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第4章
案内
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白馬の丘でしばしゆっくりしたのち、私は2人に連れられ、隣国の各名所を案内してもらった。
大抵は綺麗で美しい景色を眺められる場所。
それに、数百年前まで使用していた旧宮殿や、博物館、美術館。
――そして。
「ここが両国の、平和の象徴ですよ」
最後に連れていかれたのは、1回目の私が死んだ後に結ばれたという、平和条約の締結場所だった。
歴史の授業で、散々名前が出てきたその場所は、思っていたよりもはるかに素朴で地味な、小さな小屋のだった。
素朴で地味、とは聞こえが良いが、実際はみすぼらしい感じの。
とてもじゃないが、ここで平和条約締結されたとは思えない場所だ。
「中に入りましょうか」
ひとまず、そうクリストファーに促され、私たち3人は小屋の中に入った。
その記念すべき場所は、想像通り埃のベールで覆われ、真っ白に染まっている。
私はハンカチで口元を押さえ、埃を吸わないようになんとかしようと頑張った。
しかし、ハンカチで覆うことの出来ない目や鼻に埃が入ってしまったせいか、くしゃみや鼻水が止まらず、涙目になる。
「大丈夫か?」
心配してくるのは、兄の方だった。
声を出すことも出来ないので、私は頷いて返事をする。
「身体弱いだろ。無理すんな」
この男が気を遣えるようになったことに、驚いている。
反対にいつも気を遣ってくれていたクリストファーは、うっとりとした表情で小屋を眺めていた。
「感慨深いですね」
彼は言う。
「ここで両国の関係が始まったということですか……。歴史的な場所に来ると、こう、得も言われぬ感覚と言いますか、ぞくぞくしますね」
ぞくぞくはしないが、不思議な気持ちにはなる。
私が死んでから、長い時間が経過したのだという途方もない感覚。
「両国王は何を思って、平和条約を締結したのでしょうか……。あんなに揉めに揉めていたのに、お互いの憎しみと苦しみを全部水に流すことが出来たのは、一体どうしてなのでしょうか」
そうして初めて、クリストファーは私の方を見て言った。
「ああ、セレナ王女。大丈夫でしょうか? ……すみません。気づかなくて。埃が身体に合わなかったのですね」
大抵は綺麗で美しい景色を眺められる場所。
それに、数百年前まで使用していた旧宮殿や、博物館、美術館。
――そして。
「ここが両国の、平和の象徴ですよ」
最後に連れていかれたのは、1回目の私が死んだ後に結ばれたという、平和条約の締結場所だった。
歴史の授業で、散々名前が出てきたその場所は、思っていたよりもはるかに素朴で地味な、小さな小屋のだった。
素朴で地味、とは聞こえが良いが、実際はみすぼらしい感じの。
とてもじゃないが、ここで平和条約締結されたとは思えない場所だ。
「中に入りましょうか」
ひとまず、そうクリストファーに促され、私たち3人は小屋の中に入った。
その記念すべき場所は、想像通り埃のベールで覆われ、真っ白に染まっている。
私はハンカチで口元を押さえ、埃を吸わないようになんとかしようと頑張った。
しかし、ハンカチで覆うことの出来ない目や鼻に埃が入ってしまったせいか、くしゃみや鼻水が止まらず、涙目になる。
「大丈夫か?」
心配してくるのは、兄の方だった。
声を出すことも出来ないので、私は頷いて返事をする。
「身体弱いだろ。無理すんな」
この男が気を遣えるようになったことに、驚いている。
反対にいつも気を遣ってくれていたクリストファーは、うっとりとした表情で小屋を眺めていた。
「感慨深いですね」
彼は言う。
「ここで両国の関係が始まったということですか……。歴史的な場所に来ると、こう、得も言われぬ感覚と言いますか、ぞくぞくしますね」
ぞくぞくはしないが、不思議な気持ちにはなる。
私が死んでから、長い時間が経過したのだという途方もない感覚。
「両国王は何を思って、平和条約を締結したのでしょうか……。あんなに揉めに揉めていたのに、お互いの憎しみと苦しみを全部水に流すことが出来たのは、一体どうしてなのでしょうか」
そうして初めて、クリストファーは私の方を見て言った。
「ああ、セレナ王女。大丈夫でしょうか? ……すみません。気づかなくて。埃が身体に合わなかったのですね」
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