転生令嬢は、死の運命を回避するため婚活に励む

小倉みち

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第1章

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「な、何を言っているのかしら」


 お母様の声は震えていた。

 まるで、振動するダイエット器具の上に乗っているかのような声だった。


「婚約者だって?」


 動揺するお父様は、私と視線を合わすことがない。


 まさか、ここまでショックを受けるとは。


 私も2人の様子に、驚愕した。


 まったくもって、計算外だった。

 2人の様子を見ていると、なんかこう、申し訳なく思ってくる。


 だが、ここで私も引くわけにはいかない。

 婚約者が出来なければ、私は死んでしまうのだ。


「ええ、そうよ」


 私はなんてことないような顔で頷く。

「私、婚約者がほしいの」

「ま、まだ早いんじゃないのか? ……なあ?」

「そ、そうよ。まだ早いわよ。10歳じゃないの」

「いいえ」


 私は強く否定する。

「もう10歳よ」


 私は続けた。

「ほかの子たちはもういるのに、どうして私にはいないの?」

「ぐっ……」


 唾を呑み込むお父様。

「い、いや、でもそれは」

「もしかして」


 私は目を伏せた。

 出来るだけ悲しんでいるふうに見せるために。


「……私に、相手がいないの?」

「「……」」

「私が可愛くないから、私と婚約しても良いっていう相手がいないの?」

「そ、そんなことはないぞ!」

 お父様は立ち上がる。

「ミシェルは世界一可愛い! そんなことがあってたまるか!」

「そうよ、ミシェル」

 と、お母様。

「私たちの子どもが可愛くないなんて、そんなことあるはずがないわ!」

「本当に?」


 私は顔を上げる。

 うるうると目を潤わせて、私は両親の顔をじっと見つめる。

「本当だよ」

「ええ、そうよ」

「可愛かったら、婚約者は出来る?」

「「うん」」

「じゃあ、私にも婚約者出来る?」

「「もちろん」」

「やったぁ!」


 私は飛び上がって喜んだ。


 反対に、自分の言ってしまったことを後悔する両親。

「あ、あれ……?」

「もしかして、変なこと言っちゃったかしら」

「ついつい」


 よし。

 なんか騙した感じにはなってしまったけれど。

 まあ良いや。


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