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王都
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私は馬車に乗り、王都へと向かう。
バーン男爵家は、確か王都の入口付近にあったはず。
商業用馬車に単身乗り込んだ私に、中年女性が世間話を持ちかけてくる。
「お嬢さん、随分といきり立ってるねぇ」
のんびりとした能天気そうなその女性は、私の肩を軽く叩いた。
「背筋が強ばってるよ」
「は、はあ……」
どうも、と私は姿勢を正す。
「そうそう。そっちの方が綺麗に見えるよ。お嬢さん、背が高いし」
中年女性はニコニコしていた。
「お嬢さん、王都に行くんだよね?」
「あっ、はい」
「王都へ行って何するんだい? 買い物?」
「ええっと」
なんて言おうか迷う。
「浮気されたので、その仕返しをしに行くんです」
そんなことをこの善良な人に言ってしまえば、きっと馬車の中では気まずい空気が流れるだろう。
この女性にわざわざそんな苦行を強いるわけにはいかず、私は、
「まあ、そんなところです」
と、曖昧に返事をした。
王都に行くのは久しぶりだった。
コネでギルド協会の受付嬢に就職した際、その入社式が王都にある本部で行われた。
それに出席するために馬車で出かけたあの日以来だ。
実に、数年ぶり。
悲しいことに、王都はそのままだった。
煌びやかで派手な雰囲気の、誰もが憧れる都会。
私もあのときは、
「こういうところに住んで、遊んで暮らしたい」
なんて思っていたけれど。
コネ入社してそこで出会った男と婚約まで漕ぎ着けたものの、他の女に寝取られてしまい、その女の恋人に会おうと今再び上京する羽目に陥ってしまっていた。
人生はうまくいかない。
物悲しい限りだ。
バーン男爵家は、確か王都の入口付近にあったはず。
商業用馬車に単身乗り込んだ私に、中年女性が世間話を持ちかけてくる。
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「背筋が強ばってるよ」
「は、はあ……」
どうも、と私は姿勢を正す。
「そうそう。そっちの方が綺麗に見えるよ。お嬢さん、背が高いし」
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「あっ、はい」
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「ええっと」
なんて言おうか迷う。
「浮気されたので、その仕返しをしに行くんです」
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この女性にわざわざそんな苦行を強いるわけにはいかず、私は、
「まあ、そんなところです」
と、曖昧に返事をした。
王都に行くのは久しぶりだった。
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それに出席するために馬車で出かけたあの日以来だ。
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私もあのときは、
「こういうところに住んで、遊んで暮らしたい」
なんて思っていたけれど。
コネ入社してそこで出会った男と婚約まで漕ぎ着けたものの、他の女に寝取られてしまい、その女の恋人に会おうと今再び上京する羽目に陥ってしまっていた。
人生はうまくいかない。
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