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第1章
心と身体
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今回の相談の内容は障がい者。一口に障がい者と言ってもいろいろな種類がある。と、いうことぐらいしか僕は知らない。精々生まれつき身体の一部がない、だとか耳が聞こえないだとしか知らない。でも、この人のそれは僕の想像とは大きく違った。
「初めまして。障がい者からの相談です。わたしは自分の性別と心の性別が違う、性同一性障害者です。私の場合、心は女性で身体は男性なのですが、これが原因でいじめを受けてきました。小学生の頃は良かったんです。自分が女性に近いという事もあまり気にしてなくて。周りも自分を男として扱っていてくれました。でも、中学校に入ってからは全然違ったんです。成長するにつれて自分の心と身体の間にあるひずみがどんどん大きくなっていく事に気がつきました。それでもなんとか男になろうと必死で。しかしそういう態度が気に食わなかったのか、だんだん仲のよかった友達は私のことを無視するようになったんです。まだ、それならなんとか耐えることができました。でも、そのいじめもどんどんエスカレートしていって、ついには階段から突き落とされました。その時私を突き落とした人に、男ならかかってこいよ。女なら泣いてろ。と言われました。その日から、学校に行くのが怖くなりました。もう死のうかとも思いました。周りに馴染めない自分が悪いんだと自分のことばかり責めていました。
そんな中でも私にずっと寄り添っていてくれた女の子がいました。ここではマリと呼びます。彼女は優しくて、私が障害を持っているといった時も、ほんとはあなたと同じ女の子なんだと言った時も、もう学校に行きたくないと言った時も、ずっと私のそばにいて慰めてくれました。だから生きようと思った。彼女のために頑張って学校に行こうと思ったんです。そこからはどんなに辛くて苦しくて逃げ出したくなっても絶対に学校には行きました。
勉強も頑張りました。誰も本当の私を知らないところに行こうと決めたからです。そしてその甲斐あって第一志望の学校に合格することができました。
ここでやっと本題に入ります。現在私は高校一年生です。マリ以外の仲のいい友達もできました。まだみんなは私の正体に気づいていません。ですが、やはり何か隠しているようで、罪悪感があります。果たして周りにこの事実を打ち明けて、開き直ってしまうべきなのでしょうか。ですが中学時代のトラウマもあるので、中々決めることができません。もし前と同じような状況に陥ってしまったら、マリとも離れてしまった今、きっと私は立ち直れません。どうしたらいいのでしょうか。お返事待ってます。
P.S 私の本名はレイです。今後はそう呼んでいただいて構いません。 」
・・・驚いた。というのが今の素直な感想だ。数千人に一人は彼女と同じ障害を持った人たちがいるらしいが、僕の周りにはその障がいを持った友人は一人もいなかった。だから、それはあくまでただのデータであり、どこかフィクションのように感じていた。
だけど現実には、彼女のように悩んで苦しんでる人たちがいる。きっともっと大勢だ。そう思うと自分が情けなくなってきた。
何がただのデータだ。何がフィクションだ。何にも知らないくせに。思わず泣いてしまいそうだよ。情けない。
決めた。彼女と一緒に悩もう。彼女にとっての最善を見つける手伝いをしよう。それが僕に出来るめちゃめちゃに身勝手な贖罪だ。
そう決めた頃には、電車は既に目的地に到着していた。
「初めまして。障がい者からの相談です。わたしは自分の性別と心の性別が違う、性同一性障害者です。私の場合、心は女性で身体は男性なのですが、これが原因でいじめを受けてきました。小学生の頃は良かったんです。自分が女性に近いという事もあまり気にしてなくて。周りも自分を男として扱っていてくれました。でも、中学校に入ってからは全然違ったんです。成長するにつれて自分の心と身体の間にあるひずみがどんどん大きくなっていく事に気がつきました。それでもなんとか男になろうと必死で。しかしそういう態度が気に食わなかったのか、だんだん仲のよかった友達は私のことを無視するようになったんです。まだ、それならなんとか耐えることができました。でも、そのいじめもどんどんエスカレートしていって、ついには階段から突き落とされました。その時私を突き落とした人に、男ならかかってこいよ。女なら泣いてろ。と言われました。その日から、学校に行くのが怖くなりました。もう死のうかとも思いました。周りに馴染めない自分が悪いんだと自分のことばかり責めていました。
そんな中でも私にずっと寄り添っていてくれた女の子がいました。ここではマリと呼びます。彼女は優しくて、私が障害を持っているといった時も、ほんとはあなたと同じ女の子なんだと言った時も、もう学校に行きたくないと言った時も、ずっと私のそばにいて慰めてくれました。だから生きようと思った。彼女のために頑張って学校に行こうと思ったんです。そこからはどんなに辛くて苦しくて逃げ出したくなっても絶対に学校には行きました。
勉強も頑張りました。誰も本当の私を知らないところに行こうと決めたからです。そしてその甲斐あって第一志望の学校に合格することができました。
ここでやっと本題に入ります。現在私は高校一年生です。マリ以外の仲のいい友達もできました。まだみんなは私の正体に気づいていません。ですが、やはり何か隠しているようで、罪悪感があります。果たして周りにこの事実を打ち明けて、開き直ってしまうべきなのでしょうか。ですが中学時代のトラウマもあるので、中々決めることができません。もし前と同じような状況に陥ってしまったら、マリとも離れてしまった今、きっと私は立ち直れません。どうしたらいいのでしょうか。お返事待ってます。
P.S 私の本名はレイです。今後はそう呼んでいただいて構いません。 」
・・・驚いた。というのが今の素直な感想だ。数千人に一人は彼女と同じ障害を持った人たちがいるらしいが、僕の周りにはその障がいを持った友人は一人もいなかった。だから、それはあくまでただのデータであり、どこかフィクションのように感じていた。
だけど現実には、彼女のように悩んで苦しんでる人たちがいる。きっともっと大勢だ。そう思うと自分が情けなくなってきた。
何がただのデータだ。何がフィクションだ。何にも知らないくせに。思わず泣いてしまいそうだよ。情けない。
決めた。彼女と一緒に悩もう。彼女にとっての最善を見つける手伝いをしよう。それが僕に出来るめちゃめちゃに身勝手な贖罪だ。
そう決めた頃には、電車は既に目的地に到着していた。
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