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第035話、濃いキャラを増やしすぎじゃない?
しおりを挟む治癒師協議会からの呼び出しにより俺は街の中心部に来ていた、さすが中心だけあって都会な感じだ、それでなぜ二人がここにいるのでしょうか?
「久しぶりに来たわ~★ あの服かわいい~★」
「ワシも治癒院を追い出された時以来じゃ!」
地図を見ながら中心部に到着すると当たり前のようにネネタンとエステン師匠がいた、なぜ俺より早くに来ている? なぜ知っている? そしてネネタン、当たり前のように腕を組むな! 今度は手の指に集中的に毛を生やすぞ!
俺が睨んでいるとネネタンが説明してくれた。
「エステンちゃんから聞いたのよ★ 弟子が出世するって、それで良い機会だから観光しようって★」
エステン師匠をチラッと見ると、どや顔をしていた。
「ワシはお前のことはなんでも知っておる、弟子のことを把握するのも師匠の役割じゃ」
前から思っていたがエステン師匠は俺をストーカーしてるのか? 教えてないことまで知ってるし、なんでもかんでも『師匠じゃからな』ですませるのはさすがに無理があるぞ。
「一応お偉いさんと会うみたいなんで問題は起こさないでくださいね」
「大丈夫よ★ サルナスちゃんの保護者ですもの★」
「ワシも保護者じゃ! 弟子を見守っておる!」
幼女とオネェさんが保護者、いつのまにそんなことが決まったのだろうか、俺は不安を感じつつ協議会へ向かう。
「ところでエステン師匠は、その、大丈夫なんですか? 治癒院を追放されたんですよね?」
「ああ、そのことなら大丈夫じゃ! ワシがお前の師匠であることはもう伝えてある、それでワシの理論が正しいと証明されたからな」
「いつのまに、、、」
どうやらエステン師匠は知り合いを通じて協議会とやり取りをしていたらしい、しばらくして協議会へ到着した、俺がいる南の治癒院とは比べ物にならないほど立派な建物だ。
「でっかいね~ 緊張してきた……」
俺は協議会の中に入って受付で名前を伝える、受付の女性は丁寧に案内をしてくれた、後の二人を見ても表情を変えず笑顔なのはさすがにプロだなと感じた、まず控え室に向かい着替えを促され、その後にいよいよ儀式のための部屋に案内される。
「こちらでございます、中へお入りください」
扉の向こうにお偉いさんが並んでいるのか、更にドキドキしてきた。 俺は扉を開けて奥の方へ進んでいく。
中に入り部屋の中央部まで進むと、正面に一人、左右に二人ずつで合計五人の幹部らしき人が中央を囲むように座っていた、顔は布で隠してあるのでわからないが体格からして女性が三人、男性が二人のようだ、正面の女性が話しかけてきた。
「よく来てくれました、新たな【聖女】よ」
「はい」
「あなたの功績は聞いております、魔物騒動では怪我人を多く助け、なおかつ普通なら助からない程の重傷者を治してみせた、さらには暴れている魔物を静めました、領主様のお嬢様については治療方法すら見つけられなかった心臓の病を見事治療した、この二つは普通の治癒師ではできなかったこと、その功績を称え【聖女】の称号を授けたい思います、なにか質問はありますか?」
正面の女性は意外と優しそうな雰囲気だ、俺は緊張しながらも疑問に思う点を聞いてみた。
「あの、この度の話は嬉しく思います、けれど私は男ですし【聖女】という称号に対して疑問があります、違う称号になるのですか? あと【聖女】のイメージには合わないのではないかと」
俺の中での【聖女】のイメージ
・治癒師の中で最高位の称号
・凄い治癒魔法が使える
・存在するだけで周囲が癒される
・笑顔がとてもすてきな巨乳
・握手券が無くても無料で優しくしてくれるアイドル
以上だ!
俺の中での【聖女】のイメージを伝えた、すると俺の右側に座っている男性が話しかけてきた、顔を隠している布には『南』と書かれている。
「それについては私が説明しよう、先程のイメージには何か個人的な好みがあるようにも思えるが、特に後半…… まぁいい、とにかく【聖女】という称号は認知度が凄まじく高い」
ふむふむ、俺はあまり詳しくは知らなかったけどね。
「【聖女】とは? と聞かれれば子どもだって詳しく話すことができる! それだけ【聖女】の名は有名なのだ!」
俺は子ども以下なのか、世間知らずもいいとこだな。
「だがしかし! 君のことを仮に*聖男*と名付けたとしよう、そして 『とある街に*聖男*が誕生しました!』 と世の中に知らせたときに、聞いた者はどう思う? 『*聖男*? なんだそりゃ? 何か得体の知れない者があの街にはいるらしい、近寄らないようにしよう』となってしまう!」
そこは*聖人*とか*聖者*とかでもいいんじゃないだろうか、*聖男*なんて呼ぶから気持ち悪いのでは?
「*聖人*とかではダメなのでーー」
「そうなるとぉ! 街の発展どころではぬぁーい、逆に衰退してしまうぅ!」
人の話を聞けよ! なんかどこぞのアイドルの親衛隊みたいに熱弁してるな、ちと怖いぞ。
「それほどに【聖女】の名は有名すぎるのだぁ! かといって君の能力の高さを考えると、一般の治癒師としておくにはもったいない、なので従来通り【聖女】の称号を与えることになったぁ! というわけだ」
やっと声のトーンが落ち着いた、もう一回聞いてみよう。
「それなら、例えば*聖人*とか*聖者*とかはダメなんですか?」
「インパクトが足りない、それにその言葉だとなんか痩せてて、悟ったような表情してて『贅沢(ぜいたく)は敵』みたいなイメージがある、あまり良いとはいえない、【聖女】とはあくまでも称号なのだ、女性にこだわる必要もない」
そのイメージでも良いのでは? 街の発展とかなんか世俗的(せぞくてき)な感じがするけどな。 最後のはこじつけなんではないだろうか
「でも俺が【聖女】と名乗ると『えっ!?』ってなりません? 偽物扱いされるかも」
「そこはお前の治癒魔法で黙らせればいい、治癒して見せれば納得するだろ」
物騒なことを言いだしたよ、ほんとに幹部なのか?
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