3 / 19
残された弟子たちの話
条件付きトラップっ⁉︎
しおりを挟む
事態は深刻である。
「――まずいな。閉じ込められたようだ」
俺は冷静に状況を把握していく。入り組んだ洞窟の先で罠が発動し、来た道が塞がれてしまっていた。魔力の気配があって、何者かがここに罠を仕掛けて行ったようだ。
同行していた二人も一瞬動揺していたが、さすがは冒険に慣れているだけあって切り替えは早い。怪我をしていないか、荷物は無事かを真っ先に確認すると、調査系の魔法でこの周囲を探り始めていた。
「条件付きトラップですね」
「古典的だな」
「指定の条件を満たせば、出られるようですよ」
油断していた自分を恥じつつ、俺はため息をついた。
これまでであれば自分の師匠である大賢者様が行なっていた仕事だ。しかし、その大賢者様が亡くなった今、それができるのは俺と、俺と同等の力や技能を持つルーンとリリィの三人が揃ったときである。
大賢者様が亡くなってから一年以上になるっていうのに、こんな初歩的なミスを犯して情けない……。
とりあえず、ルーンもリリィも無傷のようだ。俺はホッとしつつも、攻撃魔法で強引に突破しようとしているリリィを片手で止めておいた。実に彼女らしいが、もう少し頭を使ってほしい。
「で、条件ってなんだ?」
「そこの石碑に説明があるようですけど……え」
ルーンが眼鏡の位置を直しながら、苦笑している。石碑の文面に反応したように見えたのだが、なんだというんだろう。
俺は彼が指し示した石碑に近づいた。魔法の使用は認められないただの石板に文字が彫られている。
「えー、なになに? “このトラップは意中の相手と一緒にいる場合に発動する。この試練を利用して、思いを遂げよ”……ほう?」
再び視線をルーンに向けた。なにやら思案しているようだ。
ルーンが文面を見て固まるのも無理はない。ルーンはリリィのことを好いている。十年近く昔に告白して玉砕したことを俺は知っているが、今でも彼女のことを意識しているのは間違いない。
なんで付き合わないんだろう?
俺としてはルーンとリリィはお似合いだと思う。
たっぷりと蓄えた知識を使った分析が得意なルーンと、類稀なるセンスで様々な魔法を使いこなすリリィの二人なら、仕事を共にするにはバランスがいい。
落ち着いた物腰のルーンであれば、すぐに行動に移してしまうリリィを止められるだろう。ちょうどいいと思うのに。
「――なあ、リリィはここに意中の相手はいるのか?」
そういえば、俺はリリィが未婚で居続ける理由を聞いたことがなかった。
リリィは大賢者様から離れて独立した直後からはほぼ旅に出ていたので、腰を落ち着ける気がないんだろうと考えてはいた。若いうちに様々なことを経験をすべきだと大賢者様もおっしゃっていたから、誰も引き止めたりしなかったし。
俺の問いに珍しく慌てていたのはルーンで、ある意味不躾でいきなりすぎる質問に、リリィはキョトンとして首を傾げた。
「それ、そのまま返す。アウルには意中の人、いるの?」
ここでいると答えた場合、答えが二択になるんだが。
どう答えたものか悩んで口ごもると、リリィが勝ち誇ったような顔をした。
「自分で答えられないデリケートな質問を、私に振らないで」
「……それは失礼しました」
「わかってくれたならいいよ」
ひょっとしたら、意中の相手はここにいないのかもしれない。俺はリリィを好いてはいるが、それは恋愛ではない。人間として好いているだけだ。
となると。
俺とリリィはルーンに顔を向けた。
「え、思いを遂げることが目的なのに、振られろっていうんですか?」
彼はギョッとしている。この中で意中の相手が存在するのはルーンだけである。
よくよく考えてみれば、誰か一人がこの中に意中の相手がいるなら成立する問題なので、俺やリリィに意中の相手がいなくても成立することに気づいた。ルーンに想い人がいて、その相手がリリィであるならば充分なのだ。
俺は真顔で親指を立てた。
「平たくいうとそうなる」
「ひどい……」
半分涙目である。
泣くほどのことなのか……。
取り乱すほどに誰かを想ったことがないので、俺にはよくわからない感情だ。ただ、意図せぬ反応だったので申し訳なくは思った。
「とはいえ、振られるとは決まってない。だろう、リリィ?」
「え、そうなの?」
「ひどい……」
ルーンは泣き崩れた。告白する前から振られるルーンが不憫である。
すると、リリィは不思議そうな顔をして、そのあとに片手を横に振って何かを否定した。
「あ、そういう意味じゃなくてね。てっきり、アウルがルーンを好きなんだと思っていたから。ルーンもアウルのことを好いているし、相思相愛? 私の出番はないんだなって」
「は?」
「へ?」
そっちか!!!!!
