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White Day's Rhapsody
★10★ 3月14日金曜日、22時前
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夕食を終えて、紅が入浴に出掛けている間、部屋には抜折羅と遊輝が残っていた。
海を見下ろせる最上階の和室。部屋に付属する風呂に入って浴衣に着替え、窓際の掘り炬燵で寛ぐ遊輝は真っ暗になった外を眺めている。長い銀髪は下ろしたまま束ねていない。そんな姿は絵になるような気がする。
風呂上がりの抜折羅は、紅が戻ってきていないのを確認した上で問うことにした。気になっていたことがあるのだ。
「――白浪先輩は、部屋のこと聞いていたんですか?」
問い掛けると、遊輝は抜折羅にゆっくりと顔を向けて微笑んだ。
「ん? 陽太くんからは、ホテルは楽しみにしていいとだけ言われたよ。彼の趣味は面白いね」
「迷惑なだけですよ。アメリカにいた間はずっと標的にされていたんですから、いい加減にして欲しいくらいだ」
うんざりしているのだ。陽太の玩具にされたくないのに、どう気を付けていてもはめられてしまう。理不尽だ。
むすっとして不機嫌な抜折羅に、遊輝は明るく笑う。
「抜折羅くんはからかいがいがあるからね。天然なところもあるから、予想を良い感じに外すし。ちょっかいを出したくなる気持ちはよくわかるよ」
「白浪先輩も同系統の性格でしたね」
からかってくるのは陽太だけではない。目の前にいる遊輝もその傾向は備えている。
「キャラが被っているみたいな言い方は心外だなぁ」
微苦笑を浮かべる。彼は表情がころころ変わるな、と抜折羅は毎度ながら思う。
「厄介さが同程度ってことですよ」
「厄介かい? 僕は陽太くんと比べたら、だいぶ君を贔屓していると思うんだけどな」
「贔屓、ですか?」
奇妙な単語を使ってくるな、と感じての問い。
遊輝は不思議そうな顔をする。
「だって、協力的でしょ? 僕は君とも紅ちゃんとも敵対関係になった記憶はないよ」
「いや、紅を攫ったことがあるくせによくそんな台詞が出ますね」
危うく鵜呑みにするところだった。抜折羅は思い出してすかさず指摘する。
「えー? おかしいなぁ、合意の上だったはずなのに。それに、あのときは君からの一方的な宣戦布告であって、僕は君を敵だとは思っていなかったよ」
「紅を好いているのに、俺を邪魔だとは思わないんですか?」
紅に想いを寄せる蒼衣からの敵意は感じるが、同じ状況のはずの遊輝からはそういった気持ちを感じたことはない。
「僕は君のことも好きだからね」
「な……」
思わず絶句する。ラヴの意味ではなくライクの意味に違いないのだが、好かれているとは思わなかったのだ。
「ふふっ、愉快な反応だね。君の顔が赤く見えるのは湯上がりだからかな?」
「阿呆抜かせっ!!」
「期待されているところ申し訳ないけど、僕は女の子の方がずっと好きだから安心していいよ?」
言って、妖艶に微笑む。中性的な整った顔立ちでそんな仕草をされると、彼なのか彼女なのか曖昧になる。
「ただ、まぁ、思うとすれば、君と紅ちゃんと僕で、みたいな妄想くらいはしたかな。うまくいくような気がするんだよねぇ」
「……一体何の話をしている?」
遊輝が何を考えているのか、抜折羅にはさっぱりわからない。
「だからさ、二人で紅ちゃんを襲お――」
「ただいまー」
ドアが開く音とともに聞こえてきたのは紅の声。遊輝は台詞をみなまで言わず、口を閉じた。
海を見下ろせる最上階の和室。部屋に付属する風呂に入って浴衣に着替え、窓際の掘り炬燵で寛ぐ遊輝は真っ暗になった外を眺めている。長い銀髪は下ろしたまま束ねていない。そんな姿は絵になるような気がする。
風呂上がりの抜折羅は、紅が戻ってきていないのを確認した上で問うことにした。気になっていたことがあるのだ。
「――白浪先輩は、部屋のこと聞いていたんですか?」
問い掛けると、遊輝は抜折羅にゆっくりと顔を向けて微笑んだ。
「ん? 陽太くんからは、ホテルは楽しみにしていいとだけ言われたよ。彼の趣味は面白いね」
「迷惑なだけですよ。アメリカにいた間はずっと標的にされていたんですから、いい加減にして欲しいくらいだ」
うんざりしているのだ。陽太の玩具にされたくないのに、どう気を付けていてもはめられてしまう。理不尽だ。
むすっとして不機嫌な抜折羅に、遊輝は明るく笑う。
「抜折羅くんはからかいがいがあるからね。天然なところもあるから、予想を良い感じに外すし。ちょっかいを出したくなる気持ちはよくわかるよ」
「白浪先輩も同系統の性格でしたね」
からかってくるのは陽太だけではない。目の前にいる遊輝もその傾向は備えている。
「キャラが被っているみたいな言い方は心外だなぁ」
微苦笑を浮かべる。彼は表情がころころ変わるな、と抜折羅は毎度ながら思う。
「厄介さが同程度ってことですよ」
「厄介かい? 僕は陽太くんと比べたら、だいぶ君を贔屓していると思うんだけどな」
「贔屓、ですか?」
奇妙な単語を使ってくるな、と感じての問い。
遊輝は不思議そうな顔をする。
「だって、協力的でしょ? 僕は君とも紅ちゃんとも敵対関係になった記憶はないよ」
「いや、紅を攫ったことがあるくせによくそんな台詞が出ますね」
危うく鵜呑みにするところだった。抜折羅は思い出してすかさず指摘する。
「えー? おかしいなぁ、合意の上だったはずなのに。それに、あのときは君からの一方的な宣戦布告であって、僕は君を敵だとは思っていなかったよ」
「紅を好いているのに、俺を邪魔だとは思わないんですか?」
紅に想いを寄せる蒼衣からの敵意は感じるが、同じ状況のはずの遊輝からはそういった気持ちを感じたことはない。
「僕は君のことも好きだからね」
「な……」
思わず絶句する。ラヴの意味ではなくライクの意味に違いないのだが、好かれているとは思わなかったのだ。
「ふふっ、愉快な反応だね。君の顔が赤く見えるのは湯上がりだからかな?」
「阿呆抜かせっ!!」
「期待されているところ申し訳ないけど、僕は女の子の方がずっと好きだから安心していいよ?」
言って、妖艶に微笑む。中性的な整った顔立ちでそんな仕草をされると、彼なのか彼女なのか曖昧になる。
「ただ、まぁ、思うとすれば、君と紅ちゃんと僕で、みたいな妄想くらいはしたかな。うまくいくような気がするんだよねぇ」
「……一体何の話をしている?」
遊輝が何を考えているのか、抜折羅にはさっぱりわからない。
「だからさ、二人で紅ちゃんを襲お――」
「ただいまー」
ドアが開く音とともに聞こえてきたのは紅の声。遊輝は台詞をみなまで言わず、口を閉じた。
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