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二週間ぶりの我が家に帰ってこれた。
オレが階段から転落した、事故……事件?から、早くも二週間の月日が経っていた。
オレが誰かにぶつかって、勝手にひとりで落ちただけだと思ってたんだけど、真相は違ったらしい。
入院中、初めて警察の人に病院で事情聴取とかされてびっくりした。
でも、落ちたのはわかるんだけど、その犯人に全然見覚えがないんだよね。
犯人だという人の写真を見せてもらったけど、淡い栗毛色の髪に大きな瞳が印象的な、可愛らしい人だなぁ~って思っただけだった。
あんな可愛い人がなんでオレなんかを?
え?もしかして、オレのことが好きだったとか?って、ちょっと期待したけど違うらしい。
まぁ、犯人の人も男性らしいから、そういうのではないっぽい。
ただ、寝てると何となく思い出すことはあった。
甘いシャンプーの匂いと、目深に帽子を被った、歪な笑みを浮かべた人の顔。
耳の奥に残っている、甲高い笑い声。
ずっと何かを叫んでいた。
『やっと邪魔者が消えた♪これで……は僕のモノ♡あぁ~、やっと幸せになれるんだぁ~』
聞いているだけで胸の奥が締め付けられるように痛くなる。
気持ち悪くて、悲しくて、苦しくて……
吐き気を我慢できなくなって目を覚ました。
会ったことなんてないはずなのに、夢の中で何度も告げられた言葉。
同じ夢を何度も見るせいか、現実と夢が入り混じってしまいそうになる。
警察の人にも、何度も同じことを繰り返し確認された。
後から聞いた話だと、櫻井さんのストーカーをしていたんだって。
つまり、オレは櫻井さんの知り合いだから狙われたってことになるらしい。
ん~、ホント不思議だよね。
櫻井さんとは確かに顔見知りだけど、別に友人というわけでもないのに……
そりゃ、何度か一緒に企画は立てたりしたよ?
櫻井さんくらいのイケメンが友だちだったら、ちょっと自慢するかも♪
あ、司馬もイケメンだけど、系統は違うじゃん?
でも、ホントにそれだけなんだけどなぁ……
何度聞かれても、オレの方が不思議に思ってしまう。
なんの関係もないオレが巻き込まれたのって、ただの偶然なんじゃないか?
オレが階段から落ちちゃったせいで、色々ややこしくしてるだけじゃないのか?って……
備え付けのテーブルに広げられた書類にサインをするたび、鋭い目つきの警察官がジッとオレを見つめていた。
オレ、被害者(?)のはずなのに……と、胸の奥にモヤモヤした違和感が広がる。
ホント……何度確認されても、オレと櫻井さんには何の関係もないのに……
櫻井さんも何度も事情聴取を受けているのに、ほぼ毎日オレのお見舞いに来てくれる。
多分、オレのことを巻き込んじゃったのが申し訳ないからだと思う。
櫻井さん、人が良いから……
でも、何度言われても信じられないことがひとつだけあった。
櫻井さんとオレはお付き合いをしていて、近々同棲する予定だったと言われたけど、全く信じることなんてできなかった。
だって、あの櫻井さんだよ?
確かに、櫻井さんには憧れていたし、カッコいいなぁ~って気持ちはあるけど、恋愛対象かと言われたらなんか違う気がする。
頭を打ってるからって、恋人だったときの記憶だけなくなるなんて、そんなドラマみたいなこと、あるわけないだろうし……
ただ、櫻井さんのことを考えると、胸の奥にぽっかりと穴が開いたような気持ちになる。
多分、どこか必死な様子の櫻井さんの顔に、オレの気持ちが引きずられてるだけだろうけど……
オレが覚えてないです。って言うたび、櫻井さんの顔が悲し気に歪み、無理矢理笑みを浮かべる。
なんか、覚えていないオレが悪いみたいで、すっごくモヤモヤする。
「はぁ……櫻井さんの話、どこまでが本当なんだろ……」
ソファーに深く座り、ボーっと天井を眺める。
福岡の新店の出張から戻ってすぐにあの事件に巻き込まれたから、部屋は何となく埃っぽい気がする。
帰ってきてすぐに、換気のために窓を開けておいたから、少し肌寒い風が部屋に入ってきて、ミントグリーンのカーテンを揺らしている。
この部屋は、オレが出張に出る前と何も変わらない。
変わらないからこそ、小さな違和感を覚えてしまう。
部屋には、オレが誰かとお付き合いでもしていたような形跡は確かにあった。
二人分の歯ブラシだったり、お揃いのマグカップ。
枕も当たり前のように二人分あるし、見覚えのある収納ボックスには、明らかにオレのじゃない衣類が入っていた。
それでも、オレには一切心当たりがないんだよね。
病院の先生には、一時的な記憶喪失や混乱が原因だろうって言われたけど、オレにはそんな自覚全然ないんだけどなぁ……
そんな大切な関係なら、なんで忘れたんだろう……
恋人だったことだけ忘れるなんて、本当にあるのかな?