俺たちは顔を見合わせた。しばし沈黙。
「えっと……ルーン、俺はお前を好いている。それは間違いない」
「ええ……そうですね、嫌いではないですね……」
状況からルーンも察したらしい。涙を拭って頷いた。
「じゃあ、もう泣くな。一緒にここから出よう」
ガシッとルーンを抱擁すると、道を塞いでいた岩が消滅した。
「おおー」
リリィが驚きの声を出して拍手をしてくれる。ありがとう、君の言動は俺にはちょっとわかりかねるぞ。
「アウル……これはこれで虚しさがあるんですが」
「俺だって、抱きしめるならリリィのほうがよかった」
「だったら、リリィと付き合えばいいのに」
彼女の耳に入らないように小声で話すと、俺たちは離れた。
「人選としては、このほうが話が早くていいだろ?」
さっさとここを出て次の冒険に出たがっているリリィの背中を見ながら、俺は呟く。ルーンは苦笑した。
「まあ……。とりあえず、リリィが僕たちをどういう目で見ているのかわかっただけでも僥倖です。この程度の条件でよかった。口づけとかだったら、トラップごと吹き飛ばしますよ」
「確かにそうだな」
下世話なトラップであれば、俺は間違いなくそうしただろう。リリィだったら、俺の制止も聞かずに問答無用で破壊するはずだ。
「でも、どうしてトラップを壊そうとしたリリィを止めたんです?」
「穏便に済ませられるならそれがいいと思っただけだ。単純に、こういうトラップが提示する条件に興味があった」
「条件を満たさずに破壊してもよかったのに」
「ははは」
とりあえず笑ってごまかしておいた。ルーンとリリィをからかうのはしばらくやめておこう。
「ほらほら! 二人とも! 先に行っちゃうよー!」
洞窟の奥の方からリリィの声がする。いつのまにかかなり先行しているようだ。
「悪い! すぐに行く」
「勝手な行動は慎んでください! また妙なトラップがあるかもしれませんよ!」
リリィに急かされて、俺たちはすぐに彼女を追ったのだった。
《完》
「――まずいな。閉じ込められたようだ」
俺は冷静に状況を把握していく。入り組んだ洞窟の先で罠が発動し、来た道が塞がれてしまっていた。魔力の気配があって、何者かがここに罠を仕掛けて行ったようだ。
同行していた二人も一瞬動揺していたが、さすがは冒険に慣れているだけあって切り替えは早い。怪我をしていないか、荷物は無事かを真っ先に確認すると、調査系の魔法でこの周囲を探り始めていた。
「条件付きトラップですね」
「古典的だな」
「指定の条件を満たせば、出られるようですよ」
油断していた自分を恥じつつ、俺はため息をついた。
これまでであれば自分の師匠である大賢者様が行なっていた仕事だ。しかし、その大賢者様が亡くなった今、それができるのは俺と、俺と同等の力や技能を持つルーンとリリィの三人が揃ったときである。
大賢者様が亡くなってから一年以上になるっていうのに、こんな初歩的なミスを犯して情けない……。
とりあえず、ルーンもリリィも無傷のようだ。俺はホッとしつつも、攻撃魔法で強引に突破しようとしているリリィを片手で止めておいた。実に彼女らしいが、もう少し頭を使ってほしい。
「で、条件ってなんだ?」
「そこの石碑に説明があるようですけど……え」
ルーンが眼鏡の位置を直しながら、苦笑している。石碑の文面に反応したように見えたのだが、なんだというんだろう。
俺は彼が指し示した石碑に近づいた。魔法の使用は認められないただの石板に文字が彫られている。
「えー、なになに? “このトラップは意中の相手と一緒にいる場合に発動する。この試練を利用して、思いを遂げよ”……ほう?」
再び視線をルーンに向けた。なにやら思案しているようだ。
ルーンが文面を見て固まるのも無理はない。ルーンはリリィのことを好いている。十年近く昔に告白して玉砕したことを俺は知っているが、今でも彼女のことを意識しているのは間違いない。
なんで付き合わないんだろう?
