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二話 いざEクラスへ
しおりを挟む朝になり目を覚ますイクス。
時刻は五時半であり鳥のさえずりが聞こえている。さえずりの音が「ビヨーン」とか「ニョロポポポ」なのは魔道都市だからだろう。
今更だがこんな鳥はそこらにはいない。
正確には鳥ではなく魔獣だからだ。魔力を持った動物を魔獣と呼ぶ。いつから魔獣がいたのかは定かではなく気づいたら魔獣がいる生活が当たり前になっていた。
なぜなら二百年前からの歴史が突如消えたからだ。昔からあったお寺なども二百年前を境に突如消滅し学校の教科書にも二百年前以降の事が書かれている場所は空白になっていたからだ。
当時は大変だったらしいが今は落ち着いてる所か魔法の存在が明らかになり生活が裕福になっている。残念なことに魔法を使える人間は限られているのだが・・・・・・・・・。
そう言えば魔法を反対するテロ組織とかがあった気がするな・・・と思いながらもイクスは布団を片付けジャージに着替えるとランニングのため寮を出た。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「・・・・・・何してるの?」
六時半頃。
イクスはランニングから帰り自分の部屋に戻るとそこには閉まったはずの布団が敷かれてその上で寝ているアルナの姿があった。
「・・・・・・むにゃ」
(いい笑顔で寝てやがる)
アルナの姿を見たイクスは最初にそう思った。毛布を抱き枕にしお腹は見えている。はっきり言ってだらしない。
そんなアルナを起こすためにイクスはコップに水を入れ耳に注ぎ込んだ。
「ギャァァァァォア!!!!」
「寝耳に水・・・どっかの学者が昔にはこんなことわざがあったとか言ってたが素晴らしいことわざだな」
アルナは起き上がるのではなく叫びながら体をばたつかせている。溺れた人間みたいだ。途中でアルナの動きが止まるとバッと上半身だけ起こしこっちを睨みながら言った。
「・・・・・・エッチ」
「このタイミングで言う言葉がそれか?」
怒ってくると思ってたイクスはそれなりに面食らっていた。ポーカーフェイスで分からないだろうけど。
「ふつーこんな美少女が自分の部屋で寝てたら襲うと思うんだけど~・・・・・・あ、もしかして性欲がないの!?」
「いらん心配ありがと~・・・取り敢えず部屋から出ていってくれないかな?ここ男子寮だよ?」
「私が他の男に襲われないか心配してるの?安心してイクス以外に体は許さないわ!!」
(非処女が何言ってるんだ?)
素で思った事だった。
相手をするのが面倒くさくなったイクスはアルナを無理やり部屋から追い出すと布団を片付けダンボールに手を伸ばす。すると・・・・・・
「あ、うちの学園七時にはホームルーム始まるからね!」
と、廊下から声が聞こえた。
「・・・・・・は?」と、一瞬動きが止まったもののすぐに支給された制服を着てバックに必要なものを入れ外に出た。
今の時刻は六時四十分。
寮から学園まで走って十五分の時間がかかるらしい(パンフレットに書いてあった)。イクスは魔法を使い背中から黒い翼を出す。更に魔法をもう一つ重ねがけをする。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢
その結果わずか五分で学園に着き方向音痴なはずのイクスはまるで導かれるかのように職員室のドアを開ける。
「ん?・・・ああ、お前Eクラスに転校してくるガキの一人か。つーか来るの早いな」
そう言ったのはドアを開けてすぐ近くに座っている黒髪の少女。紫色の着物を着て扇子を片手に持っている。かなり可愛い。身長はイクスと同じくらいだ。
だがイクスにとって今はそれを気にする所ではない。なぜなら・・・・・・
「・・・・・・早い?」
「早いに決まってるだろうが・・・八時半登校だぜ?」
「・・・・・・八時半登校?」
もう分かっただろう。
七時にホームルームが始まるというのは完全なる嘘であった。それに気づいたイクスの顔には少しの苛立ちが見える・・・が、それと同時に溜息をついて面倒臭いしもういいやと思う。
「何か忙しそうなやっちゃなぁ~」
「いえ・・・一度寮に戻って出直してきます」
「いや待て小僧」
「十六歳です」
子供扱いされながら呼び止められる。
俺はさっさと寮に帰ってアルナの奴を叱るという用事があるんだ。手短に終わらせて欲しい。
「書類に書かなきゃならねぇ・・・てめぇの侵した罪のテーマを言え」
侵した罪のテーマ。
禁書目録に神が記したやってはいけない事。
禁書目録に書かれてるものにはテーマが存在する。侵した罪のテーマが・・・・・・。
「言いたくねぇ気持ちは分からなくねぇが、これも仕事なんでな」
言ってる言葉とは違いその顔はニヤニヤと笑っている。実に楽しそうでちょっと殴りたい気持ちをイクスは耐える。
「テーマは神殺し」
「ほーん・・・・・・神殺しねぇ~」
テーマはもう言ったから寮に戻っても良いだろう。あまり思い出したくない過去でもあるし・・・。何よりこの女のにやけ顔がイラッとくる。
「・・・・・・失礼します」
「ん~、後でね~」
そう言って職員室を出るとクスクスと笑ってる声が聞こえた。何処かで聞いた事のある声・・・・・・。
寮に向かうには右側・・・・・・。だがイクスは声のする左側に全力で走り曲がり角の階段の方に目をやると・・・・・・。
「フフフフフ・・・・・・・・・・・・あ!」
笑いを一生懸命抑えてるアルナがいた。
服装は制服に着替えられておりバックもある。
「・・・・・・騙したな?」
「騙してないよ」
座っていた体制から立ち上がりこう言った。
「なぜなら部活のホームルームは七時からだから!!!」
・・・・・・・・・・・・。
確かにこいつ学園のホームルームと言ったから部活のホームルームとも取れなくもない。取れなくもないが・・・・・・。
「問答無用」
イクスはアルナにアイアンクローを食らわした。これに関してはイクスの八つ当たりである。
「痛いだいたい・・・・・・イクス君力強すぎません!?その小さい体でどうやってそんな力出してんの!?」
アイアンクローを止めると頭を抑えながらこっちを睨んでくる。
「親しき仲にも礼儀あり!!!」
「親しくないから礼儀なし」
昨日知り合ったばっかだろ。
つーか何でこいつこんなに俺に付きまとってくるんだ。俺にそれほどの魅力はねぇと思うけど。
ま、今はどうでもいいか。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「ほんじゃ全員席につけ!!!」
職員室であった担任教師がそういうと生徒は席に着く。イクスは教師の隣だが・・・・・・。
「ほんじゃ転校生だ!!!イクス君挨拶したまえ」
「分かった」
イクスは一歩前に出るとクラスを見渡す。
このクラスは俺が配属された禁書目録に背いて紋章を刻まれた大罪者のクラス──────Eクラス。
生徒の数は四人・・・イクスを含めて五人しかいない。いや、全員が大罪者なら五人もいると言った方が正しいか。
「俺の名前はイクス。罪のテーマは『神殺し』。これからよろしく頼む」
「・・・・・・」
「・・・・・・近づいたら殺すから」
「・・・・・・腹減った」
「・・・・・・あ~~、死にたい」
まともなやつは居ないのか?
無視からの殺すぞ発言、あと二人は勝手にしろ。教師の方に顔を向けるも・・・・・・。
「・・・・・・ぐー」
寝てやがる。
もう俺も勝手に席に着くかな。
そう思ったその時、イクスの紋章が動きを示した。まるで恋する者に会いに行くかのように・・・・・・。
「ちょっ・・・・・・ヤタガラス!?」
イクスの背中から黒い翼が現れ黒い羽が舞・・・・・・そのままドアの方へとイクスの意志とは関係なしに向かっていく。
ヤタガラスに止まるように叫ぶイクスと(何言ってんだこいつ?)みたいな目で見る教師とそれでも一切反応を見せないクラスメイト達。
ドアにぶつかる直前!!・・・という所で『ガラララララ!!』と大きな音を立てて開くドア。そして─────
ドゴッ!!!
と、鈍い音が鳴り響き
「痛っ!!!」
という声が響く。
しかしこの声は明らかにイクスの声とは違う。高い声であり女性の声であった。
「イタタタタ・・・・・・何すんのよもう!!!」
と、声がまた響く。
その声に反応し瞑った目を開けたイクスは今の現状に気づく。少女とぶつかった事に・・・・・・そして、ぶつかった少女に覆いかぶさり唇が触れてるかどうか辺りまで顔が近づいてることに・・・・・・・・・。
少女の顔は真っ赤に染ってありイクスの顔は・・・・・・。
無表情そのものだった。
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