君の名をよばせて

雨ましろ

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僕達が泊まる部屋の横には、小さな庭園があった。
そこには、石でできた浴槽が作られていた。
その庭園の向こうに、岩で囲まれた風呂があるのだ。
服を脱ぐ前に告った。

「田丸」
「なに?」
「僕たち名前でよびあったほうがよくない?」
「名字のままでいいよ」
「あの……田丸好きだよ」
「オレもだよ」
田丸は優しい目で僕を見つめた。
そして、僕たちは初めて唇を重ねた。
田丸との初めての口づけは、とても優しかった。

「義くんってよんでいい?」
「なに?」
「あの、よしくんお風呂入りたい」
「うん。オレも」
僕達はお風呂に入ることにした。
僕は先にお風呂に入って、湯船に浸かった。
「オレも元希ってよんでいい、入るよ」
義くんの声が聞こえた。
僕は慌てて、湯船のお湯で身体を隠した。
「元希、大丈夫だから」
「えっ?」
義くんが入ってくる。
僕はあわてて、お湯の中に潜った。
「元希、隠れないで、ちゃんと見せて」
義くんがお風呂の中に入った気配を感じる。
「元希、こっち向いて」
僕は義くんの言うとおりにした。恥ずかしくて顔が赤くなった。
「元希、かわいい」
義くんの指先が僕に触れた。
「よしくん……」
「元希、いいよね?」
「はい……」
僕は返事をした。義くんは優しく僕のことを抱きしめてくれた。
僕達は愛し合った。
義くんは僕を大切にしてくれた。


翌朝、僕達はチェックアウトをして、駅に向かった。
「元希、今日はこれからどうする?」
「今日はもう帰ろうかなって思う」
「そうか」
「義くんも帰るよね?」
「ああ」
「じゃあ、一緒に帰ろう」
僕達は東京駅に向かう新幹線に乗った。
「義くん、いや、田丸ありがとうございました」
「いえ」
僕たちの関係は秘密にしておくことだったから、名字で呼び合う。
僕達は少し照れながら笑いあった。
「田丸」
「ん?」
「昨日はすごく幸せでした」
「オレもだよ」
田丸はそう言ってくれた。

「戸狩、これからもよろしくお願いしますね」
「こちらこそ」
僕達は新幹線の中で手を握りしめた。
僕は田丸の手が好きだった。
田丸の大きな手に包まれていると安心できる。
田丸は僕の手を握りしめてくれた。
僕達はまだ始まったばかり。
これから先の未来はどうなるか分からない。
でも、きっと二人で乗り越えられると思う。
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