ソファーに置いてあったクッションを抱きしめ、小さくため息を吐き出して外を眺める。
「恋人のことだけ忘れるなんて……そんな、薄情なヤツだったんだ……オレ……」
唇が震え、自嘲的な笑みが溢れる。
目を閉じると、ソファーに座って、誰かと手を繋いだ記憶が頭に浮かんでくるも、すぐに白く霞んでいく。
この相手が誰なのか、オレにはわからない。
気になるのは、テレビの横に置かれた写真立てだ。
普通、写真立てなら写真が見えるように飾っているはずなのに、その写真立ては伏せられていて何が飾ってあったのかわからない。
立て直せば、誰と撮った写真なのか一目でわかるはずなのに……不思議と寂しい気持ちになって、戻すことを躊躇してしまう。
「……今はまだ、見なくてもいいよね」
写真立てから視線を外し、ポスリとクッションに顔を埋めて視界を塞ぐ。
やっと帰って来たんだから、今はちょっとだけでもゆっくりしたい。
明日は、さすがに職場に顔を出さなきゃだし……
「あ……司馬からの告白、返事しなきゃ……」
不意に思い出したのは司馬の顔だった。
なんか、あの事件のときも司馬は色々と助けてくれたらしい。
櫻井さんが苦虫を噛んだような表情を浮かべて言っていたのが、ちょっとだけおかしかった。
「司馬……司馬のこと、好きだけど……オレにとってそういうんじゃないんだよなぁ……」
足先をピコピコと動かしながら、司馬のことを考える。
『俺は本気だから。竹内の気持ちが落ち着くまで、俺はいつまでも待つよ。だから、ちゃんと俺とのこと、考えてくれないか?』
司馬の真剣そのものな眼差し。
彼の唇に触れた指が、熱くて、思い出しただけで震えそうになった。
カッコ良くて、頼りになって、ムカつくくらいできるヤツ。
でも……
「でも、なんか……もう、誰も好きな人とか作りたくないんだよなぁ……。オレ、誰かを好きになったこと、ないはずなのに……。恋人なんて、一回もできたこと……ないのに……」
クッションを抱きしめたまま、深い溜息を吐き出す。
クッションの柔らかい感触が胸に触れ、司馬の優しい声が何度も頭の中で響く。
自分のことのはずなのに、今のオレはわからないことだらけで気持ち悪い。
この部屋にいるだけで、なぜか胸がざわついて、居たたまれない気分になってくる。
窓の外の街の喧騒が遠くに聴こえ、知らない記憶が頭に浮かび、胸の奥にモヤモヤした疼きが広がる。
「あー!もーっ!こんなんオレらしくない!」
ボスンッと抱えていたクッションに拳を埋め込み、気合を入れるように両手で自らの頬をパァーンと叩く。
「事故前のオレはここを引っ越すつもりだったみたいだし、引っ越せばいいじゃん!司馬のことも、今から連絡して、アイツの都合のいい日に返事をしよう!んで、仕事は……」
ピョンッとソファーから飛び降り、自分に言い聞かせるように予定を口にする。
だが、仕事について言葉にした瞬間、ハタと我に返る。
「いや、仕事のことはさすがに相談しなきゃダメだろ。うん。とりあえず、明日は仕事行って、店長に相談しよう。そうしよう。とりあえず、今できることをやらなきゃ!」
考えたら吉日。
オレは放り投げていたスマホを手に取り、司馬に連絡を入れる。
悩んでてもしかたない。
忘れたってことは、オレにとって、思い出さない方がいいことなんだと思う。
だって、オレと櫻井さんが付き合ってるなんて……絶対、ありえないもん。
オレなんかじゃ、櫻井さんには釣り合わない……
オレが階段から転落した、事故……事件?から、早くも二週間の月日が経っていた。
オレが誰かにぶつかって、勝手にひとりで落ちただけだと思ってたんだけど、真相は違ったらしい。
入院中、初めて警察の人に病院で事情聴取とかされてびっくりした。
でも、落ちたのはわかるんだけど、その犯人に全然見覚えがないんだよね。
犯人だという人の写真を見せてもらったけど、淡い栗毛色の髪に大きな瞳が印象的な、可愛らしい人だなぁ~って思っただけだった。
あんな可愛い人がなんでオレなんかを?
