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第4章
準備
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私はあの男の誕生会に出席するため、クロードとバスティンの両者と距離を置き、陛下に言われた通りに行動する。
授業終わり、兄に手配してもらった針子たちによって、私の身体のサイズが測られていく。
前回のパーティの際は、すでに私の衣装がいくつも作られていたけれど。
あれは恐らく、「セレナ」が長い間眠っていたときに採寸して製作したのだろう。
今回採寸することになったのは、身体が弱いとはいえ、「セレナ」の身体が少し成長しているに違いないと踏んだからだろう。
私は数人の針子たちが忙しなく動く様子をじっと見つめ、何も言わなかった。
彼女たちが自分の仕事を全うしたのは、もう夜もすっかり更けた時間帯。
知らない人間に囲まれ、精神を削り疲れ切った私は、自分のベッドにもぐりこみ、泥のように眠った。
アイザック・バスティンの本を開くことさえ出来なかった。
もちろんそれで話が終わるはずもなく、次の日はドレスのデザインを決めていく。
ドレスのデザインは、宮廷所属のクチュリエが担当する。
外部に発注するよりも、より宮廷のマナーや常識に詳しいデザイナーが適当であるという判断だ。
むろん、そこに私の意見を取り入れないというわけにもいかないので、デザイナーに向かって自分の要望を伝える。
要望も何も、7歳の少女である「セレナ」に、ドレスの細かなこだわりなどあるはずもなく、
「可愛いドレス」
「ピンク色の」
という2つの子どもらしい(少なくともそう私は思っている)意見を主に主張し、あとは早口で自分の眼に自身のあるデザイナーの意見に、あいまいな笑みで頷くだけだった。
懐かしい気持ちになるのは、1回目の「私」が、当時の夫であるあの男の心を取り戻そうと、美しいドレスの製作に躍起になっていたからだ。
今にして思えば、そんなことをしても、もう彼の気持ちが私に向くことはなかっただろうけど。
ただむやみに浪費し、それが宮廷内での私の失脚を彩る華であったことに、私は全く気づいていなかった。
デザインを決めたら、今度はそれの許可を国王に求める。
兄が妹に対し適度に無関心であれば、きっと即座に許してくれたであろう、それなりに良いデザインだったはずだが、国王陛下は、私たちの提示したデザインをことごとく却下した。
まるで、私の決めたことを全否定したいがために、このような会に出席しろと命じたのかという気にさえなってくる。
あんなに自信ありげだったクチュリエも、最後の方には死んだ魚のような目で、私の部屋に訪れていた。
ようやくデザインが正式に決まったのは、本来の予定である日にちより、1週間も過ぎていた。
針子たちは超特急で私の衣装を作り、ドレスが出来るまで、私は教師によって、隣国のマナーを叩き込まれた。
私は憂鬱な誕生日会までの1ヵ月間を、このように過ごしたのだ。
授業終わり、兄に手配してもらった針子たちによって、私の身体のサイズが測られていく。
前回のパーティの際は、すでに私の衣装がいくつも作られていたけれど。
あれは恐らく、「セレナ」が長い間眠っていたときに採寸して製作したのだろう。
今回採寸することになったのは、身体が弱いとはいえ、「セレナ」の身体が少し成長しているに違いないと踏んだからだろう。
私は数人の針子たちが忙しなく動く様子をじっと見つめ、何も言わなかった。
彼女たちが自分の仕事を全うしたのは、もう夜もすっかり更けた時間帯。
知らない人間に囲まれ、精神を削り疲れ切った私は、自分のベッドにもぐりこみ、泥のように眠った。
アイザック・バスティンの本を開くことさえ出来なかった。
もちろんそれで話が終わるはずもなく、次の日はドレスのデザインを決めていく。
ドレスのデザインは、宮廷所属のクチュリエが担当する。
外部に発注するよりも、より宮廷のマナーや常識に詳しいデザイナーが適当であるという判断だ。
むろん、そこに私の意見を取り入れないというわけにもいかないので、デザイナーに向かって自分の要望を伝える。
要望も何も、7歳の少女である「セレナ」に、ドレスの細かなこだわりなどあるはずもなく、
「可愛いドレス」
「ピンク色の」
という2つの子どもらしい(少なくともそう私は思っている)意見を主に主張し、あとは早口で自分の眼に自身のあるデザイナーの意見に、あいまいな笑みで頷くだけだった。
懐かしい気持ちになるのは、1回目の「私」が、当時の夫であるあの男の心を取り戻そうと、美しいドレスの製作に躍起になっていたからだ。
今にして思えば、そんなことをしても、もう彼の気持ちが私に向くことはなかっただろうけど。
ただむやみに浪費し、それが宮廷内での私の失脚を彩る華であったことに、私は全く気づいていなかった。
デザインを決めたら、今度はそれの許可を国王に求める。
兄が妹に対し適度に無関心であれば、きっと即座に許してくれたであろう、それなりに良いデザインだったはずだが、国王陛下は、私たちの提示したデザインをことごとく却下した。
まるで、私の決めたことを全否定したいがために、このような会に出席しろと命じたのかという気にさえなってくる。
あんなに自信ありげだったクチュリエも、最後の方には死んだ魚のような目で、私の部屋に訪れていた。
ようやくデザインが正式に決まったのは、本来の予定である日にちより、1週間も過ぎていた。
針子たちは超特急で私の衣装を作り、ドレスが出来るまで、私は教師によって、隣国のマナーを叩き込まれた。
私は憂鬱な誕生日会までの1ヵ月間を、このように過ごしたのだ。
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