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生徒
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妹の、
「お姉様が浮気をしていたこと、みなさんに申し上げましたから」
という言葉。
その「みなさん」というのは一体誰なのか。
可能性としてあげられるのは、彼女の取り巻きたちだろうが。
リリオーネのあの顔、声、表情――。
わざわざ私に向かって、
「みなさんに申し上げた」
と報告したこと。
それらを合算するに、その「みんな」とは――。
「ローゼリア嬢!」
廊下の向こう側から、軽い小走りでやってくる数人の生徒たち。
「妹君のリリオーネ嬢から聞いたんだけど――」
「生徒会長と付き合ってるって本当?」
チッ。
私は舌打ちをした。
あの女、マジでふざけんな。
私はいつもの笑顔に戻り、生徒たちに尋ねる。
「それ、本当に妹から聞いたんですか?」
「ええ」
頷く一同。
「あの人の言うことだから、あんまり信用してないんだけど」
私は内心ホッとする。
良かった。
どうやら私は、リリオーネによるショッキングで人の好奇心をくすぐるような嘘より信用に値するらしい。
「さっき、殿下と一緒に言い触らしてたわよ」
「へえ……」
「わざわざ生徒会選挙みたいにマイクまで持ち出して、演説してた。
『我が婚約者ローゼリアと、公爵子息ユージーンが浮気をしていた! ショックだ!』
って」
何人かが吹き出す。
よほどさっきの演説に似ていたのだろう。
「まあ、あり得ないとは思ってたけどね」
彼らは互いを見合ってそう言う。
「信じている方もおられるのですか?」
「ああ、まあ……」
「あっち側の人たちはそうじゃない?」
あっち側とは。
もちろん、フレデリック殿下やリリオーネの友人並びに取り巻きたちである。
「それ以外だと、半信半疑なのが1割、4割くらいが信じてなくて、それ以外は」
「そうであってほしい」
「そうであってほしい?」
私は小首を傾げる。
「一体どういうことですの?」
「ローゼリア嬢とユージーン子息が付き合ってたら良いのに、って思っている人たち」
ちなみに私たちもなんだけど、という生徒たち。
「あっ、もちろん野次馬的な意味じゃなくてね」
「ほら、お2人って素敵だし、お似合いだから」
「あの殿下とよりもよっぽど良いんじゃないかって」
「なるほど……」
私とユージーンのカップリングが好きだなんて。
みんな、結構物好きなんだろうか。
「お姉様が浮気をしていたこと、みなさんに申し上げましたから」
という言葉。
その「みなさん」というのは一体誰なのか。
可能性としてあげられるのは、彼女の取り巻きたちだろうが。
リリオーネのあの顔、声、表情――。
わざわざ私に向かって、
「みなさんに申し上げた」
と報告したこと。
それらを合算するに、その「みんな」とは――。
「ローゼリア嬢!」
廊下の向こう側から、軽い小走りでやってくる数人の生徒たち。
「妹君のリリオーネ嬢から聞いたんだけど――」
「生徒会長と付き合ってるって本当?」
チッ。
私は舌打ちをした。
あの女、マジでふざけんな。
私はいつもの笑顔に戻り、生徒たちに尋ねる。
「それ、本当に妹から聞いたんですか?」
「ええ」
頷く一同。
「あの人の言うことだから、あんまり信用してないんだけど」
私は内心ホッとする。
良かった。
どうやら私は、リリオーネによるショッキングで人の好奇心をくすぐるような嘘より信用に値するらしい。
「さっき、殿下と一緒に言い触らしてたわよ」
「へえ……」
「わざわざ生徒会選挙みたいにマイクまで持ち出して、演説してた。
『我が婚約者ローゼリアと、公爵子息ユージーンが浮気をしていた! ショックだ!』
って」
何人かが吹き出す。
よほどさっきの演説に似ていたのだろう。
「まあ、あり得ないとは思ってたけどね」
彼らは互いを見合ってそう言う。
「信じている方もおられるのですか?」
「ああ、まあ……」
「あっち側の人たちはそうじゃない?」
あっち側とは。
もちろん、フレデリック殿下やリリオーネの友人並びに取り巻きたちである。
「それ以外だと、半信半疑なのが1割、4割くらいが信じてなくて、それ以外は」
「そうであってほしい」
「そうであってほしい?」
私は小首を傾げる。
「一体どういうことですの?」
「ローゼリア嬢とユージーン子息が付き合ってたら良いのに、って思っている人たち」
ちなみに私たちもなんだけど、という生徒たち。
「あっ、もちろん野次馬的な意味じゃなくてね」
「ほら、お2人って素敵だし、お似合いだから」
「あの殿下とよりもよっぽど良いんじゃないかって」
「なるほど……」
私とユージーンのカップリングが好きだなんて。
みんな、結構物好きなんだろうか。
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