え?もしかして、オレのことが好きだったとか?って、ちょっと期待したけど違うらしい。
まぁ、犯人の人も男性らしいから、そういうのではないっぽい。
ただ、寝てると何となく思い出すことはあった。
甘いシャンプーの匂いと、目深に帽子を被った、歪な笑みを浮かべた人の顔。
耳の奥に残っている、甲高い笑い声。
ずっと何かを叫んでいた。
『やっと邪魔者が消えた♪これで……は僕のモノ♡あぁ~、やっと幸せになれるんだぁ~』
聞いているだけで胸の奥が締め付けられるように痛くなる。
気持ち悪くて、悲しくて、苦しくて……
吐き気を我慢できなくなって目を覚ました。
会ったことなんてないはずなのに、夢の中で何度も告げられた言葉。
同じ夢を何度も見るせいか、現実と夢が入り混じってしまいそうになる。
警察の人にも、何度も同じことを繰り返し確認された。
後から聞いた話だと、櫻井さんのストーカーをしていたんだって。
つまり、オレは櫻井さんの知り合いだから狙われたってことになるらしい。
ん~、ホント不思議だよね。
櫻井さんとは確かに顔見知りだけど、別に友人というわけでもないのに……
そりゃ、何度か一緒に企画は立てたりしたよ?
櫻井さんくらいのイケメンが友だちだったら、ちょっと自慢するかも♪
あ、司馬もイケメンだけど、系統は違うじゃん?
でも、ホントにそれだけなんだけどなぁ……
何度聞かれても、オレの方が不思議に思ってしまう。
なんの関係もないオレが巻き込まれたのって、ただの偶然なんじゃないか?
オレが階段から落ちちゃったせいで、色々ややこしくしてるだけじゃないのか?って……
備え付けのテーブルに広げられた書類にサインをするたび、鋭い目つきの警察官がジッとオレを見つめていた。
オレ、被害者(?)のはずなのに……と、胸の奥にモヤモヤした違和感が広がる。
ホント……何度確認されても、オレと櫻井さんには何の関係もないのに……
櫻井さんも何度も事情聴取を受けているのに、ほぼ毎日オレのお見舞いに来てくれる。
多分、オレのことを巻き込んじゃったのが申し訳ないからだと思う。
櫻井さん、人が良いから……
でも、何度言われても信じられないことがひとつだけあった。
櫻井さんとオレはお付き合いをしていて、近々同棲する予定だったと言われたけど、全く信じることなんてできなかった。
だって、あの櫻井さんだよ?
確かに、櫻井さんには憧れていたし、カッコいいなぁ~って気持ちはあるけど、恋愛対象かと言われたらなんか違う気がする。
頭を打ってるからって、恋人だったときの記憶だけなくなるなんて、そんなドラマみたいなこと、あるわけないだろうし……
ただ、櫻井さんのことを考えると、胸の奥にぽっかりと穴が開いたような気持ちになる。
多分、どこか必死な様子の櫻井さんの顔に、オレの気持ちが引きずられてるだけだろうけど……
オレが覚えてないです。って言うたび、櫻井さんの顔が悲し気に歪み、無理矢理笑みを浮かべる。
なんか、覚えていないオレが悪いみたいで、すっごくモヤモヤする。
「はぁ……櫻井さんの話、どこまでが本当なんだろ……」
ソファーに深く座り、ボーっと天井を眺める。
福岡の新店の出張から戻ってすぐにあの事件に巻き込まれたから、部屋は何となく埃っぽい気がする。
帰ってきてすぐに、換気のために窓を開けておいたから、少し肌寒い風が部屋に入ってきて、ミントグリーンのカーテンを揺らしている。
この部屋は、オレが出張に出る前と何も変わらない。
変わらないからこそ、小さな違和感を覚えてしまう。
部屋には、オレが誰かとお付き合いでもしていたような形跡は確かにあった。
二人分の歯ブラシだったり、お揃いのマグカップ。
枕も当たり前のように二人分あるし、見覚えのある収納ボックスには、明らかにオレのじゃない衣類が入っていた。
それでも、オレには一切心当たりがないんだよね。
病院の先生には、一時的な記憶喪失や混乱が原因だろうって言われたけど、オレにはそんな自覚全然ないんだけどなぁ……
そんな大切な関係なら、なんで忘れたんだろう……
恋人だったことだけ忘れるなんて、本当にあるのかな?
