強運と幸運を持ったガチャ好きな召喚者は目標が無いので最強を目指してみた

中沢日秋

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第二章 地帝国生活編

第三十六話 バトル④ バケモノ

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     第三十五話に話を入れ込んでしまいました。
     人によっては大丈夫(?)かもしれませんが、広樹の感情の変化が
     アレなので、もう一度呼んでもらったほうが分かりやすいと思います。
     お手をは煩わせてしまい大変申し訳ありません。

     **********

 『さーて!昨日はよく分からないことになってしまい、本日が最後の決勝戦になりました!では、両者とも準備はよろしいですか!』

 俺はいつでもいい。でも、あいつらものすごい警戒心だな。俺は早く金もらっていかなきゃならないのに。

 『では!決勝戦!スターーート!!』

 「全員!警戒レベル災害指定級最上位モンスター!」
 『はい!!』

 うわひっでえ。ま、いいか。

 リーダーはまっすぐに突っ込んできたが、すぐに魔法を放った。その攻撃は全て拳ではじかれ、そのまま腹に一撃が入り、戦闘不能となってしまった。

 「降参か?」
 「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 聞いてはみたものの、何の返答もなしに最大級の攻撃を仕掛けてきた。その攻撃も、一瞬にしてかき消された。魔法ははじかれ、剣は折られ、突撃は返り討ちにされた。

 「で?降参するのか?あとお前だけだぞ?」
 「うっ。・・・・・・でやあああああああが、カハッ」

 どさっ
 魔法しか使っていなかった奴が突撃ねえ。ほんと無謀だな。

 『なんと!我が国が誇る最強の騎士団までもが破れ、優勝は、ヒロキ選手の手に!!』
 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

 はぁ、やっと終わった。早く金を受け取って行くか。

 『では、優勝賞金の受け渡しです!お受け取りください!』
 「ありがとうございます」
 『さらにさらに、依頼達成賞金です!これもお受け取りください!』
 「ありがとうございます。では、これで失礼させていただきます」

 で、後はでるだけだ。ささっと出口を通って会場から出る。

 「ははははは!!来たぞぉ!!俺らの母国からの直接依頼だぁ!やっちまえぇ!!」

 見えるだけでざっと500人。冒険者が群れになって襲ってくる。その中には兵士の鎧を着た1000人を越える兵士もいた。
 兵士の胸にある国のマークを確認できた。一瞬だったが、広樹の眼がはっきり捕らえた。

 「エマルゴマ王国・・・・・・!」

 ああ。そういうことかよ。もともとあいつ等を帰す気なんてなかったのか。

 「うおおおおおおおおおごふっ」
 「邪魔」

 邪魔だ。邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ・・・・・・!!
 てめえら全員、潰してやるよ。

 変則的な攻撃をしてくる冒険者は、直接殴った。
 魔法を連射してくるパーティは、魔法を弾き飛ばして玉突き方式で吹っ飛ばした。
 基本に忠実な三人組は、魔法で燃やした。
 兵士の一隊は、殴り飛ばして鎧ごと骨まで砕いた。
 中堅冒険者一同は、威圧で動きを止めてから魔法で粉砕した。
 初心者にしか見えない奴らは、威圧だけで気絶した。
 ロリコン軍団の変態は、害悪とみなして消し飛ばした。
 残った奴らで袋叩きにしようとした軍団は、複合魔法で消し炭にした。
 残った残党は、一人ずつ殴っていった。

 山ほどいた人間は、かろうじて生きているだけになってしまった。
 その中で、一人だけ月を見上げて赤黒い血に塗れた男は、無心になっていた。

 八つ当たりとか、あの国の手先だからとか、あの国が仕掛けてきたとか、大志のやつが二人を攫ったからとか、そういうのは多分関係なくて・・・・・・。

 ただ、あの二人に危険だと分かっていながら、攫われてしまったから―――――
 ただ、もっと事前に防ぐ手段も方法も実力も能力もあったのに―――――
 ただ、保険・・を掛けたから大丈夫だからと油断したり――――――
 ただ、自分の力に慢心して警戒を怠っていた事を後悔したり―――――
 ただ、二人が攫われて自分がどうしようもなく惨めになって―――――

 結局、どれだけ力がバケモノになっても、高慢になっても、種族がどれだけ変わっても、自分は―――――





 ―――――自分は、欲に目をくらませて、醜く歪んでいく人間なんだって気付いただけで。



 「ハッ。結局俺も、大志あいつと同じ、歪んだ人間だな」

 どこまでも変わらない。あの時と変わらない。二度と間違えたくなかった。それでも変わらない。未だに変えられない。
 何で変えられない?どうして変えられない?どうしたら変えられる?どうすれば変えられる?あの時から変われる?
 変えられる気がしない。変えられるわけがない。変えられる道理がない。歪んだやつが変えられるわけがない。変えて欲しくない。
 変わった瞬間に、静かに崩れて消えるような気がするから。自分が消えるような気がするから。誰にも気付かれずに消えるから。音もたてずに消えてしまうから。

 ああそうだ。歪むなら歪んでやれ。戻れないなら進んでしまえ。変えられないなら変えなくていい。俺は俺だ。



 歪んで歪んで歪み続けたバカの行く末の、イビツ醜い汚物に成り果てたのは俺だ。

 戻れる道を戻らなかったのも俺だ。

 その俺を諦めて認めてしまったのも俺だ。

 認めて諦めて何も考えずに操り人形のようにただただ歩いたのも俺だ。

 結局は、やっぱり俺は俺なんだ。

 「めんどくせぇなぁ」



 誰も聞いてない場所で、知らず知らずの内に呟いていた。
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