1 / 20
戦場の処女は誘惑する
戦場の処女は誘惑する・1
しおりを挟む
辺りに満ちていた瘴気が薄まっていく。それと引き換えに、肉の焼け焦げた臭いと鉄の錆びた臭いが鼻につくようになった。
――魔物は駆逐できたみたいね……
マーティナはほっと息をついた。
同僚たちの肉体の断片やともに派遣された兵器である鉱物人形たちの宝石のような塊が、身を隠している廃墟の向こう側に多数散らばっている。においはそこから漂ってくるのだ。
今回の魔物討伐は転送されたところに一撃を喰らい、いきなり部隊が半減するところから始まった。悲しみにくれている暇なんぞなく、体勢をすぐに立て直し反撃することに思考を割き、今に至る。
――やだな……まだゾクゾクする……
戦闘が終わったことを知らせるシグナルが端末に届く。続いて届いたメッセージによると、事後処理班の到着まで半日かかるらしいとのことだ。
マーティナはため息をついた。片道切符で戦場に送られる戦闘員たちは、事後処理班に回収されるまではホームに帰れない。今夜は野宿だ。
身を隠していた廃墟に差し込む陽射しは屋内の奥まで届いている。間も無く日が暮れる。
――どれだけ生き残ったんだろう。
暗くなる前に誰かと合流するべきだと思ったが、身体の疼きを鎮めてからにすべきかマーティナは悩んだ。
この疼きは怪我やショックによるものではない。仲間の鉱物人形に魔力を与えるためにした口づけで、どうもスイッチが入ってしまったらしい。いつもなら戦闘を終えるまでには落ち着くのに、今日は戦闘が激しかったことと鉱物人形の彼の損傷具合が酷かったために魔力を大量に与える必要があったことなどから、身体が鎮まりきらなかったのだろうと判断した。
――彼は……ルビは残っているのかしら。
術を使って周囲の情報を収集する。戦闘域に魔物の気配はない。瘴気も消えて清浄化が進んでいる。人間で残っているのはマーティナだけ。鉱物人形は一体だけのようだ。
――近づいてきている?
残っていた鉱物人形が近づいているのがわかった。
マーティナは咄嗟に隠れる場所を探す。だが、移動する前に見つかってしまった。
「無事のようだな」
「よくここがわかりましたね」
逃げるのは変だと思い直し、マーティナは声をかけてきた赤い髪の青年に向き直りニコリと笑いかけた。
彼に怪我はなさそうだ。返り血を浴びていたり砂埃に塗れていたりで汚れてはいるが、赤く煌めく戦闘装束には傷はない。マーティナはほっと安堵した。
「紅玉には導く力があるからな。探し物は得意だ」
そう答えて、赤い髪の青年――紅玉の鉱物人形・ルビはマーティナの前にうやうやしく跪いた。
――魔物は駆逐できたみたいね……
マーティナはほっと息をついた。
同僚たちの肉体の断片やともに派遣された兵器である鉱物人形たちの宝石のような塊が、身を隠している廃墟の向こう側に多数散らばっている。においはそこから漂ってくるのだ。
今回の魔物討伐は転送されたところに一撃を喰らい、いきなり部隊が半減するところから始まった。悲しみにくれている暇なんぞなく、体勢をすぐに立て直し反撃することに思考を割き、今に至る。
――やだな……まだゾクゾクする……
戦闘が終わったことを知らせるシグナルが端末に届く。続いて届いたメッセージによると、事後処理班の到着まで半日かかるらしいとのことだ。
マーティナはため息をついた。片道切符で戦場に送られる戦闘員たちは、事後処理班に回収されるまではホームに帰れない。今夜は野宿だ。
身を隠していた廃墟に差し込む陽射しは屋内の奥まで届いている。間も無く日が暮れる。
――どれだけ生き残ったんだろう。
暗くなる前に誰かと合流するべきだと思ったが、身体の疼きを鎮めてからにすべきかマーティナは悩んだ。
この疼きは怪我やショックによるものではない。仲間の鉱物人形に魔力を与えるためにした口づけで、どうもスイッチが入ってしまったらしい。いつもなら戦闘を終えるまでには落ち着くのに、今日は戦闘が激しかったことと鉱物人形の彼の損傷具合が酷かったために魔力を大量に与える必要があったことなどから、身体が鎮まりきらなかったのだろうと判断した。
――彼は……ルビは残っているのかしら。
術を使って周囲の情報を収集する。戦闘域に魔物の気配はない。瘴気も消えて清浄化が進んでいる。人間で残っているのはマーティナだけ。鉱物人形は一体だけのようだ。
――近づいてきている?
残っていた鉱物人形が近づいているのがわかった。
マーティナは咄嗟に隠れる場所を探す。だが、移動する前に見つかってしまった。
「無事のようだな」
「よくここがわかりましたね」
逃げるのは変だと思い直し、マーティナは声をかけてきた赤い髪の青年に向き直りニコリと笑いかけた。
彼に怪我はなさそうだ。返り血を浴びていたり砂埃に塗れていたりで汚れてはいるが、赤く煌めく戦闘装束には傷はない。マーティナはほっと安堵した。
「紅玉には導く力があるからな。探し物は得意だ」
そう答えて、赤い髪の青年――紅玉の鉱物人形・ルビはマーティナの前にうやうやしく跪いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる