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プロローグ
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よくあるネット小説に、ネット小説でよくあるように転生しただなんて、前世の私からすれば信じられないどころか、ドン引きものだろう。
しかし実際に私はネット小説『不遇な少女は第三王子に見初められて』という、至極わかりやすいタイトルの主人公セシリアに転生した。
雪のような銀髪に、アイスブルーの大きな瞳。
儚げで美しい姿。
平々凡々が取り柄だったかつての私にとっては、両手をあげて大いに喜ぶほどの事態だ。
確かに嬉しい。
平安時代ならモテてたのにねなんていうマウントに晒され続けた私にとっては、念願の顔面だ。
しかし、手放しで喜べるほど事態はよろしくなかった。
この小説でセシリアは、義理の母と姉に散々虐められることになる。
しかも、17年もの間。
父親が他所で作った女の子どもがセシリアなのだ。
そりゃもう、義母も義姉もセシリアが嫌で嫌で仕方がないのはわかっている。
しかし引き取ってまで虐め抜くという性格の悪さには脱帽でしかない。
さらに、そのもっともたる元凶の父親はセシリアを認めようとはしなかった。
使用人と同等の扱いをし、ゴミを見るような目つきでセシリアを眺めた。
そんな17年を送った彼女は、ある日町で1人の男に出会う。
傲慢で偉そうなその男は、実はこの国の第三王子だった。
その王子に一目惚れされたセシリアは、彼によって真実の愛に目覚める――。
というもの。
そのストーリーを思い出した私が真っ先についた言葉は、
「は?」
であった。
確かにこの小説は割と好きな方だった。
面白かったし、最後はスカッとしたし、何より第三王子はカッコいいし。
だが、17年は長すぎるでしょ。
小説を読んで泣いていたのは、それが文章の向こう側にある話だったから。
セシリアは私ではない。
だからこそ、安心して私は「セシリア羨ましい」と言っていたわけだ。
だが今はどうだろう。
私はセシリアとなり、このクソ家族のせいで17年もの間苦しめ続けられる運命が待ち受けている。
17年。
17年ですって?
そんなの、平凡な人生を送って来た私に耐えられるはずがない。
いくら第三王子と結婚出来ようが、無理だ。
絶対に嫌。
しかし実際に私はネット小説『不遇な少女は第三王子に見初められて』という、至極わかりやすいタイトルの主人公セシリアに転生した。
雪のような銀髪に、アイスブルーの大きな瞳。
儚げで美しい姿。
平々凡々が取り柄だったかつての私にとっては、両手をあげて大いに喜ぶほどの事態だ。
確かに嬉しい。
平安時代ならモテてたのにねなんていうマウントに晒され続けた私にとっては、念願の顔面だ。
しかし、手放しで喜べるほど事態はよろしくなかった。
この小説でセシリアは、義理の母と姉に散々虐められることになる。
しかも、17年もの間。
父親が他所で作った女の子どもがセシリアなのだ。
そりゃもう、義母も義姉もセシリアが嫌で嫌で仕方がないのはわかっている。
しかし引き取ってまで虐め抜くという性格の悪さには脱帽でしかない。
さらに、そのもっともたる元凶の父親はセシリアを認めようとはしなかった。
使用人と同等の扱いをし、ゴミを見るような目つきでセシリアを眺めた。
そんな17年を送った彼女は、ある日町で1人の男に出会う。
傲慢で偉そうなその男は、実はこの国の第三王子だった。
その王子に一目惚れされたセシリアは、彼によって真実の愛に目覚める――。
というもの。
そのストーリーを思い出した私が真っ先についた言葉は、
「は?」
であった。
確かにこの小説は割と好きな方だった。
面白かったし、最後はスカッとしたし、何より第三王子はカッコいいし。
だが、17年は長すぎるでしょ。
小説を読んで泣いていたのは、それが文章の向こう側にある話だったから。
セシリアは私ではない。
だからこそ、安心して私は「セシリア羨ましい」と言っていたわけだ。
だが今はどうだろう。
私はセシリアとなり、このクソ家族のせいで17年もの間苦しめ続けられる運命が待ち受けている。
17年。
17年ですって?
そんなの、平凡な人生を送って来た私に耐えられるはずがない。
いくら第三王子と結婚出来ようが、無理だ。
絶対に嫌。
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