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記録
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なぜかストーカーやその対策について詳しいマーサから、
「ストーカーをストーカーとして公に処理してもらうなら、まずは証拠。何よりも証拠。全部を記録するのよ」
と言われたので、実践してみることにした。
とりあえず前回ユーリが家にやって来たときの日記を詳細に書き、目撃証人になってもらうように使用人に話をつけた。
日記がちゃんとした証拠になるのは意外だった。
今までなんとなく恥ずかしいというのもあり、全然つけたことがなかったから、今回を気に毎日書いてみようと思う。
ユーリがあの頭おかしいことを言い出してしばらく、色んなことが起こった。
あの野郎、ご両親にきつく言われているはずなのに、私の教室に毎休み時間やって来るようになったのだ。
クラスメイトのみんながそれを制止しようとしても、そのバリケードを突っ切ってやって来る。
「やあ、俺の婚約者殿」
「あの件、納得してくれたか?」
まるで恋愛小説の主人公、
「私のために争わないで!」
の男バージョン。
つまり、めちゃくちゃウザい。
完全に自分に酔ってしまっているこの男を力の限り無視してやりたいが、こういうのはきちんと拒否することが大事だとマーサは言う。
「嫌とか、本当に辞めてとか言うのが大事よ」
「でも、言っても聞かないのよ」
「聞くとか聞かないとかじゃないの。言ったもん勝ちよ。これはね、ユーリが自分が本当に嫌がっているのにしつこいストーカーだっていうアピールにもなるのよ」
なるほど。
私はマーサの助言通り、
「本当に辞めて」
「来ないで」
「あなたとは婚約破棄したでしょ!」
と、全力で拒否した。
この調子で心が折れてくれれば非常に有難いのだけれど、奴は諦めない。
それどころか、ヒメナまで連れてこようとするのだ。
「ついて来てくれ」
「……なんで?」
「ウェンディと仲良くしてほしいんだ」
「嫌なんだけど」
という会話が、廊下で繰り広げられているのを何度か目撃した。
ヒメナの気持ちが非常によくわかる。
わかりたくないけど。
なんで私とヒメナが仲良くする必要があるのよ。
だがユーリの脳内では、私が正妻でヒメナが公認浮気相手という立ち位置こそが完璧だと考えているらしかった。
そして、私たちにはそれを間違いだと自覚させるすべを持ち合わせていなかったのだ。
「ストーカーをストーカーとして公に処理してもらうなら、まずは証拠。何よりも証拠。全部を記録するのよ」
と言われたので、実践してみることにした。
とりあえず前回ユーリが家にやって来たときの日記を詳細に書き、目撃証人になってもらうように使用人に話をつけた。
日記がちゃんとした証拠になるのは意外だった。
今までなんとなく恥ずかしいというのもあり、全然つけたことがなかったから、今回を気に毎日書いてみようと思う。
ユーリがあの頭おかしいことを言い出してしばらく、色んなことが起こった。
あの野郎、ご両親にきつく言われているはずなのに、私の教室に毎休み時間やって来るようになったのだ。
クラスメイトのみんながそれを制止しようとしても、そのバリケードを突っ切ってやって来る。
「やあ、俺の婚約者殿」
「あの件、納得してくれたか?」
まるで恋愛小説の主人公、
「私のために争わないで!」
の男バージョン。
つまり、めちゃくちゃウザい。
完全に自分に酔ってしまっているこの男を力の限り無視してやりたいが、こういうのはきちんと拒否することが大事だとマーサは言う。
「嫌とか、本当に辞めてとか言うのが大事よ」
「でも、言っても聞かないのよ」
「聞くとか聞かないとかじゃないの。言ったもん勝ちよ。これはね、ユーリが自分が本当に嫌がっているのにしつこいストーカーだっていうアピールにもなるのよ」
なるほど。
私はマーサの助言通り、
「本当に辞めて」
「来ないで」
「あなたとは婚約破棄したでしょ!」
と、全力で拒否した。
この調子で心が折れてくれれば非常に有難いのだけれど、奴は諦めない。
それどころか、ヒメナまで連れてこようとするのだ。
「ついて来てくれ」
「……なんで?」
「ウェンディと仲良くしてほしいんだ」
「嫌なんだけど」
という会話が、廊下で繰り広げられているのを何度か目撃した。
ヒメナの気持ちが非常によくわかる。
わかりたくないけど。
なんで私とヒメナが仲良くする必要があるのよ。
だがユーリの脳内では、私が正妻でヒメナが公認浮気相手という立ち位置こそが完璧だと考えているらしかった。
そして、私たちにはそれを間違いだと自覚させるすべを持ち合わせていなかったのだ。
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