわけじゃないです!」
今にも語り出しそうだったので、枕を彼に押し付けてやった。彼は明るく笑う。
「あはっ、元気でなにより。どのくらい霊力を奪ってもいいのか、加減が難しいからね。取りすぎちゃうと体に支障が出るだろうし、たくさん残しすぎても他の面倒な連中に勘づかれて厄介だし」
枕を元の位置に戻しながら、彼は答えた。
「……さっき私を抱いたのって、私の処置も必要だったからなんです?」
「必要ってほどではなかったよ。でも、したほうがよさそうではあったからね。ああ、でもね、僕が君を欲しく思ったのは、君がとっても乗り気だったからであって、処置とか自分の回復とかは二の次さ。効果は副次的」
「ええ……」
その言い方は気に食わないのだが、意図的に嘘をつけない彼ではあるので、おおむね真実なのだろう。解せぬ。
「起きていたんですか」
私が返事をすると、彼はゆっくりと瞼をあげる。私と目が合うと、ぱちぱちと目を瞬かせてふにゃりと笑った。
「穴があくんじゃないかと思ったよ」
「そんなに見つめてないですよ」
幸せそうに笑ってくれると安心する。私も微笑んで返した。
「身体は大丈夫かい?」
「少し気怠いですけど、元気ですよ」
「それならいいけど。一昨日の夜は激しくしちゃったからねえ。これでも加減したつもりなんだ」
「充分に優しくしてもらえました」
いろいろ思い出してしまって恥ずかしくなる。モジモジすると彼は私の頭を優しく撫でた。
「物足りない?」
「まさか」
「もっと欲しいって考えているような気がしたから」
彼の発言に、私は首を横に振る。
「わ、私はですね、あなたの回復に必要なことをしただけで、他意はないの!」
「そう? 気持ちよくなりたいなら努めるよ」
彼の手が私の肌を滑る。ゾクゾクとしてしまって、うまく逃げられない。
「ふふ。素直だ」
「その顔、ダメ」
「こうやって迫ると君が興奮するってことは学んだよ」
「ひぇ」
可愛くない悲鳴が出た。降参である。
あえて見ないように目をぎゅっと瞑ると、彼は明るく笑った。
「あはは。君の負担になるといけないから、続きはまたあとでにしようね。おかげさまで僕は元気だよ」
「そ、それはたいへん結構なことでございますねえ」
「ん? 続きはしないって拒否されると思ったんだけど、その返しは前向きに検討してるって捉えて良い?」
先に起き上がった彼は私を見下ろしてにこっと笑った。
「続きは未定です。ですけど、私をからかう気力が湧く程度に回復したんだと思ったら、安心してしまって」
捲れた毛布を胸元まで引き寄せて、私は返事をする。
「僕の心配なんてしなくていいのに。意外と寂しがりやさんなんだね」
「本性は寂しがりやではないと思いますよ」
ふうと大きく息を吐き出して、私は言葉を続ける。
「でも、状況を思い出してください。長年付き合ってきた恋人と別れて傷心だってのに、命の危機を免れた直後なんですよ。人肌が恋しくなってもおかしくないって、そう分析したのはあなたじゃないですか」
「そうだけどさ、こうして肌を合わせて用済みになったら追い出そうとすると思ったんだよねえ」
しみじみと告げられるとなんか引っかかる。私は首を傾げた。
「……追い出されたくなったんです?」
私が指摘すると、彼は目をまんまるくして意外そうな顔をした。
「ああ、なるほどなるほど。僕は君から離れる口実を探しているのかあ」
「えっと……無理にお引き留めすることはできないと思っているので、その、ちゃんとお別れの挨拶をしてくださるならご自由にどうぞ。無言の無断で出て行かれると、また暴走すると思うので、できればやめていただきたいんですが」
そうだった。
彼は私が拾って連れ帰ってきてしまった自称神様である。彼が私への興味関心を失ったり、契約が満了すれば縁は切れる。それでこのお付き合いは解消だ。
私の言葉に、彼はうーんと小さく唸った。しばし悩んだ後に、私の頭を優しく撫でる。
「まだ出て行く予定はないよ。消えてしまうようなこともない。だから安心して」
「そうですか」
安心してと言われると不安になるものだが、嘘はついていないのだろう。
私が頷くと彼は口角を上げる。にやり。
「それに、体を差し出す必要もないよ。君を満足させることはやぶさかではないけどね」
「手っ取り早い方法なのかなと思いまして」
さまざまな方法はあるのだろうと考えられるが、残念ながら私には知識と技術がない。私から力を得るためにまぐわいをしたのだと彼から説明されたのでそうしたわけで。
「生気の摂取には僕に夢中になってもらえればいい。手段としてまぐわうのは、君からの注目を簡単に集められるから都合がいいんだよねえ。術として意識を集中できるようになれれば、まぐわう必要もないんだけど」
「おおう……」
術か。覚えておいたほうが、外出時に何かあったときに備えられるよね。
真面目に検討していると、彼は色気を感じさせる笑みを浮かべた。舌先で自身の唇を湿らせる。
「とはいえ、僕は君とまぐわうのは好きだよ。君の乱れた可愛い姿をたくさん見られるから、役得だよねえ」
「な、何思い出し笑いしてるんですかっ、変態ですよ!」
彼の発言に釣られてこっちも熱くなってしまう。
「ん? 具体的に言って欲しいなら、あれとかこれとか詳細を教えるけど?」
「そ、そういう羞恥プレイを求めたわけじゃないです!」
今にも語り出しそうだったので、枕を彼に押し付けてやった。彼は明るく笑う。
「あはっ、元気でなにより。どのくらい霊力を奪ってもいいのか、加減が難しいからね。取りすぎちゃうと体に支障が出るだろうし、たくさん残しすぎても他の面倒な連中に勘づかれて厄介だし」
枕を元の位置に戻しながら、彼は答えた。
「……さっき私を抱いたのって、私の処置も必要だったからなんです?」
「必要ってほどではなかったよ。でも、したほうがよさそうではあったからね。ああ、でもね、僕が君を欲しく思ったのは、君がとっても乗り気だったからであって、処置とか自分の回復とかは二の次さ。効果は副次的」
「ええ……」
その言い方は気に食わないのだが、意図的に嘘をつけない彼ではあるので、おおむね真実なのだろう。解せぬ。
1
あなたにおすすめの小説
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる