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第一章 神の覇権争い

第四話

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 うー。どうしましょう。授業がヒマです。やっぱり小学校一年生レベルでは物足りないです。社会の授業、前世ではもっと難しかった様な気がします。
 うー。もうすぐで授業が終わります。早く終わりませんかね。うー。
 ・・・・・・あと10分・・・・・・あと5分・・・・・・あと3分・・・・・・あと1分。

 「それでは、授業の内容を忘れないように。では終わります」

 やったぁぁぁぁぁ!
 やっと終わりました・・・・・!やっぱり、知ってる内容を学ぶっていやですね。時間を無駄にしてるような気がします。あ、この世界の言語や時間、長さなどの単位は全て日本と同じです。お金の単位はテルでした。
 1テル10円位ですかね?鉄貨1枚1テルです。

 とりあえず今日の授業は全部終わったので、部屋でしばしの間寝させていただきます。おやすみなさい。



 『お久しぶり』
 「・・・・・・え?」

 僕って寝てたはずですよね?
 何で真っ白な空間で見覚えのある綺麗な女神様と居るのでしょうか?ちょ~っと待ってくれませんか?本当に頭がどうにかなりそうです、どうなってるんですかー!

 『いろいろと用事があって、ちょうど寝てたから精神だけ呼び出したの』
 「どうしてですか?理由が分かりません。女神様が人一人をわざわざ呼び出すなんて」
 『・・・・・・簡単に言えば、あなたはこれから私の使徒になってある力を三つ、身に付けて貰うの』
 「・・・・・・・・・・・・」
 『・・・・・・・・・・・・』

 ちょっと待ってーーーーー!!!
 使徒って何ですか!!?力ってなんですか!??

 『混乱するのはわかるけど、まず話を聞いてくれる?』
 「はあ。まあ、聞きますけど」
 『実は・・・・・・・・・』

 嘘でしょーーー!!!
 話を全て聞いた僕が叫んだのを責めないで欲しい。いやホントお願いします。

 女神様はこの世界の頂点に居る『世界神』の子供に当たる13人の『次神』の末っ子。兄姉は『全能神』か『全知神』らしい。
 この女神様は霊魂を司り万物を作り出す創造の『万能神』で、もとの世界で定番の勇者召喚でもその指揮を任されるらしい。大きな役目だが、本当は兄姉の仕事だとか。
 そのときに、100年に一人選ぶ使途を呼び出す術を同時に行えば負担を大きく減らせるんじゃないかと思いつき、実際に試したところ死ぬ運命じゃなかった俺が死んでしまい、使徒として呼び出してしまったらしい。だが、確かに負担はほとんどなく、数日のうちに回復する程度だったそうだ。
 召喚されたのは、僕が通っていた学校の生徒全員。教師は何故か召喚されなかったらしい。

 その上、使徒は本来死んだ魂を呼び寄せるのではなく、生きた魂を呼び出して行うものらしい。でも死んでしまったものはしょうがないので、与える力に耐えられるくらいの年齢になったらこうやって呼び出して力を与えようとしたらしい。
 今年が使徒を選ぶ年で、さらに『世界神』の提案で、次期世界神を使徒を争わせて決めようということになったという。負けた使徒の神は、50年くらい力がかなり弱まるらしい。その間は『世界神』からの天罰を喰らうのだとか。その天罰を女神様は何度も喰らわせられたとか。兄姉に濡れ衣を着せられて。

 うわぁ。それって神としてどうかとおもいます。知的生命体として、いや、存在する生命として異常かと思います。

 あと、与える力のうち二つは魂に対してマイナスの力が働くらしいが、残りの一つの力がそのマイナスの力を打ち消すぐらいのプラスの力を持っているらしい。

 「僕、全能神とか全知神の使途に選ばれなくてよかった~」
 『・・・・・・話を戻すね。その力が、【魔蟲の支配者】と【死神】、あと【万能の使徒】って言う力』
 「うーん。微妙ですけど、でもまあ、いいですよ。デメリットとメリットはなんですか」
 『主な能力しか言えないけど、【魔蟲の支配者】のメリットは、どんな蟲も魔力を糧に造り出せるということ。デメリットは、最初に造り出す時に生命力も糧にする必要があるということ』

 うーん。生命力まで糧にするって言うことは、作った直後はかなり弱った状態になるってことでしょう。安全な場所で行えば、危険は減るでしょうけど。

 『【死神】のメリットは、その力を使ったときに20歳くらいに一時的に成長して、全属性付与の黒いコートと大鎌を一時的に使用できるということ。デメリットは、使用するときに一定以上の感情、または決意が必要だということ。あと、使った後は、しばらくの間は生命力の最大値が1割にまで減って、攻撃・防御の最大値が半分に減る』

 これは・・・・・・簡単に言えば、本気出せば使える能力みたいな感じですかね?でも使った後が無防備すぎますね。要注意です。

 『【万能の使徒】は、自分の得た能力の成長速度が上昇して、レベルアップしやすくなる。あと、教会に言って願っている間、私と少し話ができる。デメリットは、通常の方法では能力を得られにくくなる。詳しいことは他にも有るけど、それは自分で確認して。これ以上の情報提供は私の力じゃ難しい』

 うーん。この感じだと、僕、相当鍛えなければいけなさそうです。でも、これは・・・・・・。

 「使徒になったほうがよさそうです。あ、そういえば、女神様の名前は?」
 『私に名前はないの。出来損ない・・・・・だから・・・・・・』

 出来損ないとは思えませんね。どんなに凄い神様でも、何もしないひどい神様だったら存在意義が無いと思います。生きてたら皆同じでしょ?人も動物でしょ?何が違うんでしょうか。神様だって生きて間違う、人と変わらないと思います。

 「だったら、イザナミってどうですか?僕の前世の世界の僕がいた国の、創造神、万物を生みだす女神の名前なんですよ。なんか似てますから、そう名乗ってもいいんじゃないですか?まあ、全能神ではなく、あくまで万能神ですけど」
 『・・・・・・!ありがとう』
 「どういたしまして」

 微笑みながら感謝の言葉を述べたイザナミという女神になった(???)女神様に、僕も微笑んで返事を返した。そうしたとき、うっすらと視界が霞んでいき、気付けば自分の部屋の布団の上だった。

 「はあ。まだ6歳なのに色々ありすぎでしょ。ん?なんだろう。力が漲ってる様な気がします。あ、ステータスを確認すれば何か分かるかな?新しい力についても知りたいですし」

   名前  シグレ・リオルニス・ハウスレート
   年齢  6
   レベル 7
   状態  良好 魔力循環
   職業  特異錬金術師 聖者 魔鍛冶師 召喚師
   種族  半死神
   生命  360/90
   体力  432/108
   魔力  560/140
   筋力  120+30
   攻撃  244+30
   防御  296+30
   速度  408+30
   機動  252+30
   能力    【全能力強化Lv1】
       【死闘術Lv2】【拳闘術Lv2】【鍛冶Lv2】
       【剣闘術Lv3】【盾闘術Lv3】【錬金術Lv3】【魔鍛冶Lv3】
       【特異錬金術Lv6 ×22】
   魔法  【死滅魔法Lv2】【複合魔法Lv2】【契約魔法Lv2】
       【召喚魔法Lv2】
       【無属性魔法Lv3】【魔法適性Lv3】【水属性魔法Lv3】
       【回復魔法Lv3】
       【魔力循環Lv5】
  【神技】 《魔蟲創造Lv1》《魔蟲支配Lv1》《死神化Lv1》《万物特効Lv1》
       《神との面会Lv1》《私物鑑定Lv1》《詳細鑑定Lv1》
  【特性】 《詠唱使用不可Lv--》《異常事態不可避Lv--》《完全適応能力Lv--》
   称号  転生者 四職の使い手フォースラウンダー 非戦闘員 オッドアイ
       ハウスレート領次期領主 驚愕を与える者 魔蟲の支配者 死神
       万能の使徒 生きた死神

 OH・・・・・・。
 何でステータスが4倍になってるんですか。何でほとんどのスキルがレベルアップしてるんですか。何で物騒なものが増えてるんですか。なんで鑑定なんて能力があるんですか。

 ・・・・・・頭が痛くなってきました。
 えーと、よく分からない能力は・・・・・・危険がなさそうなのだけ試しましょう。
 私物鑑定ってなんでしょうか?名前からして私物を鑑定できるのでしょうか。試してみましょう。
 えっと、じゃあ【超魔粉入り小瓶】を鑑定。

   【超魔粉入り小瓶】
    超魔粉の入った小瓶。
    粉の大部分がかかった対象は魔力を大きく回復させる。

 な、なるほど。こういうことですか。自分の物を詳しく鑑定できるのですね。これは便利です。
 ・・・・・・ん?詳細鑑定って、詳しく調べる能力ですよね。ステータスも自力で習得した能力なら多少は調べられることがあるので、能力についても詳しく調べられるのでは?それに、能力も自分の物ですし。
 とりあえず、女神様から聞かされていない称号があるから、まずはそれから鑑定してみましょう。

   【生きた死神】
    死神としての力を手に入れながらも命と魂を持つ異端者に贈られる称号。

 僕は異端者じゃありませんよおおおおおおおお!!
 これってひどいです。僕、異端者じゃ・・・・・・うう、否定できません。
 転生してるし、女神様と会話してるし、職業四つもあるし、魔蟲の支配者とかあるし、死神とかあるし、使徒とかにもなってるし。

 もうとりあえず、三つの力について鑑定しましょう。

   【魔蟲の支配者】
    魔蟲を創り出し、それを支配する者に送られる称号。
    自分より実力が低い蟲系統の魔物やモンスターがを支配できるようになる。

   【死神】
    魂を刈り取る神になったものに送られる称号。
    この称号を持つものは、死神になったとき敵対者に対して命を
                          狩ることに忌避感が減る。

   【万能の使徒】
    万能神の使徒に送られる称号。
    大抵の能力が習得出来るようになる。
    だが、あくまで普通の人が出来ることに限る。

 ええ、まあ。はい。異常ですね。これは。いくらなんでも。
 女神様、もうちょっと自重できなかったn

 ドォォォン・・・・・・
 ドォォォン・・・・・・
 ドォォォン・・・・・・
 ドォォォン・・・・・・
 ドォォォン・・・・・・

 ふぇ?

 部屋がゆれ、何か大きなものの団体がゆっくり歩を進めているような音と共に、学生と教師の悲鳴が聞こえてきた。

 「キャーーー!!た、助けてーー!!」
 「い、いやだ、死にたくないシニタクナイシニダビュ・・・・・」
 「うわあああああ!!!あああああ、うあああああああああ!!!」

 いまヤバイ音が聞こえたぞ。僕、このまま隠れていいですか?ねえ、逃げていいですか?

 「ぎゃあああああ!!!入って来るなあああああ!!ひ、うわあああああぶっ・・・・・・」

 うわああああああああ!!!にげなきゃああああ!!!
 『聞こえる?』
 うわああああああああ!!!女神様なんでええええ!!!
 『あなた、今部屋から出て逃げようとしてるでしょうけど、逃げても無駄よ。そいつら、他の使徒があなたを殺すために作り出してるんだから』
 うそ?うそでしょ!?なんで!!?あ、あー、あれね。神様の間のいざこざですね。はあはあ。それにまきこまれたと。

 って、僕がどうにかしないといけないんですか!!?
 『ええ。でも、もうすぐ会話が出来なくなるから自力で頑張ってもらう事になるけど・・・・・・がんばれ☆』
 「☆」がついた気がしたのは何でですか!!?
 『とりあえ・・・・がん・・・って・・・・・・・』

 ここからは一人でがんばれということですか。もうやってやりますよ。何より、無関係な人間を巻き込むような人に負けたくありません。
 今のところばれてはいない様です。いや、さっき部屋の中にも入ってた音がしていましたね。一旦隠れてやり過ごしましょう。

 ベッドの下・・・・・・いや、単純すぎますね。おそらくばれるでしょう。だったら、ふふふふふ。


 ガチャ・・・ ゴトッ・・・ガッシャァァァン ・・・・・・ガチャ

 うわあ。ベッドを持ち上げて砕きましたか。恐ろしい破壊力ですね。
 部屋に入り、ベッドを破壊し部屋を出たのは、高さ3メートルはある石の鎧騎士だった。
 これは、どうしましょうか。今僕は、部屋にあった机やいすなど裏にうずくまっています。簡単に言えば、机と壁のあいだです。おそらく不自然なものがあれば反応するのでしょうが、机は二人部屋のため高く、横にも広いため、その裏に隠れても違和感がありません。ないはずです。

 さて、比較的安全なうちに魔蟲を何種類か作り出すことにしますかね。
 まず、魔蟲想像と魔蟲支配の詳細を調べましょう。

   【魔蟲創造】
    魔力を糧に低コストで蟲を生み出せる。
    ただし、最初にその種類を作り出すときには多大な魔力と
                  魔蟲の強さに比例した生命力を必要とする。
    【魔蟲支配】を持ち合わせていれば、【魔蟲創造】の全てにおいて
                        デメリットが大きく低下する。
   【魔蟲支配】
    自分より弱い魔蟲を支配できるようになる。
    支配し操る魔蟲から信頼されているのならば、
             支配する蟲の能力を大幅に強化することが可能となる。
    【魔蟲創造】を持ち合わせていれば、一定の経験値をえた
                  支配下の蟲を進化させることも可能となる。

 これならば、何とかできるかもしれないぞ・・・・・・!
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