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1章:旅人として
困っている人を見かけたら? ☆5☆
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「ちょっとね、母の薬になる薬草を探しているんだ」
「ほう? 母上が病に伏せておるのか。それは大変じゃな」
「……うん、まぁ。だから、山に入ったんだ」
男性はちらりとリーズに視線を向けてから、シュエに声をかける。リーズはなにもいわずにただ男性を見ていた。
シュエが「ふむ」とつぶやくと、辺りを見渡してから再び男性に声をかける。
「母上の病状は?」
「それが寝込んでいるだけで、よくわからないんだ。なにをやるにも気力がないみたいで」
「……それはもしや、そなたもでは? まともに食べているようには見えんぞ?」
げそっと頬が痩せこけている男性に、シュエは口元を隠すように手で覆い、目元を細めた。
「え、そうかい? そういえば、最近はあまり食べていない気がする」
「母上もそうなのでは? それはいつからじゃ?」
「一週間くらいかな。ちょうど、父の命日から」
リーズが目を瞬かせた。シュエが男性を見上げ、ポンと軽く手に触れる。
「……ああ、そうだ。毎年、父の命日から母が寝込むんだ」
「愛しておったのじゃな、母上は父上のことを」
「たぶんね。……食べる量が減っていたから、寝込んでいたのかな」
「それは、少し違うかと」
リーズが口を挟んだ。先程まで関わろうかどうかを悩んでいたようだが、思わずというように言葉が出たようだ。
「もしかして、なのですが……あなたの母君は悪夢にうなされているのではありませんか?」
「どうしてそう思うんじゃ?」
シュエが意外そうに目を丸くしながらリーズに尋ねると、彼は昔、友だちに聞いたことがあるということを口にする。
リーズの友達の両親がやはり食欲不振になり、日中ぼーっとすることが多くなった。
友達はおかしいと思い、両親にどうしたんだと問い詰めると、悪夢を見ることが多くなったと語ったそうだ。
「そこで、彼は両親のベッドの下を調べたようです。そしたら……」
「そしたら……?」
ごくり、と唾を飲んで次の言葉を待つシュエと男性。
「草を束ねて作った犬の模型、芻狗が出てきた、と」
ひゅ、と息を呑んだシュエは、おぞましいものをきいたとばかりに頭を左右に振る。
「芻狗は悪いものではないのでは?」
男性が戸惑ったようにリーズとシュエを見ると、彼女は深いため息を吐いた。
「芻狗は使い終わったら捨てるもんじゃよ。あれは犠牲の代理品じゃからな。それをベッドの下に置かれていたら、悪夢を見るのも当然じゃ」
「えっと?」
シュエの言葉に納得していないようだった。リーズがかいつまんで芻狗のことを解説すると、さぁ、と彼の顔から血の気が引いてわかりやすく青ざめていった。
使い終えた芻狗をベッドの下に置き、その上で眠ると悪夢を見るかうなされるという説明を聞き、慌てたように家に戻ろうとする男性を引き止める。
「待てぃ。わらわたちも一緒にいこう。よいな、リーズ」
「シュエのお気に召すままに」
「ほう? 母上が病に伏せておるのか。それは大変じゃな」
「……うん、まぁ。だから、山に入ったんだ」
男性はちらりとリーズに視線を向けてから、シュエに声をかける。リーズはなにもいわずにただ男性を見ていた。
シュエが「ふむ」とつぶやくと、辺りを見渡してから再び男性に声をかける。
「母上の病状は?」
「それが寝込んでいるだけで、よくわからないんだ。なにをやるにも気力がないみたいで」
「……それはもしや、そなたもでは? まともに食べているようには見えんぞ?」
げそっと頬が痩せこけている男性に、シュエは口元を隠すように手で覆い、目元を細めた。
「え、そうかい? そういえば、最近はあまり食べていない気がする」
「母上もそうなのでは? それはいつからじゃ?」
「一週間くらいかな。ちょうど、父の命日から」
リーズが目を瞬かせた。シュエが男性を見上げ、ポンと軽く手に触れる。
「……ああ、そうだ。毎年、父の命日から母が寝込むんだ」
「愛しておったのじゃな、母上は父上のことを」
「たぶんね。……食べる量が減っていたから、寝込んでいたのかな」
「それは、少し違うかと」
リーズが口を挟んだ。先程まで関わろうかどうかを悩んでいたようだが、思わずというように言葉が出たようだ。
「もしかして、なのですが……あなたの母君は悪夢にうなされているのではありませんか?」
「どうしてそう思うんじゃ?」
シュエが意外そうに目を丸くしながらリーズに尋ねると、彼は昔、友だちに聞いたことがあるということを口にする。
リーズの友達の両親がやはり食欲不振になり、日中ぼーっとすることが多くなった。
友達はおかしいと思い、両親にどうしたんだと問い詰めると、悪夢を見ることが多くなったと語ったそうだ。
「そこで、彼は両親のベッドの下を調べたようです。そしたら……」
「そしたら……?」
ごくり、と唾を飲んで次の言葉を待つシュエと男性。
「草を束ねて作った犬の模型、芻狗が出てきた、と」
ひゅ、と息を呑んだシュエは、おぞましいものをきいたとばかりに頭を左右に振る。
「芻狗は悪いものではないのでは?」
男性が戸惑ったようにリーズとシュエを見ると、彼女は深いため息を吐いた。
「芻狗は使い終わったら捨てるもんじゃよ。あれは犠牲の代理品じゃからな。それをベッドの下に置かれていたら、悪夢を見るのも当然じゃ」
「えっと?」
シュエの言葉に納得していないようだった。リーズがかいつまんで芻狗のことを解説すると、さぁ、と彼の顔から血の気が引いてわかりやすく青ざめていった。
使い終えた芻狗をベッドの下に置き、その上で眠ると悪夢を見るかうなされるという説明を聞き、慌てたように家に戻ろうとする男性を引き止める。
「待てぃ。わらわたちも一緒にいこう。よいな、リーズ」
「シュエのお気に召すままに」
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