俺としてはルーンとリリィはお似合いだと思う。
たっぷりと蓄えた知識を使った分析が得意なルーンと、類稀なるセンスで様々な魔法を使いこなすリリィの二人なら、仕事を共にするにはバランスがいい。
落ち着いた物腰のルーンであれば、すぐに行動に移してしまうリリィを止められるだろう。ちょうどいいと思うのに。
「――なあ、リリィはここに意中の相手はいるのか?」
そういえば、俺はリリィが未婚で居続ける理由を聞いたことがなかった。
リリィは大賢者様から離れて独立した直後からはほぼ旅に出ていたので、腰を落ち着ける気がないんだろうと考えてはいた。若いうちに様々なことを経験をすべきだと大賢者様もおっしゃっていたから、誰も引き止めたりしなかったし。
俺の問いに珍しく慌てていたのはルーンで、ある意味不躾でいきなりすぎる質問に、リリィはキョトンとして首を傾げた。
「それ、そのまま返す。アウルには意中の人、いるの?」
ここでいると答えた場合、答えが二択になるんだが。
どう答えたものか悩んで口ごもると、リリィが勝ち誇ったような顔をした。
「自分で答えられないデリケートな質問を、私に振らないで」
「……それは失礼しました」
「わかってくれたならいいよ」
ひょっとしたら、意中の相手はここにいないのかもしれない。俺はリリィを好いてはいるが、それは恋愛ではない。人間として好いているだけだ。
となると。
俺とリリィはルーンに顔を向けた。
「え、思いを遂げることが目的なのに、振られろっていうんですか?」
彼はギョッとしている。この中で意中の相手が存在するのはルーンだけである。
よくよく考えてみれば、誰か一人がこの中に意中の相手がいるなら成立する問題なので、俺やリリィに意中の相手がいなくても成立することに気づいた。ルーンに想い人がいて、その相手がリリィであるならば充分なのだ。
俺は真顔で親指を立てた。
「平たくいうとそうなる」
「ひどい……」
半分涙目である。
泣くほどのことなのか……。
取り乱すほどに誰かを想ったことがないので、俺にはよくわからない感情だ。ただ、意図せぬ反応だったので申し訳なくは思った。
「とはいえ、振られるとは決まってない。だろう、リリィ?」
「え、そうなの?」
「ひどい……」
ルーンは泣き崩れた。告白する前から振られるルーンが不憫である。
すると、リリィは不思議そうな顔をして、そのあとに片手を横に振って何かを否定した。
「あ、そういう意味じゃなくてね。てっきり、アウルがルーンを好きなんだと思っていたから。ルーンもアウルのことを好いているし、相思相愛? 私の出番はないんだなって」
「は?」
「へ?」
そっちか!!!!!
俺たちは顔を見合わせた。しばし沈黙。
「えっと……ルーン、俺はお前を好いている。それは間違いない」
「ええ……そうですね、嫌いではないですね……」
状況からルーンも察したらしい。涙を拭って頷いた。
「じゃあ、もう泣くな。一緒にここから出よう」
ガシッとルーンを抱擁すると、道を塞いでいた岩が消滅した。
「おおー」
リリィが驚きの声を出して拍手をしてくれる。ありがとう、君の言動は俺にはちょっとわかりかねるぞ。
「アウル……これはこれで虚しさがあるんですが」
「俺だって、抱きしめるならリリィのほうがよかった」
「だったら、リリィと付き合えばいいのに」
彼女の耳に入らないように小声で話すと、俺たちは離れた。
「人選としては、このほうが話が早くていいだろ?」
さっさとここを出て次の冒険に出たがっているリリィの背中を見ながら、俺は呟く。ルーンは苦笑した。
「まあ……。とりあえず、リリィが僕たちをどういう目で見ているのかわかっただけでも僥倖です。この程度の条件でよかった。口づけとかだったら、トラップごと吹き飛ばしますよ」
「確かにそうだな」
下世話なトラップであれば、俺は間違いなくそうしただろう。リリィだったら、俺の制止も聞かずに問答無用で破壊するはずだ。
「でも、どうしてトラップを壊そうとしたリリィを止めたんです?」
「穏便に済ませられるならそれがいいと思っただけだ。単純に、こういうトラップが提示する条件に興味があった」
「条件を満たさずに破壊してもよかったのに」
「ははは」
とりあえず笑ってごまかしておいた。ルーンとリリィをからかうのはしばらくやめておこう。
「ほらほら! 二人とも! 先に行っちゃうよー!」
洞窟の奥の方からリリィの声がする。いつのまにかかなり先行しているようだ。
「悪い! すぐに行く」
「勝手な行動は慎んでください! また妙なトラップがあるかもしれませんよ!」
リリィに急かされて、俺たちはすぐに彼女を追ったのだった。
《完》
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる