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戦場の処女は誘惑する
戦場の処女は誘惑する・2
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「今回の戦闘はだいぶ厳しかった。君が力を分けてくれなかったら敗走していたことだろう。感謝する」
見上げてくる彼の紅玉の瞳は真摯な視線を向けている。
マーティナの心はときめいた。だが、その気持ちを悟られないように平静を装う。
「当然のことをしたまでです。私は後方支援のほうが得意なので、攻撃特化型のあなたに戦力を割り振るのは自然です。こちらこそ、勝利をもぎ取ってくださったことに感謝します」
「……そうか」
薄く笑って、ルビはその場に胡座をかいた。首をコキコキと鳴らす。
「かたっくるしいのは疲れるから、くつろがせてもらう。君も好きにして構わない」
「その喋り方がそもそもかたっくるしいのですが」
マーティナはあきれた口調で答えると、ルビの隣に腰を下ろした。
赤い髪は硬い印象で、長めの前髪から覗く目元は少しつり目だが丸っこくて愛らしい。目の印象のせいか童顔だと感じられる。そう考えてしまうと、高すぎない鼻も赤くてこぢんまりとした唇も、ふっくらとした頬による幼さを彷彿させる輪郭も可愛らしい。
鉱物人形は十代後半から三十代の見た目を持つ。鉱物に宿る精霊と契約をして魔物を狩るための兵器として呼び出されるのだが、誰のセンスなのかいずれも若々しい男性の姿をとるのだ。その上、みな美形でスタイルも良い。
彼もまたその仕様に沿っており、とても造形が美しい。鉱物人形の中では小柄であるが、しなやかな筋肉をまとっており、力強さを感じる。スピード重視の接近戦に特化している影響らしいのだが、紅玉の鉱物人形の中では珍しい体型である。顔立ちが幼くその体格もあいまって、少年だと言っても通用する外見だ。
可愛いなあと思いながらマーティナが観察していると、ルビはむすっとした。不機嫌な子どもがするみたいな表情に感じられて、胸がキュンとする。
「……この喋り方は仕様だ」
「そうでしょうか。ほかのルビはここまでかたい喋り方ではなかった気がするんですけど……」
「それは君に対して下心があったからじゃないのか? 優しく接していたほうが、気をひけるだろう」
下心。
マーティナはルビに指摘されて小さく膨れる。つまり、隣にいるルビはマーティナに対して性的な欲求は抱かないと宣言したことになる。
――その気になれば、と思ったのに。
身体が疼く。口づけだけでもいい。
じっとルビの唇を見ていたら、彼がからかうように笑った。
見上げてくる彼の紅玉の瞳は真摯な視線を向けている。
マーティナの心はときめいた。だが、その気持ちを悟られないように平静を装う。
「当然のことをしたまでです。私は後方支援のほうが得意なので、攻撃特化型のあなたに戦力を割り振るのは自然です。こちらこそ、勝利をもぎ取ってくださったことに感謝します」
「……そうか」
薄く笑って、ルビはその場に胡座をかいた。首をコキコキと鳴らす。
「かたっくるしいのは疲れるから、くつろがせてもらう。君も好きにして構わない」
「その喋り方がそもそもかたっくるしいのですが」
マーティナはあきれた口調で答えると、ルビの隣に腰を下ろした。
赤い髪は硬い印象で、長めの前髪から覗く目元は少しつり目だが丸っこくて愛らしい。目の印象のせいか童顔だと感じられる。そう考えてしまうと、高すぎない鼻も赤くてこぢんまりとした唇も、ふっくらとした頬による幼さを彷彿させる輪郭も可愛らしい。
鉱物人形は十代後半から三十代の見た目を持つ。鉱物に宿る精霊と契約をして魔物を狩るための兵器として呼び出されるのだが、誰のセンスなのかいずれも若々しい男性の姿をとるのだ。その上、みな美形でスタイルも良い。
彼もまたその仕様に沿っており、とても造形が美しい。鉱物人形の中では小柄であるが、しなやかな筋肉をまとっており、力強さを感じる。スピード重視の接近戦に特化している影響らしいのだが、紅玉の鉱物人形の中では珍しい体型である。顔立ちが幼くその体格もあいまって、少年だと言っても通用する外見だ。
可愛いなあと思いながらマーティナが観察していると、ルビはむすっとした。不機嫌な子どもがするみたいな表情に感じられて、胸がキュンとする。
「……この喋り方は仕様だ」
「そうでしょうか。ほかのルビはここまでかたい喋り方ではなかった気がするんですけど……」
「それは君に対して下心があったからじゃないのか? 優しく接していたほうが、気をひけるだろう」
下心。
マーティナはルビに指摘されて小さく膨れる。つまり、隣にいるルビはマーティナに対して性的な欲求は抱かないと宣言したことになる。
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じっとルビの唇を見ていたら、彼がからかうように笑った。
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