前前世、前世で私を殺した婚約者と、今世もまた婚約するそうですが

小倉みち

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第4章

誕生日会①

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 私が大人げなくルーカスに起こったせいで、帰りの馬車はなんとも気まずい空気になってしまった。


 さすがの私も、言い過ぎてしまったと反省している。

 今回の誕生日会は、国王から、

「ルーカス王子と揉め事を起こさぬように」

 とキツく言われていたのにも関わらず、早速彼と問題を起こしてしまった。

 
 だが、その子ども間の揉め事を大人に伝えようとするほど、私たちは子どもじゃない。

 気まずくはあったものの、別段深刻になるほどに発展することもなく。

「楽しかったです。ありがとうございます」

 と、私は笑顔で2人にそう告げた。


 そして――。


 ルーカス王子の誕生日会が始まる。


 「セレナ」として誕生会に出席するのは初めてなので、現在のこの世界のスタンダードはよく知らないが。


 でも、さすが第一王子と言ったところか。

 隣国の王女も出席させるくらいの、かなり豪華な会だった。


 それぞれの貴族の家の代表を呼び、彼と交流があるらしい歳の近い子息子女がドレスコードを守って参加している。


 私は侍女を連れて出席した。

 侍女は当然、貴族や王族だらけのパーティに仕事以外で参加することなど一度もなかったはずで、そのせいか顔色が少し悪かった。

「大丈夫ですか?」

「……はい。お気遣いありがとうございます」


 心なしか、声も小さい。


 パーティ会場では、私は王女として特別な席を設けられていた。

 この国の王族と近い場所に椅子とテーブルがある。

 隣には両王子。

 私の後ろには、侍女が控えている。


「この度は」

 私はタイミングを失う前に、さっさとルーカスにお祝いの挨拶をする。

「お誕生日おめでとうございます」

「……いえ」


 まだ彼はあのことを気にしているのか、少々きまり悪そうな顔をしていた。


「ルーカス」

 そんなこと、さらさら気づいていない様子の国王は、笑いながら彼に言った。

「照れてるな、お前」


 くすくすと、王妃も上品に笑う。

「セレナ王女が可愛らしくて、緊張しているのでしょうね」


 ……大人は今も昔も、子どもが何を考えているのか全然わかっていない。


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