竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

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1章:旅人として

困っている人を見かけたら? ☆15☆

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 シュエとリーズは寝間着から普段着に着替えてから、村長たちに挨拶しようと客室から出ていく。すると、彼女たちを起こしにきたのであろう若い女性が声をかけてきた。

「おはようございます、よく眠れましたか?」
「うむ、ぐっすりじゃった」
「それはよかった。朝食はどうします?」
「少し確認したいことがあるので、昨日の家にいってみたいと思います」

 リーズの言葉に、若い女性はきょとんとした表情を一瞬浮かべ、それから「そうなのですね」とつぶやいてから玄関まで案内してくれた。

 村長に挨拶をしていないことに気付き、「世話になったと伝えてほしい」とシュエがお願いすると、若い女性はこくりと首を縦に動かす。

 それから、昨日出会った男性の家まで歩く。

 この村の人たちは、もうすでに畑仕事に出ているようで、畑にいる人が多かった。

「こうして美味しい作物ができるのじゃな」
「ありがたいことですねぇ」

 シュエもリーズも畑で作物を育てたことはない。

 広い王宮のどこかでは、畑仕事をしている人がいるとかいないとか、噂話で聞いたことがあることくらいだ。実際に畑仕事をしている人たちを見るのは、シュエを新鮮な気持ちにさせた。

「こうして丁寧に草を抜いたり、水をいたりしておるんじゃなぁ」
「新鮮ですか?」
「うむ。いつも収穫されたものしか見ていないからな!」

 王宮の寮長のもとに運ばれてくる肉や笹井を思い浮かべて、畑仕事をしている人たちに視線を向ける。

 彼らはシュエやリーズが村を歩いていることに気付き、一瞬こちらを見たがすぐに作業に戻った。

「なんだか感慨深いのぅ」
「シュエにとってこの世界は、珍しいもので溢れているでしょうからね」
「リーズが旅をしていたときも、こんな気持ちになったか?」

 シュエの問いに、リーズは目元を細めて旅をしていた頃を思い出す。

 竜人族の掟で、他の世界に入り旅をした。

 初めて見る外の世界は、いろいろと己の国とは違い、戸惑ったものだ。その点、シュエは戸惑いを一度も見せていない。

「どちらかといえば、文明の差に驚きましたね。世界が違えば文明もこんなに違うのか、と」
「じゃからあんなにいっぱい持っていけと、言っていたのじゃな」
「シュエに不便さを感じさせたくはありませんからね」
「そんなもんか?」

 そんなもんですよ、とリーズが微笑む。

 シュエがリーズに旅の話をねだったとき、備えあれば患いなしとばかりに持っていくものを教えてくれた。

 そのときのことを思い出し、シュエはくふくふと笑う。
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