26 / 29
惨状
しおりを挟む
その後の話は、よく知らない。
私は両親に、
「リリオーネと個別に話し合うから、お前は自室で待機していなさい」
「あなたからも後で、詳しい話を聞くから」
と、命じられ、執務室から出て行った。
リリオーネの言い訳がどんなふうになるか、興味本位で部屋に残ってみたいとも思ったが、そこは両親の指示に従う。
妹のどうでも良い話など聞いたところで無駄だし、時間をむやみやたらに浪費する行為だ。
私は私で、やるべきことがある。
私はその日、自室に戻って再度宰相となるための勉学に励みつつ、時々聞こえてくるリリオーネの言葉にならない逆ギレをBGMに、優雅にお茶を嗜んでいた。
「お姉様が!」
「私はなんにも悪くない! あいつが悪いの!」
「だって、あの女が最初に――!」
と、わけのわからないことを叫んでいる妹は、実に滑稽だった。
両親と妹の言い争いは数時間にも及び、ようやく両親から、
「来てくれ」
と、言われたのは、もう夕飯時を過ぎた時間だった。
「失礼いたします」
部屋に入ると、先ほどとは全く違う部屋の惨状ぶりに驚いてしまう。
「これは……」
「リリオーネが癇癪を起こした」
お父様が、疲れ切った表情で呟いた。
「その結果がこれだ」
執務室は、ものの見事に荒らされていた。
1つで下手な家なら買えるレベルの花瓶が割れ、博物館に展示出来るクオリティの石像にひびが入り、きっちりと本棚に収められていた希少な書籍が部屋中に散乱していた。
「なっ……」
私は絶句した。
ふつふつと、怒りが混み上がってくる。
「リリオーネ、あの子……。なんてことを!」
お父様の部屋に置かれているものは、すべて貴重な品々ばかり。
一度失えば二度と手に入らないようなものを、あの女はいとも簡単に壊したのだ。
お父様は宰相。
つまり、お父様の部屋は、国を動かすうえで大事なものがたくさん詰まっている。
あの女は、自分の思い通りにならないからと、平気で国の財産をめちゃくちゃにしやがった。
どれだけ自己中なんだ。
「落ち着いてちょうだい」
顔色の悪いお母様が言った。
「あなたまでそんなふうになってしまったら、私たち、疲労で倒れてしまうわ」
「……ごめんなさい」
両親は、妹との不毛な言い争いに、完全に疲れ切ってしまっている。
一時的な感情で、大切な両親に心労をもっとかけるわけにはいかなかった。
私は両親に、
「リリオーネと個別に話し合うから、お前は自室で待機していなさい」
「あなたからも後で、詳しい話を聞くから」
と、命じられ、執務室から出て行った。
リリオーネの言い訳がどんなふうになるか、興味本位で部屋に残ってみたいとも思ったが、そこは両親の指示に従う。
妹のどうでも良い話など聞いたところで無駄だし、時間をむやみやたらに浪費する行為だ。
私は私で、やるべきことがある。
私はその日、自室に戻って再度宰相となるための勉学に励みつつ、時々聞こえてくるリリオーネの言葉にならない逆ギレをBGMに、優雅にお茶を嗜んでいた。
「お姉様が!」
「私はなんにも悪くない! あいつが悪いの!」
「だって、あの女が最初に――!」
と、わけのわからないことを叫んでいる妹は、実に滑稽だった。
両親と妹の言い争いは数時間にも及び、ようやく両親から、
「来てくれ」
と、言われたのは、もう夕飯時を過ぎた時間だった。
「失礼いたします」
部屋に入ると、先ほどとは全く違う部屋の惨状ぶりに驚いてしまう。
「これは……」
「リリオーネが癇癪を起こした」
お父様が、疲れ切った表情で呟いた。
「その結果がこれだ」
執務室は、ものの見事に荒らされていた。
1つで下手な家なら買えるレベルの花瓶が割れ、博物館に展示出来るクオリティの石像にひびが入り、きっちりと本棚に収められていた希少な書籍が部屋中に散乱していた。
「なっ……」
私は絶句した。
ふつふつと、怒りが混み上がってくる。
「リリオーネ、あの子……。なんてことを!」
お父様の部屋に置かれているものは、すべて貴重な品々ばかり。
一度失えば二度と手に入らないようなものを、あの女はいとも簡単に壊したのだ。
お父様は宰相。
つまり、お父様の部屋は、国を動かすうえで大事なものがたくさん詰まっている。
あの女は、自分の思い通りにならないからと、平気で国の財産をめちゃくちゃにしやがった。
どれだけ自己中なんだ。
「落ち着いてちょうだい」
顔色の悪いお母様が言った。
「あなたまでそんなふうになってしまったら、私たち、疲労で倒れてしまうわ」
「……ごめんなさい」
両親は、妹との不毛な言い争いに、完全に疲れ切ってしまっている。
一時的な感情で、大切な両親に心労をもっとかけるわけにはいかなかった。
1
あなたにおすすめの小説
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる