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第1章
白昼
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また夢を見た。
また一緒だ。前と一緒だ。
女の子と一緒に遊んでいる。水色の髪をなびかせて、けたけた笑いながら真っ白な世界の中を走り回っている。
彼女を追う僕も一緒に笑っている。何がそんなに楽しいんだろう。おかしいな。まるで他人事じゃないか。
そう思いながらふと我に帰ると、僕たちは立ち止まっていた。さっきまで忙しなかったのが嘘みたいにピタリと。
その理由はすぐに分かった。前に誰か、もう一人いるのだ。
その人はゆっくりと彼女の方を向き、そして手を取った。
その瞬間、どこかで感じた恐怖感が再び僕の体を蝕んだ。
また一緒だ。前と一緒だ。
これは多分、彼女が僕から引き離されそうになっているというアラートだ。
今度こそ、彼女を取り戻す。そう思って手を伸ばした。
だけどその手とその想いは、雷のように鋭く走った頭痛によって瞬時に絶たれた。想像を絶する痛みだった。手を伸ばした勢いそのままに、彼の足元に倒れ伏す。
なんだこれなんだこれなんだこれ!!!!まるで頭蓋を思いっきり引き剥がされるような...!!!
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
僕は地面をのたうちまわった。そんな僕を一瞥もせず、彼と彼女は光の射す方へと歩いていく。
「まっ...まっ待ってくれぇぇ ...!!」
そう叫び、地面に爪を立てて彼女の元へにじり寄ろうとした。するとまた、一層鋭い痛みが頭に走った。
「ぎあぁぁぁっあっぁっぁaaaaaaaaaaaaaaaahhhhhhhhhhh!!!!!」
爪が割れた。赤い血が真っ白な地面に滴り落ちる。僕は再びのたうちまわった。必死に痛みをかき消そうと、爪の剥がれた手で頭を無茶苦茶に掻き毟る。
その時、向こうのほうで確かに彼が振り向いた。
白昼の中で確かに、彼と僕とは目があった。と、同時に全身に強い衝撃が走り、僕は気を失った。
「真理」ってこんな感じなのかな。と理知的で、冷静な僕が確かに呟いた。
「うあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
僕は飛び起きた。その体勢のまま、状況を把握するでも頭を整理するでもなく、フリーズした。
何秒、いや何分かそうしたのち、再び後ろに倒れる。
「本当に何なんだよ...」
そう呟いた所で、自分が涙を流していることに気がつく。拭おうかと思ったが、やめた。とめどなく流れる涙はそのままに、うずくまってしばらく夢の内容について考えた。憶えているのは、彼女と遊んでいたこと。そして誰かが彼女を何処かへ連れていってしまったこと。そして僕は、彼と確かに目を合わせたということ。だがそこからが奇妙だった。
「まさか...覚えていないのか...?」
どうしても彼の顔を思い出すことができない。というか、全く記憶に残っていないのだ。本当に目を合わせたのかと自分を疑うほど。だがあの衝撃だけは鮮明に覚えている。おそらく他のどれを忘れても、あれだけはずっとそのままに頭の中に居残り続けるだろう。
いつの間にか涙は引いていた。とりあえず、と立ち上がり、冷蔵庫のほうに向かう。
在庫の少なくなった缶ビールを取り出し一気に飲み干した所で、自分が寝ていた理由を思い出した。時計を見ると短針は既に午後三時を回っていた。気が引けるが、相談室のページにとんでみる。
メニューでは返信があったことを知らせる赤いマークが、当然のように輝いていた。
また一緒だ。前と一緒だ。
女の子と一緒に遊んでいる。水色の髪をなびかせて、けたけた笑いながら真っ白な世界の中を走り回っている。
彼女を追う僕も一緒に笑っている。何がそんなに楽しいんだろう。おかしいな。まるで他人事じゃないか。
そう思いながらふと我に帰ると、僕たちは立ち止まっていた。さっきまで忙しなかったのが嘘みたいにピタリと。
その理由はすぐに分かった。前に誰か、もう一人いるのだ。
その人はゆっくりと彼女の方を向き、そして手を取った。
その瞬間、どこかで感じた恐怖感が再び僕の体を蝕んだ。
また一緒だ。前と一緒だ。
これは多分、彼女が僕から引き離されそうになっているというアラートだ。
今度こそ、彼女を取り戻す。そう思って手を伸ばした。
だけどその手とその想いは、雷のように鋭く走った頭痛によって瞬時に絶たれた。想像を絶する痛みだった。手を伸ばした勢いそのままに、彼の足元に倒れ伏す。
なんだこれなんだこれなんだこれ!!!!まるで頭蓋を思いっきり引き剥がされるような...!!!
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
僕は地面をのたうちまわった。そんな僕を一瞥もせず、彼と彼女は光の射す方へと歩いていく。
「まっ...まっ待ってくれぇぇ ...!!」
そう叫び、地面に爪を立てて彼女の元へにじり寄ろうとした。するとまた、一層鋭い痛みが頭に走った。
「ぎあぁぁぁっあっぁっぁaaaaaaaaaaaaaaaahhhhhhhhhhh!!!!!」
爪が割れた。赤い血が真っ白な地面に滴り落ちる。僕は再びのたうちまわった。必死に痛みをかき消そうと、爪の剥がれた手で頭を無茶苦茶に掻き毟る。
その時、向こうのほうで確かに彼が振り向いた。
白昼の中で確かに、彼と僕とは目があった。と、同時に全身に強い衝撃が走り、僕は気を失った。
「真理」ってこんな感じなのかな。と理知的で、冷静な僕が確かに呟いた。
「うあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
僕は飛び起きた。その体勢のまま、状況を把握するでも頭を整理するでもなく、フリーズした。
何秒、いや何分かそうしたのち、再び後ろに倒れる。
「本当に何なんだよ...」
そう呟いた所で、自分が涙を流していることに気がつく。拭おうかと思ったが、やめた。とめどなく流れる涙はそのままに、うずくまってしばらく夢の内容について考えた。憶えているのは、彼女と遊んでいたこと。そして誰かが彼女を何処かへ連れていってしまったこと。そして僕は、彼と確かに目を合わせたということ。だがそこからが奇妙だった。
「まさか...覚えていないのか...?」
どうしても彼の顔を思い出すことができない。というか、全く記憶に残っていないのだ。本当に目を合わせたのかと自分を疑うほど。だがあの衝撃だけは鮮明に覚えている。おそらく他のどれを忘れても、あれだけはずっとそのままに頭の中に居残り続けるだろう。
いつの間にか涙は引いていた。とりあえず、と立ち上がり、冷蔵庫のほうに向かう。
在庫の少なくなった缶ビールを取り出し一気に飲み干した所で、自分が寝ていた理由を思い出した。時計を見ると短針は既に午後三時を回っていた。気が引けるが、相談室のページにとんでみる。
メニューでは返信があったことを知らせる赤いマークが、当然のように輝いていた。
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