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生徒会室①

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 生徒会室。


 生徒会という、選ばれし生徒たちだけが所属することの出来る特別なグループ。


 生徒会室は、文字通りその生徒会に与えられた特別な空間。

 つまり私ーー公爵令嬢ローゼリアにとっては、この学園でふんぞり返り、偉そうに生きていくためのとても重要な拠点だった。


 だが現在、私はここでゆっくりと優雅に紅茶でも飲んでいる場合ではなかった。


 私の目の上のたんこぶのうちの1人――ユージーンが、小馬鹿にしたような顔で私の提出した案に文句を言ってきたのだ。

「これのどこが悪いって言うのよ!」


 私は怒りのあまり、机に資料を叩きつけた。

「おいおいおい」


 ユージーンは、大袈裟に肩をすくめる。

「第三王子の婚約者でもあろう方が、なぜそんなに怒っていらっしゃるのですか?」

「怒ってないわよ」

「怒ってるだろ――顔、凄いことになってるぞ」


 くっそ。

 腹立つ。


 私に公爵令嬢っていう立場がなければ、今すぐこの男をぶっ飛ばしていたのに。


「令嬢の顔を侮辱するなんて失礼極まりないわ」


 私はユージーンを睨んだ。

「そんなんだからモテないのよ」

「心配はご無用」


 ユージーンは意地の悪い笑みを浮かべる。

「こういう態度を取っているのは、君にだけだ」


 つまり。

 こいつが言いたいのは。


 私はこの男のそれの対象にすら入っていない、ということだ。


 本当に、失礼極まりない。


 だけどこれ以上怒っても収拾がつかなくなるので、私はここでこいつに文句を言うの諦め、ため息をついた。


「で、なんでこれが駄目なの?」


 私は紙を指さす。


 私が提示したのは、来年度の学園祭で有名人を呼ぼうという案だ。


 昨今、市民たちの台頭が久しい。

 市民たちが貴族と同じように力を持ち始めている今、私は市民と交流していくことこそが貴族に発展をもたらすと考えている。


 手始めに、学園祭で市民出身の有名人、例えば俳優や女優なんかを呼べば、その交流の足がかりなるのではないかと考えたのだ。


 

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