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白水晶は未来を託す
★7★ 10月12日土曜日、深夜
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「――どうやら終わったようだな」
将人の気怠そうな台詞が聞こえると同時に、彼の周囲に粉雪が舞った。
――なるほど、スノーフレークか。
抜折羅はその様子を見て、彼が何のタリスマントーカーなのか察した。将人はオブシディアンの中でも白い斑点模様を持つ石、スノーフレークのタリスマントーカーなのだ。
「あーあ、どうせこうなるとは思っていたが、現実になっちまうと不愉快だな」
舌打ちをして、将人は抜折羅に目を向けた。眼光が鋭い。
「なんだよ?」
黙って見つめられると、睨まれているようにしか感じられない。フレイムブラッドの気配が戻ってきたので、すぐに紅のそばに行ってやりたい気持ちがあったが、将人のそんな態度が気になって動けなかった。
「いや、あんたのどこに紅は惹かれたんだろうって考えてだな。てっきり彼女は蒼衣にいを選ぶと思っていたから」
「そうだねぇ、何事もなかったら、紅ちゃんは星章先輩を選んだだろうって僕も思うよ?」
将人の台詞に遊輝が相槌を打って告げる。
「二人して酷い言い方だな、おい。俺がこっちに来たせいでそうなったみたいに思われるのは癪なんだが……」
「君が閣下の恋路を邪魔しているのは確実だと思うけど?」
「その言葉、そのままお返しします」
――どうしてこの人は楽しげにそういうことを言えるんかな……。
呆れた気持ちを込めて遊輝に言ってやるが、彼はどこ吹く風といった様子でけろっとしていた。
――敵にすらならないとでも思われているのだろうか? 白浪先輩の思考はどうにも想像できん……。
鈍い頭痛がして、ため息と同時に額に触れる。
「――あ、金剛、あんたに伝えておくことがあるんだった」
「ん?」
ぶっきらぼうではあるが真面目な声色に、抜折羅は将人に向き直る。
「あんたの敵になるのは出水派の人間だけじゃない。身の回りに注意を向けておけっつー、千晶ばあちゃんからの言伝だ」
「出水千晶女史から?」
紅への言伝を出水千晶から頼まれる状況は想像がつく。火群家と黒曜家は星章家と同様に家族ぐるみの付き合いがあり、千晶と将人はそれなりに親しくしていたはず。ならば、フレイムブラッドを手にする紅への言伝を、予め将人に頼む状況は考え得る範囲だ。
――だが、どうして俺に言伝を? 出水千晶女史は俺を知らないはずなんだが……。
戸惑う抜折羅に、将人は続ける。
「ってか、あんたが紅に接触することを千晶ばあちゃんは知っていたようなんだが、それはおれみたいに彼女から指示されていたからか?」
「違う」
すぐに首を横に振り、抜折羅は台詞を続けて言う。
「何故なら、俺は出水千晶女史と会ったことがないからだ。そもそも、俺がここに来たのは〝ホープ〟の回収のためで、紅に会うためではなかったし」
「ふぅん。じゃあ、《予知》ってことかな。ここまで正確だと薄気味悪ぃぜ、まったく」
将人はつまらなそうに言い捨てて、舞台から身軽に飛び降りる。そして、すたすたと階段を上り始めた。
「んじゃ、おれは帰るわ。警備員が駆け付ける前にずらかった方が良いんじゃね?」
口元にうっすらと笑みを浮かべ、将人は紅たちがいない扉から外に出てしまう。
将人の気怠そうな台詞が聞こえると同時に、彼の周囲に粉雪が舞った。
――なるほど、スノーフレークか。
抜折羅はその様子を見て、彼が何のタリスマントーカーなのか察した。将人はオブシディアンの中でも白い斑点模様を持つ石、スノーフレークのタリスマントーカーなのだ。
「あーあ、どうせこうなるとは思っていたが、現実になっちまうと不愉快だな」
舌打ちをして、将人は抜折羅に目を向けた。眼光が鋭い。
「なんだよ?」
黙って見つめられると、睨まれているようにしか感じられない。フレイムブラッドの気配が戻ってきたので、すぐに紅のそばに行ってやりたい気持ちがあったが、将人のそんな態度が気になって動けなかった。
「いや、あんたのどこに紅は惹かれたんだろうって考えてだな。てっきり彼女は蒼衣にいを選ぶと思っていたから」
「そうだねぇ、何事もなかったら、紅ちゃんは星章先輩を選んだだろうって僕も思うよ?」
将人の台詞に遊輝が相槌を打って告げる。
「二人して酷い言い方だな、おい。俺がこっちに来たせいでそうなったみたいに思われるのは癪なんだが……」
「君が閣下の恋路を邪魔しているのは確実だと思うけど?」
「その言葉、そのままお返しします」
――どうしてこの人は楽しげにそういうことを言えるんかな……。
呆れた気持ちを込めて遊輝に言ってやるが、彼はどこ吹く風といった様子でけろっとしていた。
――敵にすらならないとでも思われているのだろうか? 白浪先輩の思考はどうにも想像できん……。
鈍い頭痛がして、ため息と同時に額に触れる。
「――あ、金剛、あんたに伝えておくことがあるんだった」
「ん?」
ぶっきらぼうではあるが真面目な声色に、抜折羅は将人に向き直る。
「あんたの敵になるのは出水派の人間だけじゃない。身の回りに注意を向けておけっつー、千晶ばあちゃんからの言伝だ」
「出水千晶女史から?」
紅への言伝を出水千晶から頼まれる状況は想像がつく。火群家と黒曜家は星章家と同様に家族ぐるみの付き合いがあり、千晶と将人はそれなりに親しくしていたはず。ならば、フレイムブラッドを手にする紅への言伝を、予め将人に頼む状況は考え得る範囲だ。
――だが、どうして俺に言伝を? 出水千晶女史は俺を知らないはずなんだが……。
戸惑う抜折羅に、将人は続ける。
「ってか、あんたが紅に接触することを千晶ばあちゃんは知っていたようなんだが、それはおれみたいに彼女から指示されていたからか?」
「違う」
すぐに首を横に振り、抜折羅は台詞を続けて言う。
「何故なら、俺は出水千晶女史と会ったことがないからだ。そもそも、俺がここに来たのは〝ホープ〟の回収のためで、紅に会うためではなかったし」
「ふぅん。じゃあ、《予知》ってことかな。ここまで正確だと薄気味悪ぃぜ、まったく」
将人はつまらなそうに言い捨てて、舞台から身軽に飛び降りる。そして、すたすたと階段を上り始めた。
「んじゃ、おれは帰るわ。警備員が駆け付ける前にずらかった方が良いんじゃね?」
口元にうっすらと笑みを浮かべ、将人は紅たちがいない扉から外に出てしまう。
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