婚約者のせいで友達が出来ないんですが

小倉みち

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第4章

話①

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 外で立ち話するのもなんだということで、私たちは屋敷に戻り、客室でたっぷりお話をすることにした。


 なぜか弟のアベルも一緒だ。


「何度も言いますが」

 アベルは言った。

「姉上は、ディック兄さんと昔のような距離感でいては駄目なんです。お互い、妙齢の男女であることを忘れないでください」


 何度も同じことを言わなくても、わかっている。


 正直鬱陶しいが、この憎い弟は、陰で姉上のために怒ってくれていた。

 おかげで機嫌が良いので、文句は言わないであげることにする。


 私はカレンに紅茶を淹れてくれるよう頼み、ディックに尋ねた。

「それで、約2年間の留学はどうだったの? 楽しかった?」

「まあな」

 と、ディック。

「隣国では、色んな国から優秀な人材が集まってきている。彼らとともに学ぶのは、良い刺激を受けたよ」

「へぇ」


 一緒に勉強して、それが良い刺激になるっていうのはいまいちよくわからない。

 私、友達いなかったし。


「たくさん友人も出来た。今度、彼らともう一度集まってパーティを開く。君たちも一緒に来るか?」

「良いんですか?」

 と、アベルは目を輝かせた。

「何をそんなに喜んでいるの?」

「姉上には全然ピンと来ないかもしれませんが。ディック兄さんのご友人に、エリック・ガルシアがいるんです」

「エリック・ガルシア?」

「魔導工学者です。私たちと同い年くらいなのに、世界的に有名な魔導工学賞の最有力候補なんですよ」


 そのエリック・ガルシアなる人物のことは知らないが、魔導工学賞なら知っている。


 世界の重鎮たちが4年に1度決める、この世界の発展に尽力を尽くした魔導工学者に与えられる名誉だ。


「へぇ。凄いわね」

 私は言った。

「そんな人が、ディックのお友達なの?」

「ああ、まあ」

 ディックは照れたように笑った。

「気が合ってな。仲良くさせてもらってるよ」

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