ソファーに置いてあったクッションを抱きしめ、小さくため息を吐き出して外を眺める。
「恋人のことだけ忘れるなんて……そんな、薄情なヤツだったんだ……オレ……」
唇が震え、自嘲的な笑みが溢れる。
目を閉じると、ソファーに座って、誰かと手を繋いだ記憶が頭に浮かんでくるも、すぐに白く霞んでいく。
この相手が誰なのか、オレにはわからない。
気になるのは、テレビの横に置かれた写真立てだ。
普通、写真立てなら写真が見えるように飾っているはずなのに、その写真立ては伏せられていて何が飾ってあったのかわからない。
立て直せば、誰と撮った写真なのか一目でわかるはずなのに……不思議と寂しい気持ちになって、戻すことを躊躇してしまう。
「……今はまだ、見なくてもいいよね」
写真立てから視線を外し、ポスリとクッションに顔を埋めて視界を塞ぐ。
やっと帰って来たんだから、今はちょっとだけでもゆっくりしたい。
明日は、さすがに職場に顔を出さなきゃだし……
「あ……司馬からの告白、返事しなきゃ……」
不意に思い出したのは司馬の顔だった。
なんか、あの事件のときも司馬は色々と助けてくれたらしい。
櫻井さんが苦虫を噛んだような表情を浮かべて言っていたのが、ちょっとだけおかしかった。
「司馬……司馬のこと、好きだけど……オレにとってそういうんじゃないんだよなぁ……」
足先をピコピコと動かしながら、司馬のことを考える。
『俺は本気だから。竹内の気持ちが落ち着くまで、俺はいつまでも待つよ。だから、ちゃんと俺とのこと、考えてくれないか?』
司馬の真剣そのものな眼差し。
彼の唇に触れた指が、熱くて、思い出しただけで震えそうになった。
カッコ良くて、頼りになって、ムカつくくらいできるヤツ。
でも……
「でも、なんか……もう、誰も好きな人とか作りたくないんだよなぁ……。オレ、誰かを好きになったこと、ないはずなのに……。恋人なんて、一回もできたこと……ないのに……」
クッションを抱きしめたまま、深い溜息を吐き出す。
クッションの柔らかい感触が胸に触れ、司馬の優しい声が何度も頭の中で響く。
自分のことのはずなのに、今のオレはわからないことだらけで気持ち悪い。
この部屋にいるだけで、なぜか胸がざわついて、居たたまれない気分になってくる。
窓の外の街の喧騒が遠くに聴こえ、知らない記憶が頭に浮かび、胸の奥にモヤモヤした疼きが広がる。
「あー!もーっ!こんなんオレらしくない!」
ボスンッと抱えていたクッションに拳を埋め込み、気合を入れるように両手で自らの頬をパァーンと叩く。
「事故前のオレはここを引っ越すつもりだったみたいだし、引っ越せばいいじゃん!司馬のことも、今から連絡して、アイツの都合のいい日に返事をしよう!んで、仕事は……」
ピョンッとソファーから飛び降り、自分に言い聞かせるように予定を口にする。
だが、仕事について言葉にした瞬間、ハタと我に返る。
「いや、仕事のことはさすがに相談しなきゃダメだろ。うん。とりあえず、明日は仕事行って、店長に相談しよう。そうしよう。とりあえず、今できることをやらなきゃ!」
考えたら吉日。
オレは放り投げていたスマホを手に取り、司馬に連絡を入れる。
悩んでてもしかたない。
忘れたってことは、オレにとって、思い出さない方がいいことなんだと思う。
だって、オレと櫻井さんが付き合ってるなんて……絶対、ありえないもん。
オレなんかじゃ、櫻井さんには釣り合わない……
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