今世は諦めて来世に賭けようと善行を積んでいたら、なぜか美少女同級生が近づいてきた

 大神 圭(おおがみ けい)は、齢17の男子高校生にして、既に人生を諦めていた。


 鋭い眼光に、高校生にしては大きな身体。

 長い髪を後ろに束ね、顎周りにはうっすら髭が生えていた。


 ヤンキー。


 人はみな、彼のことをそう言う。


 他校の不良複数人をを1人でボコボコにしたとか、暴走族を1つぶっ潰したとか、挙句の果てにヤクザと関わりがあるとか何とか。


 全ては噂に過ぎないのだが、その容姿のせいでみんなから遠巻きに見られていた。


 目つきが悪いのは寝不足だからだ。

 帰宅部のくせに体格が良いのは、放課後肉体労働をしているからだ。

 髪が長いのも、髭が生えているのも、金がなくて身綺麗にする余裕がないから。


 圭の家は母子家庭で、母や幼い弟妹を支えるために掛け持ちでバイトをこなしている。


 だが、クラスメイトや教師たちはそんな圭の事情を知る由もなく、彼を遠巻きにして見つめている。



 圭は今世を諦めることにした。


 彼は、善を積もうと思った。


 今世で善行を積めば、来世ではもっとマシな人生が送れるのではないかと考えたのだ。


 コンビニの募金箱に小銭を入れたり、人に感謝の念を伝えたり、困っている人々を助けたり、約束を違えないようにしたり……。


 毎日毎日コツコツコツコツ。


 偽善だとか、そんなことは圭には関係なかった。

 全ては、あるかもしれない来世で幸せになるために。


 そんな折、学園で1番可愛いと称されるクラスの女子に、声をかけられた。


「ねえ、大神くん。私と友達になってくれない?」
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