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開始
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早速、次の日から行動を開始することにした。
中庭にて。
私はいかにも、「婚約者がほかの女をたぶらかした、可哀想な令嬢」のような顔で、さめざめと泣く。
昼休み。
中途半端な休み時間に、わざわざ中庭でぼんやりと過ごすような奇特な生徒はいないものの。
カフェテラスで食事をしようとしていたり、次の授業が移動教室だったりで、それなりの数の生徒が中庭の傍の外廊下を歩いている。
ふと中庭を見れば、泣いている女子生徒が1人。
しかも彼女は、例の噂の中心人物である、生徒副会長。
ただでさえ目立つ私が、1人中庭で泣いている。
生徒たちの視線は釘付けだった。
そんな私に、近づく者が1人。
腹立つくらいに顔の良い男子生徒――ユージーンだ。
私と同様、目立つ存在。
生徒会長で、同じく例の噂の登場人物。
彼は私と同様、傷ついた顔をしている。
何かに裏切られたかのような、酷くプライドを傷つけられたかのような、そんな表情。
彼もまた、中庭に咲く美しい花々で、傷ついた心を癒そうと1人現れた。
そんな時、先約がいることに気づく。
はっと、その正体に驚くユージーン。
ベンチで1人、ポロポロと涙を流すその女子生徒は、自分の部下である生徒副会長だった。
彼は少し躊躇した様子だったが、意を決したようにシルクのハンカチを取り出し、おずおずと私に差し出す。
私は軽く微笑み、それを受け取って自分の涙を拭く。
中庭から外廊下は近いとは言えど、中庭での会話が聞こえる距離ではなかった。
しかし2人の様子から、確実に何かあったということだけはよくわかる。
そんなシーンだった。
中庭にて。
私はいかにも、「婚約者がほかの女をたぶらかした、可哀想な令嬢」のような顔で、さめざめと泣く。
昼休み。
中途半端な休み時間に、わざわざ中庭でぼんやりと過ごすような奇特な生徒はいないものの。
カフェテラスで食事をしようとしていたり、次の授業が移動教室だったりで、それなりの数の生徒が中庭の傍の外廊下を歩いている。
ふと中庭を見れば、泣いている女子生徒が1人。
しかも彼女は、例の噂の中心人物である、生徒副会長。
ただでさえ目立つ私が、1人中庭で泣いている。
生徒たちの視線は釘付けだった。
そんな私に、近づく者が1人。
腹立つくらいに顔の良い男子生徒――ユージーンだ。
私と同様、目立つ存在。
生徒会長で、同じく例の噂の登場人物。
彼は私と同様、傷ついた顔をしている。
何かに裏切られたかのような、酷くプライドを傷つけられたかのような、そんな表情。
彼もまた、中庭に咲く美しい花々で、傷ついた心を癒そうと1人現れた。
そんな時、先約がいることに気づく。
はっと、その正体に驚くユージーン。
ベンチで1人、ポロポロと涙を流すその女子生徒は、自分の部下である生徒副会長だった。
彼は少し躊躇した様子だったが、意を決したようにシルクのハンカチを取り出し、おずおずと私に差し出す。
私は軽く微笑み、それを受け取って自分の涙を拭く。
中庭から外廊下は近いとは言えど、中庭での会話が聞こえる距離ではなかった。
しかし2人の様子から、確実に何かあったということだけはよくわかる。
そんなシーンだった。
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