竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

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1章:旅人として

困っている人を見かけたら? ☆4☆

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 シュエは以前と同じように愛刀を取り出す。

 まだ生まれて間もない頃、父である陛下が『災いを斬れるように』と国宝を彼女のものにした。

 国の名でもある翠竜すいりゅうを剣にもさずけ、身体を動かすことを苦にしない彼女は、国で愛刀の使い方を学んだ。

 その剣は主の成長に合わせて形状が変わるようになっており、まだ小さいシュエに扱いやすい剣になっている。

「さぁて、頼むぞ、リーズ」
「ええ、一気に片付けてくださいね」

 リーズはシュエを飛ばした。

 彼女の足裏を支えるように手のひらに乗せ、狙いを定めて飛ばしたのだ。

 勢いよく空へ近付く。畢方ひっぽうが近付いてくるシュエにぎょっとしたように目を丸くしたのが見え、彼女はぐっと愛刀を握りしめ、その首を切り落とす。

 畢方の首が斬り落とされ、窫窳あつゆのときのように身体が崩れ、黒いもやが天に昇っていく。

 そして、落下地点を確認し、ふと森の方に視線を向けると、なにかを探しているように動く人の姿が視界に入った。

「ふむ?」

 どさっとリーズの腕の中にシュエが落ちる。

 危なげもなく彼女を抱きとめ、彼を見上げてからすっと森林に人差し指を向けた。

「リーズ、森の中に人がいた」
「そろそろ日が暮れそうですのに?」
「うむ。なにか探しているようじゃったから、ちぃと気になっての」

 愛刀をしまい、ぴょんとリーズの腕から飛び降り、歩き出す。

「助けるのですか?」
「うーむ、必要と思ったら、かの?」

 スタスタと早歩きで森の中にいた人の場所へ足を進める。リーズはそれ以上なにもいわずにシュエの後ろに続いた。

 しばらく無言でいたが、人影が視界に入ったところで彼女が口を開く。

「そこの人や、なにを探しておるんじゃ?」
「えっ?」

 声をかけられるとは思わなかったのか、細身の男性がびくっと肩を跳ねさせ、声のしたほうへ顔を向ける。

 おそるおそる、というように、ゆっくりと。

 そして視界に入るリーズに首を傾げ、さらに視線を落としてシュエの姿を見て目を丸くした。

 どうしてこの山に子どもが? といわんばかりに驚愕の表情を浮かべる男性に、シュエが唇を尖らせる。

「わらわの質問が聞こえなかったか?」
「え、あ、いや。お嬢ちゃんたちこそ、どうしてこんな場所に?」
「質問を質問で返すな、といわれたことはないか? わらわは『なにを探しておる?』と聞いたはずじゃ」

 腕を組んで呆れたように息を吐くシュエ。

 まだ十歳くらいに見える少女に苦言を呈され、男性はバツが悪そうに視線を泳がせた。

 その様子にシュエとリーズは顔を見合わせた。
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