転生令嬢は、死の運命を回避するため婚活に励む

小倉みち

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第1章

候補

 うまくお父様とお母様を騙すことが出来た。


 なんとなく申し訳ないという気持ちもあるけど、そんなこと言ってられない。

 私はあと、7年しか時間がないのだ。


 両親から言質を取った私は早速、婚約者探しを開始することにした。


 と言っても、もちろんやみくもに探しまくるわけにはいかない。

 私にだって事情があるのと一緒で、向こうにも向こうの気持ちがあるし。


 ――ということで。


 私はノートを開き、1人作戦会議を始めることにした。

 小説の内容を時系列に並べ、覚えている限りの登場人物と、現時点の「ミシェル」が知っている人々の名前を書いていく。


 あの恋愛小説の主な舞台は、今から17年後。

 つまり、あの時点で27歳前後の年齢の男性が、私の婚約者にちょうど良いはず。


 ノートに書き連ねた人物の名前と貴族名鑑を比べつつ、1本線で消していく。


 そうこうしているうちに、婚約者候補で残ったのは、たったの3人だった。


 1人目は、現国王の末弟で、先日臣籍降下したヘプバーン公爵。

 私より5個上だが、それでもまだ15歳。

 婚約者としてはちょうど良い相手だとは思う。


 彼はまだ、婚約者も結婚相手もいないはずだ。


 変な噂もなく、硬派なタイプ。

 作中では結構モテるが、なぜか結婚していないという変わった人間。

 そんな彼はなぜか主人公に執着し、およそ15歳下の彼女に何度も求婚して第一王子から敵意を向けられている。


 だけど、32歳の男性が17歳の未成年を口説くというのは、ちょっとキモ……いや、なんでもない。


 なんでそういうヤバい奴を婚約者候補に選ぶのか疑問に思う人もいるだろうが、原点に立ち返ってみてほしい。

 あの時点、つまり生贄を選ぶ段階で、私に婚約者がおりさえすれば良いのだ。

 例えその相手がロリコンであろうが、とんでもない馬鹿であろうが。

 相手の質ではなく、相手がいるということそのものが大事なわけで。


 主人公に手を出そうとする前に、気に食わなければ婚約破棄すれば良い。


 2人目は、伯爵子息のラリー。

 侯爵家よりも少し身分は下がるが、彼もまたちょうど良い相手だった。

 成長した彼は騎士団長であるエリック叔父様の下で働くようになる。


 小説では、特に活躍するような人物ではないものの、伯爵家の三男であるというのがポイント高い。

 しかも、私と同い年。


 私はひとりっ子で、身体の弱い両親はこれ以上子どもが産めない。

 つまり、後々跡継ぎ問題が我が家に発生するのは明白だった。


 女の私が継ぐには何かと風向きが良くない現状、ほかの家から入り婿を準備して代わりに継がせるという方法もある。

 将来のことを考えるなら、ピッタリの相手だった。


 そして最後――。

 幼馴染かつ従兄弟である子爵子息のアントニー。

 母方の伯父の息子で、私よりも1つ下だ。


 私にとって、アントニーは大穴だった。

 主に身分がネックというのもあるが、彼は候補者の中で唯一小説に登場していない。

 それは彼が小説で活躍することのない究極のモブキャラで名前の与えられていなかった存在であるということを指し示すのか。

 それとも――。

 小説開始時点で、私と同様なんらかの理由で存在しなくなってしまったのか。


 その2つのどちらかだ。


 以上、この3人が私の選んだ婚約者候補だった。

 出来るだけみんなが心配しないような相手を選んでみたつもりだ。


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