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【番外編】必要なのは夢魔を祓う石(R-15)
★5★ 12月7日土曜日、朝
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池袋へと向かうステーションワゴンの車内。後部座席に並んで座り、事情聴取が終了。車を運転する執事トパーズに聞かせるような内容ではないだけに、始終ひそひそ話となったわけだが。
「……大体のことは理解した」
フレイムブラッドの言っていたことはおおよそ事実であり、紅はそれを昨日、今朝と続けて見たのだと言う。
抜折羅は自分の中で導き出された結論に、しばし唸る。だが、納得できない結論であっても、否定できるだけの要素は挙げられない。
結局、台詞を続ける。
「紅? 言わせてもらうがな、少なくともお前の潜在意識にはそういうことを期待する面があるぞ?」
「あ、あたしに欲求が溜まっているとでも言いたいわけっ!?」
受け入れられないらしく、紅は小声ながらも不満げに声を荒げた。
「それは語弊を含む。期待しているってだけで、遂行したいわけじゃない……はずだ」
主観が混じっているが、ストレートに言うのもはばかれるような気がして、抜折羅は台詞を適当に濁す。
「む……」
「それと、あんまり否定するな。抑圧し続けると、本当に欲求不満になるぞ。それに――」
「それに?」
告げるのを躊躇ったら、紅に促されてしまった。だから、素直に気持ちを明かすことにする。
「……俺自身が拒絶されているみたいで、少し傷付く」
彼女の台詞にそんな意図が存在しないことは、頭ではわかっているつもりだ。彼女なりに抜折羅の都合を考慮し、その結果が今の微妙な関係を作っているのだとも理解できている。
――でも、そんな気はないと否定されると、モヤモヤする。
「あ……ゴメン。そんなつもりはなかったんだけど……でも、そう感じられてもおかしくないか。別に、抜折羅が触れてくれることについては嫌じゃないのよ?」
「……紅、お前、もう少し言葉を選べ。誤解するし、俺がお前をどう思い、どうしたいと考えていると思っているんだ?」
これは脅しだ。紅にもっと触れてみたいという衝動があることは否定しない。しかし、今すぐに行動を起こそうとは考えていなかった。彼女を大事にしたい気持ちが理性を呼び、本能を抑えている。今のこの距離と関係を維持したい気持ちが強いのだ。
「わ、悪かったわね。語彙力が足りなくて」
「スキンシップが足りないと言いたいのなら、手ぐらい繋いでも構わないんだが」
つんつんと、彼女の右手を人差し指でつついてやる。数ヶ月前には手を繋ぐことさえ照れくさかったのだが、最近はこのくらいできないでどうするのかという心境に達した。恋人だというのなら、できて当然だと思えるようになったからだろうか。
紅の右手は恥ずかしそうにして逃げていく。
「今どき、小学生でも手を繋ぐ以上のことをするんじゃないかと思うけど」
顔を背けられて、小声で呟かれる。むすっとしているのは照れ隠しだとすぐにわかった。
――変なところで積極性を出すくせに、こっちが攻めるともじもじするんだよな……。
学校で過ごしているときよりも頑張ってアピールしている自覚はある。デートだと意識しているために、どこぞのスイッチが入っているのだろう。自分らしくないが、彼女の好みを研究した結果なのだから、無理のない演出くらいはしてやろうという気になる。
「ふぅん……紅はそういうことを俺に期待しているのか」
紅の顎に触れて、やや強引に顔を合わさせる。逃げる気になれば逃げられるくらいの力しか加えていないが、彼女は素直に従っている。
「違っ!? あ、いや、違わないとも言えるけど、たぶん違うの」
顔を再び赤くして狼狽えている。
――可愛い……。
こういうときの彼女を見ていて楽しく思い、彼女を愛しく感じてしまうのだから、自分は案外とイヤな趣味の持ち主なのだなと思う。この点に関しては、紅の周りを彷徨く男どもが彼女にちょっかいを出したくなる気持ちを理解できる。故に、警戒しているのだが。
「紅。今ここでできることなら、お前が望むことをしてやるぞ?」
そもそも、今日彼女を外に連れ出したのには目的がある。なんとなくデートがしたくなったわけではないのだ。
――さぁ、どうする?
