小さすぎる彼

くれと

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小さすぎる彼

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夜も更けた頃、僕はマンションの一室で一人ベッドに横たわっていた。

一人寂しく自堕落に過ごしているというわけではない。と言うのも、ここは自宅ではなく恋人の家であり今はその恋人がシャワーを浴びているのを待っているのである。因みに僕は先にここからすぐ近くにある自宅でシャワーを浴びてきている。いつもは一緒に風呂に入るのだが、そういう理由で今日は一人で彼のことを待っているのである。

今、「彼」という言葉を使ったことからわかると思うが、今シャワーを浴びている僕の恋人というのは男性だ。僕は男性も恋愛対象として見ている。以前は女性とも付き合ったことがあるし、女性が嫌いだとかゲイだということもないのだが今は彼のことが好きなのだ。

彼とは僕の職場で出会った。僕はとあるカフェで働いているのだが、彼はその近くの会社で働いているらしく何度か来ているのを見かけていた。彼のレジの会計も担当したことがあり何となく互いに顔見知りになっていた。軽く挨拶をすることもあった。

彼は短く整えた黒髪にスポーツをしてきたことを思わせる逞しい肉体に広い肩幅、そして高身長といった容姿をしている。アイドルのような美形というわけではないが、男らしい見た目で女性からもモテそうだ。人懐っこそうで愛嬌も感じられる。後で彼から聞いた話では同僚の女性社員から付き合って欲しいと告白されたこともあるらしい。彼はそういったことがたまにあると言っているのだが、彼は控えめな性格をしているため実態としてはさらにモテているんだろうなと思う。彼が気付かないだけで密かに思いを寄せられているということもありそうだ。

そんな彼がなぜか僕のシフトの時間によく店に来ると思っていたのだが、彼は僕のことが気になっていたらしい。ある日、僕が退勤後に店を出ると外で彼が待っていた。寒い冬の頃の話である。白い息を吐きながら彼は僕のことが好きだと言ってくれた。僕が面食らっていると彼は「気持ち悪いよね。ごめんなさい。もう店には来ませんから」と言って去ろうとしたところ、僕は彼の腕を取って引き留めた。僕も彼のことを店で初めて見かけたその時に、彼に惹かれていたのである。彼が僕のシフトの時間によく来ているというのは、僕が知らず知らずの内に目で彼を追っていただけなのかもしれない。

そんなきっかけで彼と交際を始めることになった。

彼はイケメンな見た目に反して謙虚で穏やかで控えめだ。付き合い始めた頃はあまり僕と目を合わせてはくれなかったし、体に触れたりもしてくれなかった。デートはしてくれても自宅とかホテルとかで会うこともなかった。そんな彼の照れたような反応がかわいく思えてきゅんとしていたのだが、彼のことが好きだという気持ちを抑えきれなくなり僕から自宅に行きたいと言って、それから互いの自宅で会うようになったのだ。

それからは彼も自然に僕と接してくれるようになった。外では人目を気にはするが自宅ではキスもするし抱きしめたりもするしセックスもする。今では彼との甘く幸せな時間を過ごしている。

彼とのセックスについては意外なことに僕がタチで彼がウケだ。最初は僕も彼に抱かれるつもりでいた。僕はペニスでこの身を貫かれたことはない。経験も無いし怖いとも思うが、彼になら抱かれてもいいと思っていた。そう思ってはいたのだが・・・。

彼といざするとなった時、彼はなぜか裸になるのを躊躇っていた。僕が不思議に思い脱がないのかと聞くと、彼は顔を赤らめてぷるぷるしながらパンツを脱いだ。そこには小さく縮こまったペニスがあった。

男性器は肉棒とか竿とか言う表現が使われたりするが、それは棒状の物とは認識できず縮こまった芋虫のようだった。突起といった表現の方が相応しい気がする。

容姿や肉体に恵まれていると思っていた彼だが、男性の象徴でもある部位にコンプレックスを持っていたというのは意外だった。人柄も良く仕事もできてイケメンで、天は二物を与えずという格言なんて嘘じゃないかと思っていたが、そんな彼にも唯一短所があったということか。

最も僕は決して彼のペニスのサイズが彼の短所だとは思ってはいないのだが。

彼はこれまでペニスを見られて友達にもからかわれたり、恋人にがっかりされたことがあったらしい。僕にも嫌われると思ってセックスにも踏み出せなかったそうだ。

だが、そんなことで僕は彼を嫌いになったりはしない。

寧ろ、そんな彼が愛おしくてたまらない。逞しい肉体と貧相な性器とのギャップも、そんなペニスを恥じらうところも。彼のことが可愛いと思ってしまう。それ以外にも、見た目だけじゃなくて彼の人柄とか優しさとか全部含めて僕は彼のことが好きになってしまったのだ。今更そんな些細なことで嫌いにはなれない。

そのことを彼にも伝えると彼は泣いて喜んでくれた。自分のコンプレックスを誰かに受け入れて貰えたことが初めてだったらしい。彼が喜んでくれたことが俺も嬉しかった。

でも、話はそれだけで終わらなかった。

僕はあまり男臭い見た目をしていない。女性に間違われることこそないし中性的とまでも言わないのだが、男らしいという感じでもない。カフェで働くには自分の顔は都合がいいと思っている。

体もそこまで大柄ではなく痩せ型だが、痩せ細っているというわけではない。体は一応それなりには鍛えている。ジムにも通っていないし腹筋が割れているわけでもないが筋肉はそれなりについていると思う。彼の体と比べると小柄に感じられるが俺の体も筋肉質な方ではあると思っている。

筋肉以外に、もう一つ僕の体には特筆すべきことがある。

僕は所謂、巨根というやつなのだ。

人並み以上に僕のペニスは大きい。風呂で人に見られれば大きいと驚かれ、じろじろと見られることもあった。大きいことを揶揄われることもあったが僕は大して気にはしていなかった。

彼の前で服を脱ぎそれを見せた時には彼のことを落ち込ませてしまった。折角、彼が喜んでくれていたのに再び彼を落ち込ませてしまったが、何とか彼のことを慰めてそのままセックスへと至ったのだ。

自らの性器に恥じらう彼が可愛く思えて襲いたいと思ったし、彼のペニスは挿入には不向きだ。そんな経緯で僕が彼のことを抱く側に回ろうということになったのだ。

誰に向けたのかもわからないような回想をしていると、風呂場の方から音がする。彼がシャワーを終えて出てくるようだ。

今日もこれから、彼との甘い時間が始まる。
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