宝石の呪いで逆ハーになりましたが、やっぱり嬉しくありません!

一花カナウ

文字の大きさ
110 / 309
血玉髄は太陽を追って

*2* 10月11日金曜日、放課後

しおりを挟む
 放課後。
 こうひかりと一緒に待ち合わせ場所として指定された星影ほしかげの森に着いたとき、すでに抜折羅ばさら遊輝ゆうき蒼衣あおいの三人は揃っていた。

「お待たせ。一人になると危ないからって、光に送ってもらっちゃった」

 三人に声を掛けると、光に向き直る。

「いつもありがとね」
「いえいえ。――しかし、こうして並んでいるのを見ると、なかなか華やかですわね」

 微笑みながら光がのほほんと言う。紅には彼女の感覚がよくわからないのだが、宝杖ほうじょう学院の女生徒たちの大半にはそう思われているらしい。

「ふふっ、そうでしょ? 紅ちゃんにもっと言ってあげてよ。どんだけこの学院の乙女が憧れている状況なのか、わかってないみたいだからさ」

 大袈裟に言う遊輝を、紅は冷ややかな目で見つめる。

「自分で言うと価値が下がりますよ、先輩」
「えー、どうして紅ちゃんはこの希少性を理解してくれないのかなぁ」

 むすーっとしてじっと紅を見つめる。
 紅が先に視線を外した。
 そんなやり取りをしている紅と遊輝を見て、楽しそうに光が笑う。

「うふふ。憧れの白浪しらなみ先輩と仲良くなれてよかったですわね」

 視線を蒼衣、抜折羅の二人に向け、光は続ける。

星章せいしょう先輩と少し距離ができて寂しそうにしていた春先からすれば、今はすっかり関係も回復しているみたいですし、金剛こんごうくんもアメリカから戻ってきて安心できましたものね」
「ひ、光っ!?」

 慌てて紅は光と三人の間に入って手を握る。恥ずかしさで身体から火が出そうだ。

「ちょっと、何言ってくれるのよっ!!」
「全部本当のことじゃありませんか」
「本当とか、そういう問題じゃなくてっ!!」

 言いながら、紅は三人を指差す。そんな話を本人を目の前にして言ってくれるな、というジェスチャー。

「……わたくしだって紅ちゃんの幼なじみです。ヤキモチくらい焼きますのよ?」

 三人には届かない音量で、光は呟く。その顔には子どもが悪戯いたずらを成功させたときのような笑みが広がっている。つまり、あの発言はわざとなのだ。

「――ではわたくしは用事がありますので、この辺で。紅ちゃんをよろしくお願いいたしますわ」

 紅の手をそっと解くと、光は三人に頭を下げる。

長月ながつきさん、いつも紅の面倒をみてくださりありがとうございます。貴女あなたも周囲には気を付けてくださいね」
「はい。――これで失礼いたします」

 蒼衣と言葉を交わすと、光は立ち去った。

「光ちゃんって、なかなか面白い子だね。大和やまと美人で雰囲気はおっとりしているのに、言いたいことはズバッと言うタイプ。紅ちゃんのそばには必要な友だちだね」

 光の背中が完全に見えなくなったところで、遊輝が感想を述べる。

「小学生時代からの親友ですよ。前はもうちょっとオブラートに包んだ物言いをしていたと思うんですけど」
「それは紅ちゃんが鈍いからじゃない?」
「鈍い?」
「うん。色々な意味で」

 遊輝の顔を見ると、あぁやっぱり紅ちゃんはわかってないんだね、と爽やかな笑みの下に書いてある。その態度が面白くなくて、紅は話を進めることにした。

「――で、今日はどうします? たいていの施設は回り終えてしまいましたけど」

 〝氷雪の精霊〟探しの再開である。これまで思い付く限りの学内施設を巡ったが、ヒントすら見つけ出せていない。約束の期日まで、今日を入れても三日しかないのに。
 しかし、発見できていない状況は将人まさとの方も同じらしかった。直接の戦闘は先週だけで落ち着いていたが、放課後や早朝にペンジュラムを握って校内を散策している彼の目撃情報が今朝まであったからだ。
 紅の問いに、抜折羅がズボンのポケットから小さな布製の袋を取り出して答えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

【完結】『大江戸妖怪診療所~奇病を治すは鬼の医者~』

月影 朔
歴史・時代
江戸の町外れ、鬼灯横丁で「玄庵診療所」を営むのは、人間離れした美貌を持つ謎の医師・玄庵。常人には視えぬ妖怪や穢れを視る力で、奇病に苦しむ人間や妖怪たちを癒やしています。ひょんなことから助手を務めることになった町娘のおみつは、妖怪の存在に戸惑いながらも、持ち前の行動力と共感力で玄庵の治療を手伝い、彼と共に成長していきます。 飄々とした情報屋の古狐妖怪・古尾や、言葉を解する化け猫・玉藻など、個性豊かな面々が診療所を彩ります。玄庵の過去にまつわる深い謎、人間と妖怪の間に立つ退魔師・竜胆との衝突、そして世界を混乱に陥れる「穢れ」の存在。様々な事件を通して、人間と妖怪の間に紡がれる絆と、未来への希望が描かれる、和風ファンタジー医療譚です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...