「……大体のことは理解した」
フレイムブラッドの言っていたことはおおよそ事実であり、紅はそれを昨日、今朝と続けて見たのだと言う。
抜折羅は自分の中で導き出された結論に、しばし唸る。だが、納得できない結論であっても、否定できるだけの要素は挙げられない。
結局、台詞を続ける。
「紅? 言わせてもらうがな、少なくともお前の潜在意識にはそういうことを期待する面があるぞ?」
「あ、あたしに欲求が溜まっているとでも言いたいわけっ!?」
受け入れられないらしく、紅は小声ながらも不満げに声を荒げた。
「それは語弊を含む。期待しているってだけで、遂行したいわけじゃない……はずだ」
主観が混じっているが、ストレートに言うのもはばかれるような気がして、抜折羅は台詞を適当に濁す。
「む……」
「それと、あんまり否定するな。抑圧し続けると、本当に欲求不満になるぞ。それに――」
「それに?」
告げるのを躊躇ったら、紅に促されてしまった。だから、素直に気持ちを明かすことにする。
「……俺自身が拒絶されているみたいで、少し傷付く」
彼女の台詞にそんな意図が存在しないことは、頭ではわかっているつもりだ。彼女なりに抜折羅の都合を考慮し、その結果が今の微妙な関係を作っているのだとも理解できている。
――でも、そんな気はないと否定されると、モヤモヤする。
「あ……ゴメン。そんなつもりはなかったんだけど……でも、そう感じられてもおかしくないか。別に、抜折羅が触れてくれることについては嫌じゃないのよ?」
「……紅、お前、もう少し言葉を選べ。誤解するし、俺がお前をどう思い、どうしたいと考えていると思っているんだ?」
これは脅しだ。紅にもっと触れてみたいという衝動があることは否定しない。しかし、今すぐに行動を起こそうとは考えていなかった。彼女を大事にしたい気持ちが理性を呼び、本能を抑えている。今のこの距離と関係を維持したい気持ちが強いのだ。
「わ、悪かったわね。語彙力が足りなくて」
「スキンシップが足りないと言いたいのなら、手ぐらい繋いでも構わないんだが」
つんつんと、彼女の右手を人差し指でつついてやる。数ヶ月前には手を繋ぐことさえ照れくさかったのだが、最近はこのくらいできないでどうするのかという心境に達した。恋人だというのなら、できて当然だと思えるようになったからだろうか。
紅の右手は恥ずかしそうにして逃げていく。
「今どき、小学生でも手を繋ぐ以上のことをするんじゃないかと思うけど」
顔を背けられて、小声で呟かれる。むすっとしているのは照れ隠しだとすぐにわかった。
――変なところで積極性を出すくせに、こっちが攻めるともじもじするんだよな……。
学校で過ごしているときよりも頑張ってアピールしている自覚はある。デートだと意識しているために、どこぞのスイッチが入っているのだろう。自分らしくないが、彼女の好みを研究した結果なのだから、無理のない演出くらいはしてやろうという気になる。
「ふぅん……紅はそういうことを俺に期待しているのか」
紅の顎に触れて、やや強引に顔を合わさせる。逃げる気になれば逃げられるくらいの力しか加えていないが、彼女は素直に従っている。
「違っ!? あ、いや、違わないとも言えるけど、たぶん違うの」
顔を再び赤くして狼狽えている。
――可愛い……。
こういうときの彼女を見ていて楽しく思い、彼女を愛しく感じてしまうのだから、自分は案外とイヤな趣味の持ち主なのだなと思う。この点に関しては、紅の周りを彷徨く男どもが彼女にちょっかいを出したくなる気持ちを理解できる。故に、警戒しているのだが。
「紅。今ここでできることなら、お前が望むことをしてやるぞ?」
そもそも、今日彼女を外に連れ出したのには目的がある。なんとなくデートがしたくなったわけではないのだ。
――さぁ、どうする?
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