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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
まさか、こんなところで 2
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私は怯まずに睨みつけた。相手が黙っているので、私は言葉を続ける。
「わ、私はずっと、あなた様をお慕いしておりました! あなた様との間に優秀な子どもをたくさんもうけて、この国の未来に尽くせる日を待ち望んでいたのです。なのに、アーデルベルトさまは婚約者であったはずの私を気にかけることなどせず、マリアンネのことばかり意識していたではありませんか! 悔しかったし、つらかった。私、あの日もそう申したはずです!」
仲間だったり同士だと思っていたたくさんの人たちから糾弾されたあの日、私は確かに反論した。
恋愛感情なんて抱いてないし、愛情なんてものもアーデルベルトに対して持っていない私だったけれど、慕っていたし尊敬していたのだ。親同士の決めごとがきっかけであっても、きっと彼とはうまくやっていける、両親たちやこの国が求めるような人物を私は演じきれる自信があった。
それを、あっさりとアーデルベルトに踏みにじられた。とてもとてもショックだった。自棄を起こすくらいには。
婚約者という立場であっても、彼が私の味方になってくれるとは考えてはいなかった。マリアンネに悪いことをした自覚はあったから。
だけど、軽蔑され、拒絶されるとまでは思わなかった。
あのアーデルベルトの顔は、演技じゃない。本気で見下す、冷ややかな表情が、私に向けられていることに耐えられなかった。
アーデルベルトは見下ろしたまま、顎を掴んで私の顔をしっかりと見た。
「オレは『無事に討伐できた暁には、ここで剥奪した地位と名誉を回復させてやる』と言ったはずだが? その意味がわかっていたなら、ほかの男に走る真似などしないのではないか? そんな格好をしてこんな場所にいるということは、オレの婚約者としての立場などいらないということだろう? 違うか? 違わないだろ」
断定すると、アーデルベルトは掴んでいた私の顎を乱暴に離す。
顎に痛みがじんわりと伝わった。私は悔しくて、涙が自然とこぼれる。
こんなことをされなきゃいけないほど、私は悪いことをしたかしら。私だけじゃないないでしょう? どうして私だけ責められるの? ――聞いても、アーデルベルトさまは答えないわね。
あのときだって、そう悟ったから諦めたの。
「わ、私はずっと、あなた様をお慕いしておりました! あなた様との間に優秀な子どもをたくさんもうけて、この国の未来に尽くせる日を待ち望んでいたのです。なのに、アーデルベルトさまは婚約者であったはずの私を気にかけることなどせず、マリアンネのことばかり意識していたではありませんか! 悔しかったし、つらかった。私、あの日もそう申したはずです!」
仲間だったり同士だと思っていたたくさんの人たちから糾弾されたあの日、私は確かに反論した。
恋愛感情なんて抱いてないし、愛情なんてものもアーデルベルトに対して持っていない私だったけれど、慕っていたし尊敬していたのだ。親同士の決めごとがきっかけであっても、きっと彼とはうまくやっていける、両親たちやこの国が求めるような人物を私は演じきれる自信があった。
それを、あっさりとアーデルベルトに踏みにじられた。とてもとてもショックだった。自棄を起こすくらいには。
婚約者という立場であっても、彼が私の味方になってくれるとは考えてはいなかった。マリアンネに悪いことをした自覚はあったから。
だけど、軽蔑され、拒絶されるとまでは思わなかった。
あのアーデルベルトの顔は、演技じゃない。本気で見下す、冷ややかな表情が、私に向けられていることに耐えられなかった。
アーデルベルトは見下ろしたまま、顎を掴んで私の顔をしっかりと見た。
「オレは『無事に討伐できた暁には、ここで剥奪した地位と名誉を回復させてやる』と言ったはずだが? その意味がわかっていたなら、ほかの男に走る真似などしないのではないか? そんな格好をしてこんな場所にいるということは、オレの婚約者としての立場などいらないということだろう? 違うか? 違わないだろ」
断定すると、アーデルベルトは掴んでいた私の顎を乱暴に離す。
顎に痛みがじんわりと伝わった。私は悔しくて、涙が自然とこぼれる。
こんなことをされなきゃいけないほど、私は悪いことをしたかしら。私だけじゃないないでしょう? どうして私だけ責められるの? ――聞いても、アーデルベルトさまは答えないわね。
あのときだって、そう悟ったから諦めたの。
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