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第一章 奔走冒険者編
第十三話 九尾
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「ハァー。で、どんな状態なんだ?」
「いやそれが、夜になると何かが取り付いたように暴れだすのだ。明日には重要な会議があるので、私は今晩中にはこの城を出なければならない」
「今何時?」
「午後2時半前でございます」
OH。おでこがまぶしい執事さん。ありがとう。
今、城内でお姫様の部屋に移動中。まあ単なる王女なんだけど。
「着きました。この部屋です」
「ずいぶん厳重だな。ほとんど地下牢獄なんじゃ」
「こうしなければ、国民にも被害が及ぶ上に、娘の体が傷ついてしまう。ああ、私の愛する娘よ!!!」
マジで親バカかよ。にしても、世界会議には俺も行くのに場所が分からないんだよなあ。
ゴンゴン!
「王女様。英雄様を連れてまいりました。入室の許可を」
「ごほっ。ええ。どう、ゴホッゴホッ。どうぞ、お入りください。ごほっ」
頑丈で分厚そうな扉の中から、かすれた弱弱しい声が聞こえてきた。
これは末期かもな。やばそうだ。
「っ!!?その尻尾は・・・・・・」
「ああ。知っておられたのですか。ごほっごほっ。これは九尾の尾です。私は狐の獣人です。ごほっ。この国で封印していたのですが、ガッ、カハッ!」
「おいおいマジか」
血だった。一度に出てきたとは思えないほどの量の吐血。
『浄化』系の能力を使うしかなさそうだな。まあ、一応あるんだけどさ。
「王女様。そこから先は「私が説明しよう」・・・・・・国王様が説明いたしますので」
「ええ。ありがとうお父様。ウッ!ゴホッゴホッ」
ちょっとやばそうだ。早めに少しでも回復させたほうがいいだろう。
「説明するのは少し待ってくれ。名前は何だっけ?「ミリスだ」ああ、ミリス様。あんたのステータスで、体力は残りどれぐらいだ?」
「な、貴様何を言っている!王女様のステータスを聞こうなどとは「黙れ。あんたには聞いてないんだハゲ執事」な・・・・・・!?」
はー。この国も苦労してそうだな。さっさとしておかないとやばそうなんだが。何で分からないかなー。バカだろ。
「ふふふ。見てかまいませんよ。ごほっ。どうせ後先長くなさそうですし」
「感謝しますよミリス様」
様付けするのは変な感じがするなあ。
名前 ミリス・イダルズ・オマル・バルトガミル
レベル 16 憑依・大魔獣九尾 衰弱・大
年齢 19
職業 封印師
加護 封印の神の加護
種族 獣人・狐
体力 7/320
魔力 14/780
攻撃力 3/125
防御力 4/201
スピード 1/407
「ふーん。かなり危ないな。それじゃあ・・・・・・『マックスヒール』」
今俺に出来るうちでは最も回復力が高い魔法だ。うん。残りの体力は138まで戻ったな。しばらくは大丈夫だろう。やばい、脱力感半端ない。
それで、話を聞きたいところなんだけど・・・・・・無理っぽいな。
「今のはマックスヒールですか。回復魔法が使えるとは思っていませんでした。体も楽になりましたね」
「努力なんてせずに手に入れた能力だから、出し惜しみするようなことはしない。で、問題の九尾とやらについて話してくれないか?」
念には念を。竜眼アーンド覇眼発動。嘘ついたり怪しいことを考えだしたら、すぐさま魔力乗せした殺気をぶつけてやろう。
「・・・・・・大昔、王族の先祖が他国から持ち込まれた魔獣を封印した。その魔獣が九尾というわけだ。そしてその王族は一種の呪いを自らの血族にかけた。その先祖が持っていた『封印師』という固有職業を、生まれてくる子に代々受け継がせるというものだ。その第一子が死ねば、次に生まれた子にまた受け継がれる。九尾が滅びるまでの間は、延々と受け継がれ続けるという呪いだ」
「・・・・・・どういう方法で封印していたんだ?まさかとは思うが、その封印師の体に、とか言うなよ」
「・・・・・・・・・・・・」
沈黙。マジか。おいおいそんな呪いをよくかけられたな。
そういえば、他国から持ち込まれたとか言ってたな。どこの国だ?
「その九尾を体に封印して、どうするつもりだったんだ?血が薄くなって封印が解け始めた、って所か?」
「返す言葉も無い・・・・・・」
うーん。どうするべきだろう。ガチャで当てるか?憑依に対抗できたりする能力を当てるか?というより、存在するのか?存在しているのなら可能性はあると思うが、無かったら自信ないな。
「憑依に対する能力とか存在するのか?」
「・・・・・・あることにはある。だが、それを作り出した偉人はすでにいない上に、それを誰かに受け継がせたという言い伝えも無い」
「それだけで十分だ」
今更だけど、こんなに必死になることはないと思うんだけどな。あーもートラウマかよ。あいつは一体どれだけ俺に迷惑かける気なんだよ。
恩返しをさせる前に死にやがって。罪滅ぼしぐらいさせろ。エクストラガチャ憑依に対する能力で五連発動!
