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第2章

その後

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 午後の授業は、昼のことがあったにも関わらず、比較的リラックスして過ごすことが出来た。


 授業の内容が比較的楽で、話を聞いているだけで済むような代物だからというのもあるが、昼の件で、阿賀がみんなに怒ってくれたのが一番の理由だ。


 彼女は、怒るべきときに怒ることの出来る凄い人だ。


 はっきりとわかった。


 やっぱり、人気者は性格が良いんだなということに。


 ただ顔が良かったり、明るかったりするんじゃない。

 人気者は、それ相応に人格者なのだ。


 別に俺は人気者になりたいなんていう夢を抱いてないし、というかどう考えてもこの状況じゃなれないと思っている。

 だけど、阿賀の行動は、俺の今後の人生選択においてとても参考になる。


 多分、阿賀は俺よりも徳を積んでいるんだろうと思う。

 だからこそ言い方は悪くなるが、あんなふうにヒエラルキートップにいれるわけで。


 彼女は前世に、よほどの「良いこと」をしてきたに違いなかった。


 その反面、俺は不安に思っていた。


 俺は良い。

 俺は元々嫌われているから。


 だけど、阿賀はどうなるのだろうか。


 阿賀がみんなに怒ったことに対しての影響を、俺は懸念していた。


 あの優しい阿賀が怒ったことで、阿賀がみんなに嫌われたり避けられたりなんてことはしないだろうか。


 友達のいない俺でさえ、思春期における友情は薄氷の上に成り立っているものだと理解している。


 阿賀のあの行動はとても正しいことだけど、今後の阿賀にとっては不利になるかもしれない。


 もし阿賀が、俺みたいにみんなから嫌われてしまったらどうしよう。

 俺のせいで。


 
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