婚約者のせいで友達が出来ないんですが

小倉みち

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第3章

ヒロイン

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 ヒロイン?


 私は首を傾げる。


「ヒロインって……」

「あのヒロインのことよね? 小説とかに出てくる女性主人公の」

「ええ、そうなんですよ」


 取り巻きの1人が頷く。

「テレサ男爵令嬢は、自分のことを『ヒロイン』だと言い張っているんです」

「それはそれは」


 とんでもない電波発言だ。

 もしや、この世界がおとぎ話か何かだと思っているのだろうか。


「一度、私も彼女と話したことがあるのですが」

 別の令嬢が言う。

「そのときは、下級貴族たちの交流会みたいな場所だったんですよ。そこで彼女は私に向かって、

『私、この世界のヒロインなのよね』 

 と言ったんです」



 最初、彼女はテレサのことを「一風変わった令嬢」という認識でいたらしい。

「事前に、ちょっと変わった人がいるみたいなのを聞いていましたから。でも、おかしいんです」

 彼女はぶるりと身を震わせる。

「テレサは、

『自分は将来、コーネリアス殿下と結ばれる』

 とか、

『この世界はオトメゲーム? の世界で、私はそのヒロインに転生した』

 とか、

『コーネリアス殿下と私は、前世からの絆があるの』

 とか、

『私は前世から、コーネリアス殿下を愛していた』

 とか言っていました」


「へ、へえ……」


 私とアンはドン引きした。

「前世って」

「よくわかりません。あと、彼女はこの世界を自分に都合の良い世界だと思っているみたいです」

「な、なるほど……」


 変わっているというか、頭がイカれているというか。


「でも彼女は、殿下のことが好きなのよね?」

 と、私。

「はい、多分……。でも、相手がいるよと説明しても聞き耳を持たないというか」

「それでも殿下は自分を選ぶという謎過ぎる持論を持っているみたいで」


 なるほど。

 その強引さが、殿下を引きつけたのかもしれないなあ……。

 知らないけど。
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