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第2章
弟
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弟は冷たい。
昔からそうだ。
弟――アベルは私とは違い、聡明な子どもだった。
私が何も考えずにただ走り回って遊び惚けていた幼少期のあのころ、1個下の弟は本を読んで勉強していた。
私がコーネリアス殿下と婚約した日は、真っすぐな目で、
「私は姉上と共に、コーネリアス殿下を支えていきます」
と彼に誓った。
そう、昔からアベルは冷たかった。
私にだけ。
どうせ、私のこと勉強も何も出来ない馬鹿だと思ってるんでしょうけど。
確かに能力は低いけど、私だって頑張ってるのに。
アベルは、私をどうも下に見ている節がある。
私を馬鹿だと陰で蔑んでいる気がする。
でもまあ、私は気にしてない。
だって、あくまでアベルは私の弟だ。
可愛い可愛い弟。
たとえ、どれだけ生意気であろうとも。
「ちょっと、酷過ぎない?」
私はむっとしてほっぺを膨らませた。
「姉がせっかく相談してるのに」
「可愛くないですよ、姉上」
アベルは私を冷淡に見やる。
「そんなことをしても引っかかるのは馬鹿な男だけです。卑しい媚の売り方は辞めてください。令嬢に相応しい行動を」
「あーあー、もう、わかってるわよ」
アベルと会話すると、すぐに話の趣旨が変わってしまう。
「そんなことより、ねえ、どう思う?」
私は話題を強引に戻した。
「殿下に謝るべきかな?」
「そりゃ当然でしょう」
何を迷う必要があるんですか、とアベルは言った。
「でも、私悪いことしてないし」
「確かに姉上は悪いことはしてませんよ。でも、あなたは究極の馬鹿で鈍い人です」
「……酷い」
「事実です――で、あなたはその馬鹿なテンションで簡単にテレサとかいう令嬢の話を信じ、自分の婚約者であるコーネリアス殿下を信じなかった」
「うんまあ、それは」
でも、と私は続ける。
「殿下とテレサ嬢の関係は、まだ明らかになっていないわ」
それに、まだ私は友達が出来ていない。
「それはそうですけど。姉上は大人な対応を覚えた方が良いですよ」
「大人な対応?」
「殿下が浮気したから婚約破棄だっていう思考に直接結びつけるんじゃなく、まずは殿下とお話をするところから始めるべきだったんです」
「お話……」
「私もそのアン令嬢と同じ考えですよ。私から言えることは、これだけです、姉上。それ以降は自分でちゃんと決めてください」
昔からそうだ。
弟――アベルは私とは違い、聡明な子どもだった。
私が何も考えずにただ走り回って遊び惚けていた幼少期のあのころ、1個下の弟は本を読んで勉強していた。
私がコーネリアス殿下と婚約した日は、真っすぐな目で、
「私は姉上と共に、コーネリアス殿下を支えていきます」
と彼に誓った。
そう、昔からアベルは冷たかった。
私にだけ。
どうせ、私のこと勉強も何も出来ない馬鹿だと思ってるんでしょうけど。
確かに能力は低いけど、私だって頑張ってるのに。
アベルは、私をどうも下に見ている節がある。
私を馬鹿だと陰で蔑んでいる気がする。
でもまあ、私は気にしてない。
だって、あくまでアベルは私の弟だ。
可愛い可愛い弟。
たとえ、どれだけ生意気であろうとも。
「ちょっと、酷過ぎない?」
私はむっとしてほっぺを膨らませた。
「姉がせっかく相談してるのに」
「可愛くないですよ、姉上」
アベルは私を冷淡に見やる。
「そんなことをしても引っかかるのは馬鹿な男だけです。卑しい媚の売り方は辞めてください。令嬢に相応しい行動を」
「あーあー、もう、わかってるわよ」
アベルと会話すると、すぐに話の趣旨が変わってしまう。
「そんなことより、ねえ、どう思う?」
私は話題を強引に戻した。
「殿下に謝るべきかな?」
「そりゃ当然でしょう」
何を迷う必要があるんですか、とアベルは言った。
「でも、私悪いことしてないし」
「確かに姉上は悪いことはしてませんよ。でも、あなたは究極の馬鹿で鈍い人です」
「……酷い」
「事実です――で、あなたはその馬鹿なテンションで簡単にテレサとかいう令嬢の話を信じ、自分の婚約者であるコーネリアス殿下を信じなかった」
「うんまあ、それは」
でも、と私は続ける。
「殿下とテレサ嬢の関係は、まだ明らかになっていないわ」
それに、まだ私は友達が出来ていない。
「それはそうですけど。姉上は大人な対応を覚えた方が良いですよ」
「大人な対応?」
「殿下が浮気したから婚約破棄だっていう思考に直接結びつけるんじゃなく、まずは殿下とお話をするところから始めるべきだったんです」
「お話……」
「私もそのアン令嬢と同じ考えですよ。私から言えることは、これだけです、姉上。それ以降は自分でちゃんと決めてください」
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