異世界最弱のニート様 敵は異世界最強の勇者様? 俺 死亡フラグ回避するために棚ぼた勇者めざします!

風まかせ三十郎

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第21話 牝牛のハーレム それは夢の楽園?

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 俺、木賃宿を引き払って、ジイサンの小屋に居候することになったんだけど、寝床はなんと二階の干し草置き場。
 牛の冬用の餌として、春と夏に牧草地の草を刈って保存しておく場所なんだけど、そこで干し草のベッドの上で寝ることになったんだけど。
 まあ、木賃宿の畳の上よりはずっと寝心地がいいので文句はねえが、干し草の青くせえ臭いには辟易する。
 それに翌日はAM五時起きなんだよねえ。
 なんかもう仕事辞めたくなってきた。

 で、仕事の方なんだけど。
 朝の六時に牧場行って、牝牛相手に搾乳を開始するわけだけど。
 
 そのとき俺の死んだマグロの目は、目ん玉が飛び出すんじゃないかと思えるほどに見開かれた。
 いや、早朝から、こんなに素晴らしい感動を味合わせてもらえるとは。
 早起きは三文の徳。
 俺はこのことわざを心ゆくまで噛み締めたよ。
 
 ジイサン、低い椅子に腰を下ろすと、手近な牝牛、いや、違った。牛さんフードを被った女の子を手招きした。
 牝牛、いや、女の子の方も素直なもので、モ~ッてアニメ声で可愛く鳴きながら、ジイサンの側までやって来た。
 そこまではあっちの世界でもよくある光景なんだけど。
 ジイサン、徐にロンバースのファスナーを引き下げると、露になったお乳を、それもBバスト100センチを優に超える女の子の巨乳を、両手で揉みしだき始めたんだ。

 それが牛さんお乳であれば何の問題もなかった。
 でもそれが人間の、女の子のお乳と瓜二つであれは、酪農業界を震撼させる大問題となる。

 そこは無の世界。
 頭ん中、真っ白。
 ただ俺の下半身だけが、発射された核ミサイルのごとく垂直上昇したのも確かだ。

 ジイサンが厳しい顔で振り返った。

「さあ、青年よ。おまえさんもやってみろ」
「は、はい」

 時は来た!
 俺は震える指で美少女の巨乳を握り締めた。

 アッ~、

 か、彼女、悩まし気な表情を浮かべて身悶えしたよぉ~~~~~!

 刹那、ジイサンが怒鳴った。

「これ、若いの! 牝牛の乳を、そんなに乱暴に扱っちゃいかん!」
「は、はい、すみません」
「いいか、若いの、よく見ておけ。搾乳とはこうするのじゃ」

 ジイサン、両の乳を軽く握り締めると、親指と人差し指で輪を作り、中指→薬指→小指の順で折り畳んでは広げ、折り畳んでは広げ、搾乳を始めたんだ。
 すると出るわ、出るわ! 人とは思えないほどの大量の牛乳が、下に置いたバケツの中へ溜まってゆく。

「さあ、やってみろ」

 見様見真似でやってみると、いきなり乳首が横を向いて、ビュッと乳が俺の顔にかかった。
 濃厚な母乳の匂いが鼻を衝く。

 ジイサンが笑った。

「よいか? 小指は牝牛の乳首にかかるように握るのじゃ。そうそう、そうすれば乳は真っすぐ下へ落ちる」
 
 言われた通りにやってみると。
 おっ、上手くいったぜ!

「ほう、意外に器用じゃのう」

 しばらくの間、ジイサン、俺の搾乳の様子を眺めていたが、「じゃあ、そっちの方は頼むよ」
 そう言い残して、別の場所で搾乳を開始した。
 が、そのとき異変が起こった。
 なんとジイサンの周りにいた女の子が、その側を離れて一斉に俺の方へやって来たのだ。

 えっ、なに、なんなの?
 また、俺、なにか悪いことやった?

 すると俺の周りにいた女の子が一斉に横並びになって、人垣、いや、違った。牛垣を作って、やって来る女の子を追い払おうとしたんだ。

 いったい、何が起こったんだ。
 俺はジイサンに助けを求めようとしたが。
 ジイサン、俺を怖い顔して睨んでるよ!

 よくもわしの女を寝取ったな!

 そんな瞳の色してたんだけど、どうやら俺の勘違いだったようで。
 
「若いの! 両手をパンパン叩くのじゃ! さすれば美少女たちは、お主の前に列を成すであろう」
「わかりました!」

 試しに両手をパンパン叩くと、それまで二列横隊でモーモーいがみ合っていた美少女たちが、一斉に俺の方へ向かってきた。
 で、一列に並ぶのかと思ったら、なんと俺を十重二十重とえはたえに包囲したのだ。
 そして……、その巨乳を、俺の顔や胸や股間に、搾乳して、搾乳して、と押し付けてくるのだ!

 完璧な包囲網だ。人類史上、最高の包囲戦だ!
 とカルタゴの名将ハンニバルが言ったとか言わなかったとか。

 俺は美少女たちがまた争い出した隙に、うの体で柵の外へ這い出した。
 そんな俺を見て、ジイサン、こう思ったそうだ。
 こやつ、牛飼いサモナーの素質があるって。
 なんでも美少女たちが、俺にひとめ惚れしたのが何よりの証拠だとか。
 でも俺、牝牛を召喚サモナーした覚えはないんですけど。

「さあ、バケツに溜まった牛乳を、今度はミルク缶に移し替えるのじゃ」

 二人して、ようやく搾乳の仕事を終えると、今度は牧草地へ向かった。
 ジイサン、大鎌、ーー例の死神さんが握ってるやつ。を持った腕を右から左に振って、黙々と草を刈り始めたが、しばらくして立ち止まると、

「さあ、青年、やってみなさい」

 言われるままに、大鎌を振るってみると、いきなり刃が草の根に引っかかって、まるで動かねえ。
 ジイサン、笑いながら俺から大鎌を奪い取ると、

「一度に多くの草を刈ろうとするからいかんのだ。もう少し小振りに、小さく円を描くように刈るのじゃ。そうすれば、ほれ、この通り」
 
 ジイサン、スイスイ草を刈ってゆく。
 俺も見様見真似でやってみると、これが意外と簡単で、ジイサンより早い調子でスイスイと草を刈れたから、ちょっと吃驚びっくり

 ジイサンがムッとした表情で呟いた。

「若いの、あんまり調子よく刈っていると、南蛮なんばんモグラに目を潰されるぞ」
「えっ、なんです? その南蛮モグラって」
「爪の長さが一メートルもある怪物モグラじゃ。たまに穴から顔を出して、人間の目を狙って、その爪を突き出すのじゃ!」

 大鎌を操る俺の手が止まった。

「ほ、本当ですか?」
「まっ、用心に越したことはないからのう。ホッホッホッ……。じゃあ、青年、あとは頼んだぞ」

 ええっ、残り全部、俺がやるの~!
 
 俺はジイサンの背中を見送りつつ、心中で悪態をついた。
 
 だったら給料、もっと増やしやがれってね。
 なんか一人前の月給取りになった気分だ。
 俺って成長した?
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