【完結】恋がしたい? どうぞご勝手に

小倉みち

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再会

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「パトリック!」


 久しぶりに会うパトリックを見て、私とマーサは思い切り飛びついた。

「元気だった?」

「そんなわけないだろ」


 パトリックは、一生懸命考えたブラックジョークに軽快なツッコミを入れる。

 顔色はそんなに良くないが――。


 少なくとも、学校に行けるほどには回復していて、一安心だった。


「聞いたよ」

 パトリックは言う。

「訴えるんだって? 2人を」

「ええ、そうなの」


 私は首を縦に振る。

「どこで聞いたの? その話」

「その辺でみんなしてたさ」


 パトリックは周囲を見渡す。

「僕が毒で寝込んでいる間に、随分色々なことがあったんだね」

「そうなのよ……」


 私はため息をつく。

「本当、色々あったわ」

「ユーリにストーカーされたり、ヒメナに暴言を吐かれたり、ね」


 と、マーサ。

「君は随分と物騒な星の下に生まれたみたいだね」

 パトリックは苦笑する。

「あなたに言われたくはないけどね」

「まあ、それもそうか」


 笑い合う私たち3人。


 ユーリとヒメナのせいで学園生活はめちゃくちゃになったが、パトリックやマーサとの仲がより深まったのは儲けものだと思う。


「そう言えば」

 マーサはパトリックに尋ねる。

「まだ犯人、捕まってないの?」


 犯人とは、パトリックに毒を盛った人物のことだ。


「まだみたいだね」

 パトリックは首を横に振る。

「みたいって……」


 それはあまりにも他人事過ぎないか。

「捜査が難航するものじゃないでしょ?」

「そうなんだけど」


 歯切れの悪いパトリック。

「それがさ、この学校の生徒かもしれないからって」

「「……」」


 私はマーサに目配せする。

「何?」

「いや、なんでも」


 私ははぐらかす

「未成年の犯行の可能性が高いから、慎重に動くんだそうだ」


 パトリックの話を聞いて、嫌な予感が当たったような、私はそんな奇妙な感覚に陥った。
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