・憑依物弱体化 ☆8
・憑依体消滅 ☆7
・封印術 ☆8
・憑依物強制移動 ☆9
・封印魔法 ☆10
うんわ、どうするべ。
危ない危ない、口調が変わってた。
「いやそれが、夜になると何かが取り付いたように暴れだすのだ。明日には重要な会議があるので、私は今晩中にはこの城を出なければならない」
「今何時?」
「午後2時半前でございます」
OH。おでこがまぶしい執事さん。ありがとう。
今、城内でお姫様の部屋に移動中。まあ単なる王女なんだけど。
「着きました。この部屋です」
「ずいぶん厳重だな。ほとんど地下牢獄なんじゃ」
「こうしなければ、国民にも被害が及ぶ上に、娘の体が傷ついてしまう。ああ、私の愛する娘よ!!!」
マジで親バカかよ。にしても、世界会議には俺も行くのに場所が分からないんだよなあ。
ゴンゴン!
「王女様。英雄様を連れてまいりました。入室の許可を」
「ごほっ。ええ。どう、ゴホッゴホッ。どうぞ、お入りください。ごほっ」
頑丈で分厚そうな扉の中から、かすれた弱弱しい声が聞こえてきた。
これは末期かもな。やばそうだ。
「っ!!?その尻尾は・・・・・・」
「ああ。知っておられたのですか。ごほっごほっ。これは九尾の尾です。私は狐の獣人です。ごほっ。この国で封印していたのですが、ガッ、カハッ!」
「おいおいマジか」
血だった。一度に出てきたとは思えないほどの量の吐血。
『浄化』系の能力を使うしかなさそうだな。まあ、一応あるんだけどさ。
「王女様。そこから先は「私が説明しよう」・・・・・・国王様が説明いたしますので」
「ええ。ありがとうお父様。ウッ!ゴホッゴホッ」
ちょっとやばそうだ。早めに少しでも回復させたほうがいいだろう。
「説明するのは少し待ってくれ。名前は何だっけ?「ミリスだ」ああ、ミリス様。あんたのステータスで、体力は残りどれぐらいだ?」
「な、貴様何を言っている!王女様のステータスを聞こうなどとは「黙れ。あんたには聞いてないんだハゲ執事」な・・・・・・!?」
はー。この国も苦労してそうだな。さっさとしておかないとやばそうなんだが。何で分からないかなー。バカだろ。
「ふふふ。見てかまいませんよ。ごほっ。どうせ後先長くなさそうですし」
「感謝しますよミリス様」
様付けするのは変な感じがするなあ。
名前 ミリス・イダルズ・オマル・バルトガミル
レベル 16 憑依・大魔獣九尾 衰弱・大
年齢 19
職業 封印師
加護 封印の神の加護
種族 獣人・狐
体力 7/320
魔力 14/780
攻撃力 3/125
防御力 4/201
スピード 1/407
「ふーん。かなり危ないな。それじゃあ・・・・・・『マックスヒール』」
今俺に出来るうちでは最も回復力が高い魔法だ。うん。残りの体力は138まで戻ったな。しばらくは大丈夫だろう。やばい、脱力感半端ない。
それで、話を聞きたいところなんだけど・・・・・・無理っぽいな。
「今のはマックスヒールですか。回復魔法が使えるとは思っていませんでした。体も楽になりましたね」
「努力なんてせずに手に入れた能力だから、出し惜しみするようなことはしない。で、問題の九尾とやらについて話してくれないか?」
念には念を。竜眼アーンド覇眼発動。嘘ついたり怪しいことを考えだしたら、すぐさま魔力乗せした殺気をぶつけてやろう。
「・・・・・・大昔、王族の先祖が他国から持ち込まれた魔獣を封印した。その魔獣が九尾というわけだ。そしてその王族は一種の呪いを自らの血族にかけた。その先祖が持っていた『封印師』という固有職業を、生まれてくる子に代々受け継がせるというものだ。その第一子が死ねば、次に生まれた子にまた受け継がれる。九尾が滅びるまでの間は、延々と受け継がれ続けるという呪いだ」
「・・・・・・どういう方法で封印していたんだ?まさかとは思うが、その封印師の体に、とか言うなよ」
「・・・・・・・・・・・・」
沈黙。マジか。おいおいそんな呪いをよくかけられたな。
そういえば、他国から持ち込まれたとか言ってたな。どこの国だ?
「その九尾を体に封印して、どうするつもりだったんだ?血が薄くなって封印が解け始めた、って所か?」
「返す言葉も無い・・・・・・」
うーん。どうするべきだろう。ガチャで当てるか?憑依に対抗できたりする能力を当てるか?というより、存在するのか?存在しているのなら可能性はあると思うが、無かったら自信ないな。
「憑依に対する能力とか存在するのか?」
「・・・・・・あることにはある。だが、それを作り出した偉人はすでにいない上に、それを誰かに受け継がせたという言い伝えも無い」
「それだけで十分だ」
今更だけど、こんなに必死になることはないと思うんだけどな。あーもートラウマかよ。あいつは一体どれだけ俺に迷惑かける気なんだよ。
恩返しをさせる前に死にやがって。罪滅ぼしぐらいさせろ。エクストラガチャ憑依に対する能力で五連発動!
・憑依物弱体化 ☆8
・憑依体消滅 ☆7
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うんわ、どうするべ。
危ない危ない、口調が変わってた。
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