何も知らない僕たちは

凪海 三月

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第一章

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 皆、ユムが死んでから静かになった。
 それと同時に通り魔に怒りの矛先をむけていた。
 
 ある日、カトが消えた。
 でも誰も追わなかった。
 4人は、理由を解っていた。
 カトをいつも引っ張って、助けてくれたユムの敵をとりにいったんだ。
 4人皆、本当は止めなければならなかったのを気付いていた。
 けど理屈で説得できる自信がなかった。
 結局カトはボロいリュックに自分のご飯を入れ、約1ヶ月たった。

 「ねぇイヴ、」
 「なぁに?」
 「私たち大丈夫かなぁ?」
 「どうしたの、急に」
 「何か自分を囲んでくれたようなものがどんどん消えていく気がするんだ」
 「・・・・僕たちは大丈夫だよ、絶対。・・・なんてお世辞でも言えないや。ごめん、コサ」
 「ううん、何でもない。」
 「そうだね・・・」
 「神様は平等じゃないんだね、」
 「そんなこというなよ、ハヤだってユムが還ってくるように神に頼んだろ?」
 「そうだね、あはははは・・・はは・・・  ねぇどうやって笑うんだっけ?」
 「忘れたな、」
 「私も」
 「俺も」

 静まりかえる空気の中、4人はただ空をみていた。

 「ねぇ皆、こんな晴れの青い空を見ていると私、よく思うんだ。こんなに世界は広いから多分奇跡は、起こるんだろうって。でも最近は何で私たちがこんなことになるのかなって」
 「そうだね・・・」
 「大丈夫だよきっと。僕たちは空を広く青いものとしか知らない。だからきっとカトももうすぐかえってくるかもよ。」
 「だといいね。」

 とにかく私たちは自分たちに言い聞かせるようにキレイごとを並べてごまかした。   
 もうこれ以上バラバラにならないように。
 噛み合うかも分からないピースをはめるかのように。 
 何の手立てもない僕たちはただひたすら願うしかなかったんだ。
 

 することがないと時間のながれは遅く感じる。
 僕たちは毎日毎日ただ日常を演じるように何気ない会話を何も考えずに繋いでいった。
 本当はもう皆感じていた。
 多分カトは無事ではないことを。
 だから僕たちはその会話に現実を濁した。
 


 あれから半月たち、事態が急変した。
 一通の手紙が届いた。
 僕たちは家を持たないが、郵便受けだけはつくっていた。
  
 コサ、ハヤ、イヴ、メテ、へ
 
 私はいま、ろうやに、います。
 私はユムを殺したはん人を殺しました。 なので私はサハラ州のろうやにいます。 私はまだ、みせいねんだったので、あと一ねんでもどります。
 

               カト

 僕たちはとにかく安心していつもより早く寝た。
 

 ある手紙を贈ってから。
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