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相談
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仕事終わり、私はすぐにウィルを捕まえて提案する。
「ウィル忙しそうだし、新しい世話係が必要なんじゃないかと思うの」
「……は?」
ウィルは、明らかにショックを受けたような顔をした。
「聖女様にとって、私はもう不必要な人間ということでしょうか……?」
「えっ、あっ、違う違うーーもう1人追加したらどうかしら、と思って」
「もう1人?」
「ええ。さっき思いついたことなんだけど。ウィルにとっても良いことなんじゃじゃないかなと思ったの」
「はあ……」
私は良いアイデアだと思ったし、ウィルもそう思ってくれるだろうと思っていたのに、彼の反応はいまいちだった。
「前例がありませんから」
「前例がなくても、別に問題ないと思うんだけど。だって私の復学にだって、結局許してくれたじゃない」
「それはあなたがーーいえ、なんでもありません」
ウィルはため息をついた。
「幸せが逃げるわよ」
「はいはいーー確かにあなたの意見は一理あります。ですが、本来聖女様のお世話係というのは、元老院が作った厳しい審査を通過して、ほかの神官たちの指示を得ることで、ようやくなることが出来る名誉ある仕事なんです。お言葉ですが、私以外でそのような人間がいるとは到底思えません」
「随分きついこと言うわね……」
「当然です。私は世話係になるために、日々努力し続けてきたのですから」
「へえ」
そう言えば、私はウィルに、この仕事を目指した理由を聞いたことがなかった。
「どうして聖女の世話係になろうと思ったの?」
ウィルは私をじっと見つめる。
「……? えっ、何?」
彼はもう一度大きなため息をついた。
「でしょうね、わかっていたことですが」
「な、何が?」
「いえ、なんでもありませんよ。あなたの記憶力に少々失望しただけです」
「嘘、前に教えてもらってたっけ?」
そんな記憶、欠片もない。
「別にお伝えしてはないですが。あーあ、私にとっては大事な思い出だったのですが、聖女様はそうは思っていなかったようですねぇ」
結構重要なイベントがあったらしい。
でも、私にはまったく記憶がなかった。
「ご、ごめんなさい、ウィル」
「別に良いですけどねーーじゃ、私は部屋に戻りますので」
「ま、待って!」
帰られては困る。
どうにかして、このアイデアを上手く働かせたかった。
私は慌ててウィルの腕を掴む。
「まだ何か?」
「なら、これはどう? ウィルに補助をつけるの。そうすれば、ウィルの負担を減らすことが出来るわ」
「私は、聖女様そこまでしていただく必要があるほど、仕事が出来ないわけではありませんのでーーそれでは」
「あっ」
ウィルは私の手を外し、さっさと部屋から出て行った。
ウィルは今日、本当に機嫌が悪いみたいだった。
「ウィル忙しそうだし、新しい世話係が必要なんじゃないかと思うの」
「……は?」
ウィルは、明らかにショックを受けたような顔をした。
「聖女様にとって、私はもう不必要な人間ということでしょうか……?」
「えっ、あっ、違う違うーーもう1人追加したらどうかしら、と思って」
「もう1人?」
「ええ。さっき思いついたことなんだけど。ウィルにとっても良いことなんじゃじゃないかなと思ったの」
「はあ……」
私は良いアイデアだと思ったし、ウィルもそう思ってくれるだろうと思っていたのに、彼の反応はいまいちだった。
「前例がありませんから」
「前例がなくても、別に問題ないと思うんだけど。だって私の復学にだって、結局許してくれたじゃない」
「それはあなたがーーいえ、なんでもありません」
ウィルはため息をついた。
「幸せが逃げるわよ」
「はいはいーー確かにあなたの意見は一理あります。ですが、本来聖女様のお世話係というのは、元老院が作った厳しい審査を通過して、ほかの神官たちの指示を得ることで、ようやくなることが出来る名誉ある仕事なんです。お言葉ですが、私以外でそのような人間がいるとは到底思えません」
「随分きついこと言うわね……」
「当然です。私は世話係になるために、日々努力し続けてきたのですから」
「へえ」
そう言えば、私はウィルに、この仕事を目指した理由を聞いたことがなかった。
「どうして聖女の世話係になろうと思ったの?」
ウィルは私をじっと見つめる。
「……? えっ、何?」
彼はもう一度大きなため息をついた。
「でしょうね、わかっていたことですが」
「な、何が?」
「いえ、なんでもありませんよ。あなたの記憶力に少々失望しただけです」
「嘘、前に教えてもらってたっけ?」
そんな記憶、欠片もない。
「別にお伝えしてはないですが。あーあ、私にとっては大事な思い出だったのですが、聖女様はそうは思っていなかったようですねぇ」
結構重要なイベントがあったらしい。
でも、私にはまったく記憶がなかった。
「ご、ごめんなさい、ウィル」
「別に良いですけどねーーじゃ、私は部屋に戻りますので」
「ま、待って!」
帰られては困る。
どうにかして、このアイデアを上手く働かせたかった。
私は慌ててウィルの腕を掴む。
「まだ何か?」
「なら、これはどう? ウィルに補助をつけるの。そうすれば、ウィルの負担を減らすことが出来るわ」
「私は、聖女様そこまでしていただく必要があるほど、仕事が出来ないわけではありませんのでーーそれでは」
「あっ」
ウィルは私の手を外し、さっさと部屋から出て行った。
ウィルは今日、本当に機嫌が悪いみたいだった。
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