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第1章
部屋
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……まあ、当然折檻される。
私が3歳であることを鑑みてくれたのか、お尻を何度か叩かれたくらいだが。
それでもこの柔らかい身体にはキツく、ヒリヒリと痛む尻を押さえて私は部屋に向かった。
メイドらしき女性に哀れまれながら連れて来られた部屋は、埃っぽくて狭い場所だった。
というか、これは部屋なのか?
物置きに見えるけれど。
辛うじてベッドがあるのはわかるが、その他に生活で必要そうな家具は何も置かれていない。
「お嬢様、こちらがあなたの部屋になります」
可哀想なものを見るような目つきで、メイドは言う。
「はあ」
「セシリア様、どうかへこたれませぬよう。使用人一同は、あなたの味方ですから」
「あ、ありがとう」
良くわからないまま、私はお礼を言う。
「……お嬢様は、本当に聡明でいらっしゃるのですね。エリーズ――あなたのお母様にそっくりです」
「お母様?」
「ええ。あなたのお母様は、もともとここでメイドとして働いておりまして――」
「アミーナ!」
突然、部屋の向こう側から意地悪い女の怒鳴り声が聞こえてくる。
「何してるんだい! お前は」
メイド――アミーナはビクッと身体を強張らせ、
「す、すみません。お食事はまた運ばせていただきますので」
と口早にそう言うと、部屋から飛び出していった。
「も、申し訳ございません、奥様!」
というエディスの半泣きの謝罪と、
「お前の謝罪なんてなんの価値もないよ! この愚図が」
という高飛車な女のキンキン声。
それをBGMに、私は「セシリア」「エリーズ」「アミーナ」という3つの名前から連想される、とある小説について考え始めた。
私が3歳であることを鑑みてくれたのか、お尻を何度か叩かれたくらいだが。
それでもこの柔らかい身体にはキツく、ヒリヒリと痛む尻を押さえて私は部屋に向かった。
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というか、これは部屋なのか?
物置きに見えるけれど。
辛うじてベッドがあるのはわかるが、その他に生活で必要そうな家具は何も置かれていない。
「お嬢様、こちらがあなたの部屋になります」
可哀想なものを見るような目つきで、メイドは言う。
「はあ」
「セシリア様、どうかへこたれませぬよう。使用人一同は、あなたの味方ですから」
「あ、ありがとう」
良くわからないまま、私はお礼を言う。
「……お嬢様は、本当に聡明でいらっしゃるのですね。エリーズ――あなたのお母様にそっくりです」
「お母様?」
「ええ。あなたのお母様は、もともとここでメイドとして働いておりまして――」
「アミーナ!」
突然、部屋の向こう側から意地悪い女の怒鳴り声が聞こえてくる。
「何してるんだい! お前は」
メイド――アミーナはビクッと身体を強張らせ、
「す、すみません。お食事はまた運ばせていただきますので」
と口早にそう言うと、部屋から飛び出していった。
「も、申し訳ございません、奥様!」
というエディスの半泣きの謝罪と、
「お前の謝罪なんてなんの価値もないよ! この愚図が」
という高飛車な女のキンキン声。
それをBGMに、私は「セシリア」「エリーズ」「アミーナ」という3つの名前から連想される、とある小説について考え始めた。
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