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4:魔導師として宮廷入りしたので、身辺警護は完璧です!

就寝の時間がやってきて 2

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「あら?」

 モニックが先にその小さな音に気づき、扉に向かう。こちらの足音を察知したのか、すっとドアの隙間から書簡が差し込まれた。モニックはその書簡を取って中を開く。

「おやまあ」
「指令ですか?」

 寝るつもりでいたが、緊急招集があったのかもしれない。身構えてアルフォンシーヌはモニックのもとに向かう。
 驚いた顔をしたモニックは、手紙の文面がわかるようにアルフォンシーヌに向けてくれた。

「脅迫文が届いたので、今夜は二人ともリシャール殿下の部屋で過ごすように、だそうよ」

 説明されて、アルフォンシーヌは手紙を勢いよく奪うと、じっくりと文面に目を通す。

 何かの間違い……ではなさそうね……。

 手紙にはいつぞやのときにも見かけたリシャール殿下の署名もあるので、彼の御指名ということだろう。

「別にこれ、あたしたちじゃなくてもいいのではありませんか?」
「そう? 攻撃魔法と精神魔法の組み合わせは最強じゃないかと思うけど」
「だ……だとしても、それこそうちの師匠がいれば充分でしょ」

 組み合わせは最強だと言われて、一瞬、それもそうだと納得しかけてしまった。今日の魔導師メンバーを思い返すに決して悪くはないからだ。アルフォンシーヌはモニックからも指導を受けていることもあり、協力して動くことには慣れてもいるのでなおさら。
 だが、今日はメルヒオールがいる。
 メルヒオールは不得意分野がないという稀有な魔導師だ。それこそ大抵のことはそつなくこなせる。教育が不得手ゆえに位こそ師範代であるが、能力的には師範と同等あるいはそれ以上。アルフォンシーヌとモニックが手を組んで戦ってもおそらく勝てない――そういう魔導師だ。
 アルフォンシーヌが抗議すると、モニックは心得た様子で宮廷魔導師の制服に着替え始めていた。

「メルにはメルで明日の仕事に備えなきゃいけないから、あたいたちが適任なのよ。仕事で来ているんだから覚悟しなさい」

 仕事。
 モニックに叱咤されて、アルフォンシーヌは気持ちを切り替える。

「……はい」

 そう、これは仕事だ。二人で来いというのだから、純粋に警備が目的なのだと信用できる。メルヒオール以外の男性だから、リシャールと同じ部屋で過ごすのが嫌だなんてわがままは通らない。

 大丈夫よ、何もないに決まってる。変な想像をして警備に当たったら、支障が出るわ。気を引き締めないと。

 モニックがしていたように制服を着なおし、アルフォンシーヌたちはリシャールが待つ部屋へと向かう。
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